ミニマムアクセス米とは??

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近年は米不足や価格の高騰、備蓄米の放出など、米に関する話題が次々に出てきているのですが、現在話題となっているミニマムアクセス米をご存じでしょうか?
MA米ともいわれ、海外から一定量を輸入することが義務付けられているのですが、なぜ必要となるのでしょうか?
ミニマムアクセス米について、解説します。

ミニマムアクセス米はなぜ必要?

ミニマムアクセス米というのは、海外からの輸入を義務付けられている米のことですが、なぜ必要なのでしょうか?

制度が導入された背景には国際的な貿易の自由化の流れがあり、20世紀末にウルグアイ・ラウンド交渉がきっかけで決まりました。
三カ国で輸入数量の制限を撤廃し、貿易任官してはすべての品目を関税化することが決まったのです。

日本では海外から米を輸入したことがなかったのですが、以降は一定量を必ず輸入することを強制されてしまいました。
ただし、日本国内においては米が国民の主食であり、米農家や販売、流通などで地方経済の重要な部分を担っていたため、市場を開放するのは難しかったのです。

国産米を守るためにも、輸入米にかかる関税を高くするという特例装置が認められたのですが、代わりに最低輸入義務の割増率が通常よりも高くなりました。
米の輸入は1995年から始まり、最初は国内消費量1000万トンのうち4%分だけ輸入することが義務付けられたのですが、以降は段階的に2倍の8%まで上げられたのです。

現状と今後の課題は?

現在、ミニマムアクセス米は主に加工用や家畜の飼料などの用途のために輸入されていますが、問題点も色々とあります。

積み上がった米はだんだんと増えていくため、2008年末には在庫が大幅に増えていたというデータもあるのです。
備蓄米を補完するためには保管スペースなども必要でコストもかかり、長期間保管し続けていると品質も低下してしまいます。

保管中にカビが生えたり水に濡れたりすることも珍しくはなく、農薬が残留していることもあるため食用には用いず、工業用などに利用されることも多いのです。
また、食用ではなくバイオマスの一種として、バイオエタノールを生成するために利用することもあります。

国は国内の農業がなるべく影響を受けないように、ミニマムアクセス米は主食用として流通する米にはできるだけ含めないようにしているのです。

しかし、一部のミニマムアクセス米が主食用に流通することもあるため、国産米との価格競争によって国産米が悪影響を受けてしまう可能性もあります。
また、ミニマムアクセス米については利用先をまとめたデータが少ないのですが、8年ほど前のデータは見つかっているのです。

利用先の内訳は半数以上が飼料用として用いられていて最も多く、次いで加工用の原料としています。

主食や海外への援助としても使用されていて、食用以外ではバイオエタノールの原料や食品不適品として工業用の原料などにも使用されているのです。
一方で、輸入した米の一部とオーストラリアからの輸入については、国内で必要とする人と輸入業者が直接取引をする、売買同時契約方式が認められています。

TPP11は包括的及び先進的な環太平洋連携<パートナーシップ>協定のことで、2018年12月30日に発効されたものです。
アメリカを除く環太平洋地域11か国が加盟する、自由貿易協定のことをいい、オーストラリアや日本も加盟国となっています。

他には、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムが加盟しているのです。
売買同時契約方式(SBS方式)で取引されたミニマムアクセス米は品質も高いものが多いため、主食に用いられるケースも少なくありません。

2024年度に行われた第1回入札では2万5千トンを対象として入札を行ったのですが、申し込み総量は7万トンを超えていて全量が落札されたのです。
必要性が高まっている背景には国産米の価格上昇や供給不足があり、輸入米であっても安価な米を求める声が大きくなっていました。

価格が安いため、米の消費量が大きい外食産業や小売りを行うスーパーなどで必要とされていて、国産米の市場を脅かす可能性も考えられるでしょう。
ミニマムアクセス米の多くは加工・飼料用に回されていますが、売買に際しては数百億円規模の損失が発生しています。

ミニマムアクセス米の制度は国際交渉の中でも議論の対象となっているのですが、輸入枠を見直すことは難しいでしょう。
財務省では、輸入枠を見直せないのであれば国産米備蓄の削減と緊急時に活用することを提案しています。

しかし、食料の安全性を重視して考えた場合には多くの批判もあり、国内での生産力アップや輸入に頼らない生産体制を求められるのです。
貿易が自由化される中で米の輸入についても導入されたのですが、運用するうえではまだまだ様々な課題が残されています。

もちろん、輸入した米ならではの利点もあり、例えば他の飼料の高騰時の代替品とすることができるのです。
現在は世界的にトウモロコシなどの価格が高騰しているため、代わりに輸入した米を飼料として利用する農家は増えつつあります。

また、スーパーや外食業界は原価率を下げるため、高騰している国産米ではなく価格の安い輸入米を求めているでしょう。
ただ、日本の消費者の米離れは年々進んでいて、備蓄米として保管される量が増え保管のためのコストも増している状態は放置できません。

今後は、備蓄や流通の効率化や国際交渉の柔軟な対応をしつつ、米の輸入や消費についてもう一度よく考えたうえで持続できるように取り計らう必要があるでしょう。

輸入した米の需要は高いとはいえないのですが、国産米と同じく日本の食糧事情を支える一端を担っているため、輸入を止めるのは難しいかもしれません。

まとめ

日本は食料自給率が低いものの、主食である米に関しては100%を超えているのですが、貿易協定によって一定量の米の輸入が義務付けられています。
一定量の米を輸入する制度をミニマムアクセス米といい、食用にも用いられますが家畜の飼料や加工品の材料となることも多いでしょう。
現在のように日本の米の価格が高騰している際は、外食産業などが原価の安いコメを求めてミニマムアクセス米を求める動きが高まります。