コンビニ24時間営業問題について解説します

法務リスク

コンビニといえば、24時間営業が当たり前のように思っていますが、最近では人手不足から24時間営業が困難とする店舗が出てきており、それが契約違反とされたことなどで問題となっています。
なぜ、問題となったのでしょうか?
また、24時間営業の必要性はあるのでしょうか?

問題の原因

今回問題の発端となったのは、大阪にあるセブン・イレブンでした。
加盟店となっている店舗が人手不足となったことで、オーナーが深夜の営業を中止して19時間営業をしていたところ、それがフランチャイズ契約に違反するとして本部から1700万円の違約金を請求されたのです。

その店舗は納得がいかず本部と対立することになったのですが、それを皮切りとして他の加盟店からも、同様の問題があるため短縮営業を認めてほしいという訴えが続出し、本部との軋轢が深まっていったのです。

この問題について、セブン・イレブン・ジャパンでは社長を交代し、これまで組織的な問題としてコミュニケーション不足があったため、現場の情報に詳しい副社長を社長とすることでその問題を解決することを表明しました。

コンビニエンスストアは、フランチャイズという形式で店舗数を増やしていて、どの店舗でも同一のサービスを提供できるようマニュアル化を徹底しています。
セブン・イレブンだけでも、現在の店舗数は2万店以上になっています。

しかし、この店舗が増えたことでマニュアルだけでは対処しきれない問題も増えてきました。
以前問題となったのが、ロスチャージについてです。

これは、弁当やおにぎりなどを中心に賞味期限切れとなった商品を廃棄した際、その分も売り上げに含めてロイヤリティを支払うというもので、店舗側にとっては損にしかならないものでした。

これは不当な請求だと訴えたオーナーが提訴して、東京高裁では勝訴したもののその後の最高裁では敗訴となっています。
その際に、期限が近い品物を割引して販売する見切り販売の制限も問題となりましたが、これは独占禁止法に該当するとして制限が解除されることになりました。

なぜ24時間営業しなくてはいけないのか?

そもそも、なぜこれほど24時間営業にこだわるのでしょうか?
コンビニにとって、24時間営業を続けることのメリットとしてはどのようなことがあるのかを考えてみましょう。

繁華街などの一部の地域を除いて、深夜営業というのは大した売り上げにはなりません。
特に田舎の店舗などは、深夜の時間帯に1人の来客もないことは珍しくないでしょう。
それでも、開店していることで電気代や人件費などはかかることになります。

しかし、深夜営業を辞めた店舗を見てみると、深夜営業をしていた時と比較して日中の売り上げが3割減ったそうです。
理由ははっきりしないものの、小売店での売上高が3割減るというのは大きなダメージとなります。

また、深夜の営業というのは来客を目当てにしているというよりも、店内の管理や棚卸の時間として考えられていることもあります。
店員が2人程度の店舗では、日中に来客の対応をしながら行うのが困難なので、深夜にそれらの業務を行いながら来客があれば対応する、という考えで開店していることも多いのです。

また、店舗を訪れる客にとっては、閉店時間に間に合うか、もう開店しているかと気にしながら訪れるよりも、いつでも開いているという安心感でコンビニを訪れる人も多いようです。
この心理が、日中の売り上げにも関わってきているのかもしれません。

24時間開いているからこそコンビニだ、という考え方もありますが、人手不足が目立ってきた現在では継続していくことが難しくなるでしょう。
今後のコンビニは、営業時間の短縮や店舗数の削減なども考慮していく必要があるかもしれません。

まとめ

社会全体で人手不足といわれ、コンビニでも店員が不足していく中で24時間営業を続けようと思った場合、そのしわ寄せはオーナーにかかってきます。
高齢のオーナーもいる中で、各コンビニは店舗の状況によっては今後短縮営業も視野に入れていくべきでしょう。
すでに短縮営業の実験を始めているコンビニチェーンもあるので、その結果によっては深夜営業が減ることになるでしょう。