離婚後も同居し続けるリスクとは??

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一般的に、結婚をしたときは住居を1つにして離婚をしたときは住居を別にすることが多いのですが、中には何らかの事情で離婚後も同居を続ける人もいるでしょう。
シェアハウスのようなものだと思えばいいのかもしれませんが、同居したまま過ごしているとリスクもあるのです。
同居を続けるリスクについて、解説します。

離婚後も同居を続けるケースとは?

結婚している間は同じ家に住んでいるとしても、離婚した後は別々に住居を構えるのが一般的です。

しかし、離婚したら別居しなくてはならないと法律上定められているわけではないので、中には同居を続ける人もいます。
法律上問題はなく、住み続ける人にも様々な事情があるのでしょうが、具体的にはどのようなケースで同居を続けることがあるのでしょうか?

まず、子どものことを考えて離婚しても別居せず同居を続けているというケースがあります。
両親が離婚して別居することになった場合、子どもが小さいほど影響は大きく、成長していても全く影響しないということはないでしょう。

離婚後は一方の親が親権を取って一緒に暮らすことになるのですが、いくら面会などができるとしても別居していればもう一方の親と会う機会は少なくなります。
子どもに与える様々な影響を考慮した結果、子どもが自立するまで同居を続けることを決めるケースがあるのです。

子どもが自立する年齢を迎えるまでは親として協力し合い、成人して自立したら改めて別居するという約束をしているケースがあります。

また、離婚後にまだ引っ越し先が決まっていない場合に、一時的に同居するというケースもあるでしょう。
急いで別居しなくてもいいため、別居の準備をしながら引っ越し先や場合によっては仕事なども納得ができるように探すことができます。

離婚して一度は別居したものの、もう一度一緒に暮らしてみて復縁が可能か考えてみるという人もいるでしょう。
結婚をするのも離婚をするのも気持ちが大きく関わっているので、一度離婚したからといって二度と復縁することがないというわけではありません。

ただし、法律上は離婚が成立した時点で他人の状態になるため、復縁する場合はきちんと再婚の手続きをする必要があるのです。
日本ではまだ夫婦別姓が認められていないため、婚姻時にどちらかの姓を名乗ることになり、ほとんどの場合はどちらかの姓が変わることになります。

しかし、名乗ることになった姓にどうしても馴染むことができず仕事や生活の中でも支障が出てしまったため、姓を戻すために離婚するケースもあるのです。
姓が問題なだけで関係が悪化したわけではないため、離婚後も実質的な夫婦として同居したまま生活を続けることはできます。

離婚後に同居を続けるリスク

離婚後も同居したままでいる場合、様々なリスクが生じてしまうことになるのですが、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか?

同居を続けていた場合、児童手当をもらう要件を満たしたと判断されずもらえなくなってしまうリスクがあります。
また、ひとり親の場合は子どもが学校に通う際の授業料が安くなるのですが、同居したままだと安くならない可能性もあるのです。

離婚届を出しただけでは、様々なひとり親用の優遇措置が認められず、金銭的な負担が軽減されるということはありません。
同居している状態でも、世帯分離が認められればある程度のリスクは解消できるでしょう。

しかし確実に認められるものではなく、申告した際に虚偽があるとかえって処罰を受ける原因となる可能性もあるので、注意しなくてはいけません。

夫婦仲が悪化して離婚に至ったケースでは、毎日顔を合わせることになればストレスが溜まっていく可能性があるため、精神的なリスクもあるでしょう。
離婚しても同居を続けていると実質的な夫婦とみなされることもあるため、財産分与をした分が脱税として扱われる可能性もあります。

離婚するときには婚姻中に形成した財産を分け合う財産分与によって、夫婦共有財産を清算し分け合うことになるでしょう。
もちろん離婚後同居を継続する場合でも財産分与できるのですが、離婚後も同居していると、財産分与が脱税とみなされるおそれがあります。

財産分与は基本的に課税されないため、本来であれば多額の贈与税がかかる財産の贈与が離婚手続きとともに行う財産分与なら原則として無税となるのです。
夫婦の生活を続けるつもりがあるのに債権者からの追及を逃れるために離婚届を提出して無税で財産分与すると脱税となり犯罪も成立するケースがあります。

また、生活費についてもめてしまうリスクもあり、離婚して夫婦関係が解消されたのに同居している場合は生活費を請求できないのです。
夫婦にはお互いを扶養するという義務があり、法律的には婚姻費用分担義務と呼ばれています。

夫婦間にしか婚姻費用分担義務がないという点が注意点であり、離婚後、同居していること以外の夫婦関係が消滅してしまった場合は当てはまらないのです。
離婚してしまえば婚姻費用分担義務はなくなるため、一方がもう一方に生活費を請求することはできません。

ただ、離婚時の財産分与の取り決めで生活費を支払う約束をしていれば、約束通り請求することができるでしょう。
請求できる理由となるのは取り決めがあるからであって、元配偶者という理由だけでは生活費を請求することができません。

何の取り決めもせず離婚時に一定金額を支払うとだけ決めた場合、満額受け取ったら終わりとなるため注意が必要です。

婚姻届けを提出して公に認められた夫婦というわけではなくても事実上夫婦として過ごしている男女関係は、内縁という形で保護されることもあります。
内縁関係が認められる場合は法律婚の夫婦に準ずる扱いとなり、扶養義務も生じて生活費も請求できるようになる可能性があるのです。

離婚後には同居していても生活費を請求できない可能性があるというリスクがあるため、事前にきちんと取り決めをしてから同居を決定しましょう。

まとめ

離婚した後も同居を続けることは法律で禁止されているわけではなく、特にも問題があるわけではないのですが、いくつかのリスクがあるのです。
そもそも、離婚の原因が相手のことを嫌いになったからという場合は、同居することで離婚後も顔を突き合わせることになり、精神的なリスクが生じます。
財産分与についても、同居を続けていると脱税として罪に問われてしまうことがあるため、注意しましょう。