日本のアニメや漫画は日本だけではなく世界中で人気となっており、日本文化の代表と思われることもあるのです。
しかし、海外にもアニメや漫画はあるのに、なぜ日本のアニメや漫画が世界中で人気となっているのでしょうか?
日本のアニメ・漫画が海外で流行る理由について、解説します。
なぜ日本のアニメや漫画は海外で人気なの?
日本においてアニメや漫画は長い歴史があり、初めてのアニメは100年以上前、大正時代の1917年に制作された短編アニメーション映画が初だといわれているのです。
漫画に至っては、平安時代末期に鳥獣戯画という動物を擬人化した絵巻物が存在しており、最古の漫画として知られています。
本格的に漫画やアニメが日本で盛んに作られてきたのは戦後の高度経済成長期で、鉄腕アトムやあしたのジョー、巨人の星などの名作が生まれてきたのです。
海外から注目されるようになったのは1980年代以降で、スタジオジブリの作品をはじめ美少女戦士セーラームーン、そして今も続く名探偵コナンなどが生み出されました。
各国でアニメ、漫画の作品を制作している中で、なぜ世界中で日本のアニメや漫画が人気となっているのでしょうか?
理由としてまず作品のクオリティーの高さがあり、海外の漫画やアニメと比較して絵やストーリーだけではなく、BGMなどのクオリティーも非常に高いと評価されています。
日本のアニメは背景まで細かく描き高い完成度を誇っているのですが、背景にはアニメーターの技術力の高さや作品に対する情熱などがあるのです。
また、日本の漫画やアニメのジャンルが非常に幅広いというのも理由の1つで、日本の作品には学園、スポーツ、バトル、アクション、ミステリー、SFなどがあります。
あらゆるジャンルがあるため、自分の好きなジャンルの作品を選ぶことができ、新たなジャンルにもチャレンジできるというのが魅力となっているのです。
ジャンルの広さから大人も楽しめる作品が多いというのも理由で、アメリカのディズニー映画やシンプソンズのような子ども向けの作品だけというわけではありません。
子ども向けの作品も多いのですが、大人向けの作品も数多く存在しているため世代を問わず楽しむことができるのです。
現在は、サブスクの動画配信サービスが増え、海外でも日本の作品を気軽に見ることができるようになりました。
アニメを見て日本語を勉強し、聖地巡礼のために日本を訪れる海外の人もかなり増えており、コミケなどに参加する人も多いのです。
2024年に文化省やマンガ総合研究所では、訪日観光客が好きなマンガ・アニメ作品を発表しました。
最も多くの訪日外国人が好きと答えたのが鬼滅の刃で、次いで進撃の巨人、ONE PIECE、呪術廻戦、SPY×FAMILY、NARUTOと続いたのです。
漫画の連載媒体としてはやはり集英社、ジャンプ系列が強いのですが、講談社で連載していた進撃の巨人も2位にランクインしています。
小学館の系列ではドラえもん、名探偵コナンが選ばれていますが、今も昔も長く人気なのがドラゴンボールです。
日本と海外の作品の違い
そもそも、日本と海外では漫画やアニメの作品にどのような違いがあるのか疑問に思うかもしれませんが、実は明確な違いがあります。
日本の作品は現実に準拠したリアルな世界観で描かれたものが多く、見ている人は登場人物に共感できる点も多くあるでしょう。
しかし、海外の作品の多くは空想の世界を舞台にしており、ファンタジー性が強い作品となっているため子ども向けと考えられています。
日本の作品とは違い、登場人物と共感できる点は少なく没入感にかけるため、より共感できる日本の作品に人気が集まっているのでしょう。
また、日本の作品はストーリー性があり、深い道筋が通っているため作品に没頭しやすいという特徴があります。
事件をただ解決するのではなく途中に多くの伏線がちりばめられていて、読者や視聴者は自分で気づけるかどうかという楽しみもあるのです。
また、主人公が物語を通じて成長していくというのも王道の展開ですが、海外の作品にはあまり見られない特徴といえます。
代表的な海外の作品であるアメリカのディズニー映画の場合、パターン化されているものが多いためマンネリともいえるでしょう。
白雪姫や眠り姫、党の上のラプンツェル、アナと雪の女王などはプリンセスが主人公で王子様と出会いハッピーエンドになります。
パターン化されているため、登場人物の違いと途中出てくる障害などに違いはありますが、おおよその話の筋は共通しているといえるでしょう。
また、アメコミのように最初から超人的な力を持った主人公が敵を倒して平和を守る、という作品もよく見られます。
ただし、ライオン・キングのように成長を描いた物語もあるため、一概にパターン化したものだけとはいえないでしょう。
ちなみに、製作費の違いというのも海外と日本の作品の違いとしてあるのですが、実はアニメの場合は日本よりアメリカのほうが製作費は高くなっています。
特にディズニー映画やピクサー映画はかなりの製作費をかけていて、世界中の映画館で上映されるなど規模も大きくなっているのです。
日本のアニメはハリウッド作品と比べて10分の1程度の製作費しか使用していないのですが、製作費が少なくても高いクオリティーの作品を作っています。
日本の作品は、繊細な絵柄や計算されたコマ割りも魅力の1つで、日常のシーンも細かく描写されているのが特徴です。
何事もない日常のシーンを深く掘り下げて描かれているからこそ、イベントが起こったときの登場人物の心理などがしっかりと伝わってきます。
日本の漫画やアニメの作品の魅力は海外にも伝わっており、日本でも多言語版での出版などを行っているため、今後もさらに新しい作品が人気となっていくでしょう。
まとめ
海外では日本のアニメ、漫画の作品が人気となっているのには、ストーリー性の高さや細やかな描写、多岐にわたるジャンルの作品があることなどが理由として挙げられます。
特に、推理やミステリー作品の中で細かにちりばめられた伏線に気づくことができれば、新た楽しみが見つかることでしょう。
海外の作品と比べて低い製作費でありながら魅力ある登場人物を輝かせている日本の作品は、今後も海外で人気が続くと思われます。