コメの価格が高騰している昨今、JAの必要性に関してもよく議論されているのですが、そもそも一般的にはJAを利用したことがない人も多いでしょう。
農業を営む人が主に利用しているJAというのは、どのような役割がある組織なのでしょうか?
JAの役割について、解説します。
農業に直接関わるJAの役割
JAを利用したことがある人のほとんどは、自宅が農家だという人ですが、そもそもJAというのはどのような役割がある組織なのでしょうか?
JAは正式には総合農協という、全国の農業協同組合の中央会が組織している農協グループのことをいいます。
様々な役割を担っているものの、基本的な役割といえば農業に関するものですが、具体的にはどのような役割なのでしょうか?
営農と生活に関して、指導を行う指導事業はJAの役割の中でも特に大切で、組合員が効果的に農業を行い、生活に関しても豊かに過ごせるように指導を行います。
指導をしたとしても直接収益が得られるというわけではありませんが、販売、購買、共済、信用などのJAの様々な事業の要となっている事業です。
技術指導だけではなく農用地の有効利用の仕組みを作り、地域の農業生産を拡大して足腰の強い農業経営が確立されるよう働きかけます。
単に組合員1人ずつの技術を向上させるだけではなく、地域社会が活性化するよう貢献できる農業の展開が目的となっているのです。
生活指導というのは、組合員の生活について幅広く指導を行うことで、地域社会の生活改善、向上をはかっています。
単に農業に関することではなく、生活に関わること全般を対象として指導活動を行っているのです。
農作物は農家が直接販売することもありますが、JAが代理として販売することもあります。
農作物の販売を取り扱うことや、生活に必要な物資などを供給することは、JAの経済事業というのです。
JAでは、経済事業の中でも組合員が生産した農作物を売却することと物資を組合員に供給することを、販売事業と購買事業に分けて行っています。
組合員が生産した農作物を、JAが買い取るのではなく組合員の代理として販売する事業が販売事業です。
農作物の対価は、販売にかかる必要経費を差し引いて組合員に生産されるという、委託販売方式によって販売しています。
購買事業というのは、農業に必要となる資材や組合員の生活に必要な物資などを購入し、供給することです。
計画的に大量仕入れを行うことで安価に仕入れることができ、流通経費も節約することで安く安全で品質がいい品物を安定して提供できます。
購買事業には、あらかじめ予約を受けたうえで物資を調達する予約購買と、店舗などの形で供給する方法の2つがあるのです。
農業と間接的に関わる事業
JAでは信用事業という、組合員の貯金の受け入れや必要な資金の貸し付け、為替の取り扱いなどの事業も行っています。
手形の割引や債務の保証、金、国債等の取り扱いも行っていて、組合員以外の利用者の貯金も受け付けているのです。
JAバンクというサービスで、貯金を貸し付けることで営農と生活の改善や質の向上などに役立てています。
JAバンクには、農業専門の金融機関であり地域に根差した金融機関であるための役割を発揮するという目的があるのです。
組合員の病気やケガ、あるいは自然災害による被害などのリスクに備えて、相互扶助の精神で保障しあい損害を回復することで、生活の安定を目指すJA共済も行っています。
一般の保険会社とは異なり、保証の対象は主に組合員と家族であり、資金はJAグループ内にほとんどが留保されて農林債や公共団体貸付などに活用されているのです。
組合員が個人で持つのが難しい施設を共同で設置して、利用できるようにする事業もあります。
例えば、ライスセンターや農業倉庫、共同選果場などの農業生産施設と、集会場や冠婚葬祭施設などの生活に役立つ施設などが対象になります。
医療施設や保健施設に医師を設置し、組合員の健康を守ろうとする事業を厚生事業といい、医療に恵まれない農村地域に医療の機会を提供するために始まったものです。
厚生連病院による医療活動や健康相談、高齢者福祉、健康診断などの活動が主に行われています。
また、医療施設は公益性のあるものなので、利用できるのは組合員だけに限らず地域住民であればだれでも利用できるようになっているのです。
一般的には行政が中心となって行っている高齢者福祉事業ですが、農山村地域では福祉施設が不足しているため、JAが補っています。
高齢者福祉事業として、ホームヘルパーの養成やボランティア組織作り、身体介護や家事援助などのサービスを行い、組合員以外でも対象になるのです。
また、他にも様々な活動を行っていて、対象となるのは組合員だけのものもあれば地域住民も含まれるものもあります。
暮らしの相談や生活文化などの活動など、拠点に暮らしを充実させるための生活総合センターを置いているのもJAの役割です。
組合員だけではなく地域住民も含めて健康管理や食生活の管理、娯楽の提供、文化育成など様々な活動を行い、活力ある地域社会づくりを目指しています。
JAグループでは、日本の食料や農業に関する問題やJAの活動内容、事業内容などを多くの人に伝えるため、組織内外で広報活動を積極的に行っているのです。
独自の機関誌や様々なメディアを通じて情報提供を行っていて、シンポジウムを開催しインターネットでも情報を発信しています。
農業や農村の多目的であり公益的な役割や、食料や農業の現状などに関して、正しく理解してもらうことが目的です。
JAは国内だけではなく国際的な活動も行っていて、全国のJAからの拠出金でアジア農協振興機関を設立しています。
開発途上国から訪れた人の研修を受け入れており、研修を受けた後は時刻に戻ってそれぞれ活躍しているのです。
アジアでの農業生産基盤の整備の支援のため、JAグループ内で募金を集めて支援するという活動も行っています。
まとめ
JAの活動内容に関しては、JAの組合員や農業関係者でなければわかりにくいことも多いかもしれませんが、実は様々な分野での活動を行っているのです。
農業に関することや組合員の生活に関することなど重要な役割も担っており、地域社会の活性化などにも注力しています。
また、国際社会への支援も行っていて、開発途上国からの研修生も受け入れていて、研修生は研修が終了した後は各国で活躍しているのです。