注目されている存立危機答弁とは?

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高市首相は11月、中国の台湾海峡封鎖に関して衆議院予算委員会で、存立危機事態になるケースだと答弁しました。
発言の是非に関して注目が集まり、台湾有事に関連して行った一連の答弁は存立危機答弁と呼ばれているのです。
存立危機答弁は具体的にどのようなものか、解説します。

存立危機答弁とはどのようなもの?

11月に開かれた衆院予算委員会において、高市首相は中国による台湾海峡の封鎖について、武力行使を伴うものであれば存立危機事態になりうると答弁しました。
存立危機事態というのは、2015年に成立した安全保障関連法によって導入された概念です。

日本と密接な関係の他国に対する武力攻撃が発生することで日本の存立が危ぶまれ、国民の生命や自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態を指します。
存立危機事態が認定された場合は、日本が直接攻撃されていなくても集団的自衛権を行使し、同盟国などと共に武力で反撃できるようになるのです。

高市首相の発言を受け、中国では中国国民の日本渡航を自粛するよう呼び掛けるなど反発する姿勢を見せています。
高市総理の発言に関しては中国の機嫌を損ねるものであり軽率だという意見もありますが、むしろ必要なことでしょう。

隣国で不穏な動きがある中で、自国の国民を守るためにあらゆる可能性を検討するのは国のトップの考え方としては欠かすことができません。
むしろ、事なかれ主義で実際に何か起こるまで意見も述べず放置している人には、トップに立つ資格はないともいえるでしょう。

今回の高市首相の発言は、正常な危機管理能力を持っていることを示しており、国民の生活や命を守るために手を尽くすという姿勢を示していると考えられます。
問題提起をされたものと考え、国民はそれぞれ自身の考え方を持ってどう備えるかを考える必要があるでしょう。

全面的な批判に関しては的外れなことも多いのですが、発言内容に関する議論であればむしろ推奨されます。

現在、議論の焦点となっているのは要件の前半に定められている、密接な関係のある他国が武力攻撃を受けたとき、日本も武力行使できるという点です。
しかし、法改正時にも議論されていたのですが、他国への武力攻撃に対して共同で対抗できるという集団防衛を認めているのではなく、限定的な集団的自衛権でしかありません。

後半に定められているように、国民が被害を受けるような危険がある事態になって初めて武力を行使できるのです。

つまり、存立危機事態において定められた日本の武力行使は専守防衛という防衛政策を維持したうえで、国民の生命が危ぶまれる事態に限り発動できるものといえます。
いわば個別的自衛権に極めて近いものであると解釈するのが、妥当と判断されるものとなるでしょう。

つまり、日本が存立危機事態を認定する際の論点となるのは台湾に対する武力攻撃ではなく、日本国民に明白な危険が迫っているかどうかという点にあります。
中国がたとえ台湾に武力攻撃を加えたとしても、日本国民の生命が直接危ぶまれることはないでしょう。

そのため、台湾への攻撃に対して日本が中国を攻撃することに正当性があるのかというと、そうとは言い切れません。
ロシアのウクライナ侵攻の際も、NATO加盟国は政治的にウクライナを指示して兵器供与などの支援を行っていますが、直接兵力を送ってはいないのです。

兵力を送ってしまうと、万が一ロシアとの交戦になったときは自国との戦端が開かれてしまい、全面戦争になる恐れがあります。
日本も、中国が台湾に対して武力侵攻をした際は同じような立場に立たされることとなるでしょう。

日本は有事の際、台湾に支援を行うということは可能ですが、ウクライナのときとは違って米国が直接参戦する可能性もあります。
米軍を台湾へと送る場合は当然在日米軍基地から出撃する可能性が高く、日本は兵站拠点を提供したという立場になるでしょう。

中国が米国の参戦も踏まえて軍事侵攻を行うのであれば、日本も巻き込まれてしまうのは確実なので、実際に攻撃を受けなくても存続危機事態を認定されるかもしれません。
しかし、今のトランプ政権では米国が参戦しない可能性もかなり高く、米国が支援するので日本が参戦するよう促される可能性も考えられるでしょう。

まだ様々な道が考えられる中、中国が直接台湾に侵攻するまでに日本は旗色を鮮明にしておく必要があります。

日本の防衛に必要な考え方

中国が台湾に侵攻したとき、日本が防衛するためにはどのような考え方が必要となるのでしょうか?

まず、政治的な台湾への支援を行いつつ軍事面では日本国民を守ることを優先して防衛力を行使すると考えます。
もしくは、台湾防衛の際に日本も攻撃されると考え、米軍と自衛隊の連携を深めて備えつつ積極的に防衛作戦を行うという考え方もあるでしょう。

基本方針をどちらにするかで部隊配置をはじめとした防衛力の整備方法や、自衛隊の訓練での優先順位なども変わってきます。
2つの考え方の内容は両極端となっているため、折衷案を探ることが現実的という考え方もあり、実際に中間を探ることになる可能性も高いでしょう。

しかし、芯となる考え方をしっかり決めておかなければ単に優柔不断でどっちつかずの考え方になる可能性もあり、最悪の事態につながるかもしれません。
事前にしっかりと議論を重ねないまま台湾の危機が実際に起こった場合は、早急に結論を求める動きが起こって収拾がつかなくなる可能性もあるでしょう。

近年は外国勢力の情報操作や影響工作などが疑われ、SNS上でも感情的な極論が横行しているため、混乱が生じてしまえば安全保障における危機を迎えるかもしれません。
まだ危機が実現していないうちに議論を冷静に続けていき、国民としてどのような考え方を指示するかを決めておく必要があるでしょう。

まとめ

中国が台湾の海峡封鎖に武力を行使したら日本において存立危機事態になるという見解を高市首相が示しており、台湾有事に関する一連の答弁は存立危機答弁と呼ばれています。
存立危機事態となった場合は日本と他国との協力の上での反撃や、集団的自衛権の行使などが認められるようになるのです。
しかし、認定には慎重な判断が必要となるため、国民それぞれが存続危機答弁の内容を把握して自身の意見を持つ必要があります。