中小企業経営者のワンマン経営による事業承継準備の遅れでの倒産リスク

M&A(事業承継・事業拡大・事業撤退)

中小企業の経営者には、ワンマンともいえる経営を行っているところも少なくありません。

ワンマン経営の経営者の多くは、事業承継の準備を軽視しているため、準備が遅れることで倒産リスクが高まることも珍しくありません。

なぜ、事業承継の準備が遅れると倒産リスクにつながるのか、解説します。

ワンマン経営による準備の遅れ

中小企業は、一代で興した会社も珍しくありません。

現在の経営者が創業者である場合、仕事はすべて自分の責任と考えることが多いため、経営に関してもワンマンになりがちです。

また、経営者の地位が子どもへと引き継がれている場合、2代目、3代目であっても先代の仕事を見て学んだ結果、同じようなワンマン経営になることも多いでしょう。

ワンマン経営の経営者の特徴として、事業承継を軽視するという面があります。

自分の子供が次の社長になるものと考えて、対策を練らない場合も多いのですが、いざ事業承継を考えたときに子供が承継を拒否するケースもあるのです。

継ぐのが当たり前と決めつけて、断られる可能性を考慮していないため、拒否された場合は事業承継が困難となるでしょう。

また、事業承継には本来、かなりの時間がかかります。

後継者がいる場合でも、承継前に仕事の引継ぎを行い、どのような業務を行うのかを確認しておく必要があるのですが、自分で会社を興した場合は引継ぎも軽視することが珍しくありません。

会社は、経営者がいなければ成り立たないものです。

もし、事業承継の準備が遅れてしまったことで、間に合わず経営者が働けない状態になってしまうと、会社は倒産する可能性が高くなります。

事業承継の準備とは

事業承継はすぐにできるものではないので、まだ承継を考える前から準備しておく必要があります。

準備をする際は、中小企業庁が出している事業承継ガイドラインを参考にして下さい。

事業承継では、資源を引き継ぐことになります。

資源には大きく分けて、ヒト、モノ、カネ、情報、知的財産の5種類があります。

資源の種類別の具体的な内容を、解説します。

ヒトというのは、労働力や創造性、技術力など、人間がモノを生み出すことに関わることをいい、企業においては従業員の仕事が当てはまります。

人は、経営者が後退することで変化することもありますが、変わらないこともあります。

モノに分類されるのは、事業で製造・販売している商品、提供しているサービス、設備や不動産などの事業用資産などを指します。

事業承継をしても、事業のための資産がなければ継続することはできないでしょう。

カネは資産といわれて真っ先に思いつくもので、事業用資金や企業保有の株式などを指します。

事業には運転資金が必要なため、事業と一緒に承継されることとなるでしょう。

情報には、取引先や顧客のデータやネットワーク、企業として開発を行った成果などがあります。

今まで積み重ねたデータがなければ、事業承継をしても一からのやり直しとなるでしょう。

知的財産は、特許を含む知的財産権や企業理念、ブランド、人的資産、組織構造などがあります。

無形の資産なので、他の資産とは異なる形で承継することとなります。

事業承継の準備というと、資産を経営者から後継者へと譲る際の相続税対策をまず考える人が多いのですが、相続税対策は必要な準備の中の一部に過ぎません。

承継する資産の中でも特に扱いが難しいのは、知的財産です。

形のないものを承継することになるのですが、そもそも知的財産として認識していないものも多いのです。

当事者にとっては当たり前のことであり、承継の際に気づかず手続きをしないことも珍しくありません。

しかし、知的財産は企業が持つ競争力の源泉です。

損なわずに承継するにはどうしたらいいか、競争力をさらに高めるには何が必要かを、時間をかけて取り組んでいく必要があります。

事業承継のパターン別の特徴

事業承継は、後継者に事業を承継してもらうことであり、ワンマン経営の場合は経営者の子どもなどの親族に継承させるパターンが多いものの、他にも役員を始めとした従業員に承継させるパターンや、社外に承継させるパターンがあるのです。

親族に承継する場合は、早期の段階で後継者教育を始めることができるため、不足することがないよう備えることができるでしょう。

また、十分な教育を施すことができた段階で、事業承継ができます。

また、経営者の子どもなどに相続させる場合は、財産や株式なども、相続という形で後継者に移転することができます。

ただし、後継者候補が承継する意思を持っていることが最低条件です。

会社の従業員が承継する場合は、すでに会社の経営方針などを把握しているため、説明する手間は最小限になります。

ただし、社内で派閥がある場合は派閥間の対立につながらないよう、注意する必要があります。

社外へと承継する場合は、M&Aという方法があります。

M&Aが会社の合併・買収という意味で、他の会社と一緒になったり、他の会社や個人が会社を買い取ったりすることです。

身近に後継者候補がいなくても会社を存続することが可能な方法で、事業売却であれば経営者は売却代金を受け取ることができます。

しかし、M&Aについて知識がないため、不安という人も多いでしょう。

M&Aに関しては、不動産のように仲介している会社やアドバイザー協会などがあるため、不安な場合は一度相談してみてください。

よくわからないまま、言われたとおりに事業承継を進めることは避けてください。

また、経営承継円滑化法という法律によって総合的支援を受けることができるので、どのような支援があるのかを事前に把握しておきましょう。

支援内容としては、遺留分に関する民法の特例による株式の分散防止や、信用保証枠の拡大による金融支援、事業承継に関する税の免除、猶予などがあります。

事業承継ができなければ、会社は倒産してしまうかもしれません。

自身が経営していた会社を倒産させずに存続させるためには、事前の準備をきちんとしておきましょう。

まとめ

中小企業の経営者の中にはワンマン経営をしている経営者も少なくないのですが、ワンマン経営の結果事業承継の準備が遅れてしまうことは珍しくないため、事業承継の準備の重要性を知ったうえで早めに準備しておくべきでしょう。

事業承継をするのであれば、事前に資産を整理しておく必要があります。

また、後継者が自身の親族か会社の役員・従業員か、あるいは外部の人材になるのかも、事前に決めておいてください。