建設業の社会保険未加入対策が強化!猶予は平成29年度まで

国土交通省では建設業の社会保険未加入に対して、元請企業及び下請企業が取り組むべき指針を策定するなど、平成24年度から対策を行っています。目標年次まで1 年を切ったことからも、社会保険への加入を徹底する動きが強化されています。

財源不足で加入義務が発生した?
建設業で健康保険、厚生年金保険、雇用保険など社会保険についての法定福利費を、適正に負担しない保険未加入企業が存在している状況です。

公的保障への財源不足から、この対策へ行政、元請企業、下請企業が一体となって取り組むことが必要になっていると言えるでしょう。

下請企業を中心に未加入企業が多い?
社会保険未加入の企業は下請企業に多く存在している状況で、まずそこから改善するためには元請企業が下請企業の保険加入を指導するという役割を担うことが求められます。

下請企業の保険加入状況の確認と施工体制確保ということから、施工体制台帳の記載事項と再下請通知の記載事項に健康保険等の加入状況が追加されることが建設業法施行規則の改正により決定しています。

事業所の形態が法人の場合
事業所が法人の場合にはどのような形態で社会保険に加入すべきなのかについて確認しておきましょう。雇用形態によって加入する保険が異なります。

・常用労働者の数が1人以上の場合
労働保険…雇用保険、労災保険(元請一括加入)
社会保険…医療保険は協会けんぽ・健康保険組合等(健康保険適用除外の承認を受けている場合には国民健康保険)、年金保険は厚生年金

・日雇労働者の場合
労働保険…日雇雇用保険、労災保険(元請一括加入)
社会保険…医療保険は国民健康保険もしくは協会けんぽ(日雇特例被保険者)、年金保険は国民年金

・役員等の場合
労働保険…労災保険(特別加入)
社会保険…医療保険は協会けんぽ・健康保険組合等(健康保険適用除外の承認を受けている場合には国民健康保険)、年金保険は厚生年金

事業所の形態が個人事業主の場合
個人事業主の場合には雇用形態や人数で加入する保険が異なりますので確認しておくようにしましょう。

・常用労働者が1~4人の場合
労働保険…雇用保険、労災保険(元請一括加入)
社会保険…医療保険は国民健康保険(組合)、年金保険は国民年金

・常用労働者が5人以上の場合
労働保険…雇用保険、労災保険(元請一括加入)
社会保険…医療保険は協会けんぽ・健康保険組合等(健康保険適用除外の承認を受けている場合には国民健康保険)、年金保険は厚生年金

・日雇労働者の場合
労働保険…日雇雇用保険、労災保険(元請一括加入)
社会保険…医療保険は国民健康保険もしくは協会けんぽ(日雇特例被保険者)、年金保険は国民年金

・事業主、一人親方の場合
労働保険…労災保険(特別加入)
社会保険…医療保険は国民健康保険(組合)、年金保険は国民年金

経営上の負担にはなるものの…
建設業許可業者は2017年度までに社会保険に100%加入していることを目指しており、経営上負担が厳しいという事業主には頭を悩ませる問題ともなっています。

しかし社会保険料は負担ではあるものの、失業や老後に無収入になることを考えた場合や、病気で医療費負担が必要になった時などのためにも加入しておくことが必要です。避けては通れない問題ですので、未加入の場合には加入対策を急ぐようにしましょう。