みなさんは、銀行がどのような経営を行っているか知っていますか?
金融機関の経営は、ただお金のやり取りで成り立っているわけでなく、多くの企業にとって参考となる経営の考え方があります。
業界を問わず、その考え方って少し興味がわきませんか?
今回は、リスクアペタイトフレームワークについてご説明しましょう。
リスクに備えるだけが経営論でない
リスクアペタイトフレームワークとは、リスクと収益を一体化して考え、事業やそれに関連する業務を行っていくという考え方になります。
あまり馴染みのない考え方ですから、ピンとこない人もいますよね。
注目されるようになった経緯を少し説明しながら、もう少し分かりやすくお話ししましょう。
この考え方が生まれたのは、銀行の経営におけるある時期がきっかけとなっているのですが、近年の金融機関の状況を思い返してみて下さい。
リーマンショックが発生し、金融業界に不安が高まった時期があったことを覚えているでしょうか?
上記の出来事の反省から、金融機関の在り方が見直されました。
今までは、お客様から預かった資金をいかにして守るか、という部分に経営のポイントがありました。
つまり、現状の資産に考えられるリスクを、どれだけ小さくできるかということを念頭において運用していたと言えるでしょう。
ですが、人によっては資産を守ってくれるのは有難いが、リスクを回避してばかりでは上手くいかないこともありますよね。
そのため、リスクを避けつつも、より利益に繋げるためにどこまでのリスクを取るべきなのかということが求められるようになったのです。
そのため、リスクを全て悪いもの、回避すべきものと考えるのでなく、必要ならばリスクを引き受けながら経営を行うということになるでしょう。
「攻めに転じるためのリスク」、と言ってもいいのかもしれません。
導入すると組織内で変わることとは?
この考え方を導入した場合、一番分かりやすい効果としては、経営や業務に関わる内容の管理が一元化されることです。
例えば、企業内で共通の認識があったとしても、どの部署・部門にいるのかによって、そこでしか分からない情報や管理ルールというものがありますよね。
それらは、担当する部署内でやり取りする分には問題ありませんが、外部から見ると不明な点が目立つでしょう。
つまり、経営者に限らず、ある程度の認識や情報の共有化ができていないことを意味していますよね。
業務内容に限らず、内部で把握しているリスク内容も同様です。
リスクは経営に関わる重大な内容ではありますが、意外と全体共有されることは少ないのかもしれません。
これは、従来の金融機関でも同様で、資金や収益分の管理、リスク対策に関する内容は別個のものとして扱われていました。
各部門で何が問題となっているのか、現状が分からなければ、新しいリスクへの対策や内部変化は生まれません。
そのため、それぞれの管理を一元化し、情報を共有できる状態にすることで、リスクの取捨選択や将来的な経営を考えることができるようになるのです。
例えば、経営者が経営計画を考える時をイメージしてみて下さい。
計画を考える上で必要な情報が経営者の手元になければ、どのようなリスクを想定し、利益を上げるためには何をすればいいのか考えることはできるでしょうか?
これには、経営状態や計画を透明化する役割がありますので、経営者だけでなく、外部からの評価がしやすいですよね。
自分の企業の経営していくためには、内部を詳しく知らなければ、良い方向に導くことができません。
そのための方法だと思って頂けると、少し理解がしやすいでしょう。
参考URL NRI
(https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/ra/risk)
まとめ
必要に応じてリスクの取捨選択をすることは、より強固なリスク体制を身につけることに繋がります。
そもそも脅威となるリスクを共通認識として理解していなければ、いざという時に対応できません。
部署ごとでリスクを見てみぬ振りをしてしまうのは、企業が破滅するきっかけを作る事になるでしょう。
最初は金融機関で導入されたのが始まりですが、経営計画を考える上で参考にしてみて下さい。