契約破棄したい時はどうすればいい?契約解除の方法とは?

法律上では、「破棄」でなく「解除」と表現される契約時のトラブル。
何らかの事情で契約を解除せざるを得ない、というケースも珍しくありませんよね。
しかしそういったことは、簡単に行えるものなのでしょうか?
一旦結んだ契約を解除するのは難しそうですよね。
ここでは、解除の方法や注意点を解説したいと思います。

解除には多様な種類がある

そもそも契約を結ぶという行為は、両者の合意があって初めて成立するものです。
片方のみが認めないという場合は、成立したとみなすことはできませんよね。
成立までの過程を考えると、解除する場合も双方の合意がないとできないのでないかと思ってしまうでしょう。
ですが、解除する時は事情が変わることもあるのです。

多くの場合、解除を申し出るにはそれ相応の事情がありますよね。
そのため、双方でなく、片方が解除したいという意思を表すことで、契約自体の効果を無かったことにできるのです。
基本的に「契約」は、信義誠実の原則に則って行われ、特段の事情がなければ目的を達成するまで結んでおく前提になっています。
そのため、いつもで気軽に解除できるものでないことは、きちんと知っておいて下さい。

また、解除するにしても、一方的に意思を表示して終わりではありません。
内容に応じて、3パターンの方法があることを知っているでしょうか?
どのような解決を目指しているのかによって、利用するパターンが違ってくるかもしれません。
ここからは、そのパターンについて少し見ていきたいと思います。

・合意によって解除を目指すパターン

1つ目のパターンは、双方の合意によって契約を解除する形を取るものになります。
このパターンは、「合意解除」とも言われ、名称を見ると大きな争いもなく、平和に解決できる内容になりそうですよね。
この印象は、間違ってはいません。
双方の合意が得られるという視点から考えると、ある程度お互いが納得した形で実現できる方法になるでしょう。

1つの考え方としては、契約の解除という新しい契約を結ぶこと、として見ることもできそうですね。

・法律に基づいての解除を行うパターン

2つ目のパターンは、「法定解除」と呼ばれる、法律に基づいて契約の解除を行っていくものになります。
法律の中でも代表的なのは、「民法」になりますよね。
民法の中には、様々な取引に関する契約の扱いや、困った時の対応が規定されていますので、それに則って解決する形になると思って下さい。

このパターンが利用されるのは、解除に応じないという事態が発生した時です。
合意解除の場合は、双方が納得した形で行われますが、この場合だと片方からの合意が得られていませんよね。
多い事例としては、不動産の引き渡し等や業務関係ではしかるべき対応がなされない状況が挙げられるでしょう。
このような場合は、いつまで経っても解除に至ることができません。

こんな困った状況を解決に結びつけるのが、このパターンだと思って下さい。
一定の期間を設けて履行を促したにも関わらず、それがなされない場合は解除権が発生し、解除が可能になるのです。
つまり、ある程度強制的に解除できる方法の1つだと考えておきましょう。
一方で、民法上の規定では解除が難しい内容もあります。

その際は、他の関連法律を利用して解除するという形を取ると、解除が可能になる場合もありますから、状況に応じて判断する必要があるでしょう。
例えば、民法上は難しくても、消費者契約法では対応が可能なケースは、意外と多くあるのです。

・契約書に解除条件が定められているパターン

最後は、「約定解除」と言われる、契約時に解約時の内容が決められていた場合に利用できるパターンになります。
世の中には、様々な取引がありますが、中には契約している当事者同士で対応を決めている場合があるのです。
このような時は、法律上の手法を用いて解除するのでなく、契約書に記載されている内容が優先されると考えて下さい。

多くの場合、事前に契約書に何が起こると解除事由になり得るのかが書かれています。
例えば、支払いが困難になった以上に不能になってしまった場合、破産のような経営に重大な出来事が生じた場合が挙げられるでしょう。
これらのような状況になった場合、その後もやり取りを続けられるかというと、難しいですよね。

このことは、ビジネス知識としてご存知の方も多いでしょう。
また、結んだ契約の性質によっては、解除が特例的に認められているものもありますので、どんな契約を結んだのかも重要になります。
例えば、委任契約や請負契約を結んだ場合は、その必要に応じて損害賠償の支払いが発生しますので、注意しなければなりません。

ですので、契約内容の性質によっては、単に合意が解除されただけでなく、しかるべき対応が求められることを知っておきましょう。
今回は、委任契約や請負契約に少し触れましたが、その他にも履行拒絶や定期契約等、多様な契約パターンがあります。
それぞれの契約の特徴を知っておくことは、自衛にも繋がりますね。

・補足:将来の内容に対しての解除もある

また補足として、契約の内容によっては、解除によって過去に履行された内容が無効になってしまうのは困るということもありますよね。
実は、解除した時点から未来の部分に対しての効果を無くすタイプのパターンもあるのです。
例えば、雇用契約や賃貸契約で過去の内容に対しての対応が取られてしまうと困る、という事例もあるでしょう。

上記のような場合は、過去より将来の履行に対しての解除がされる方法を行っていると考えて下さい。
先程の3パターンの内容と比べると、どこに対しての解除なのかが明確に違うことが理解できるでしょう。

解除時にトラブルが発生しやすいのはなぜ?

最後に少しお話ししたいのは、解除時に発生するトラブルです。
契約関係のトラブルは、結構聞きますよね。
なぜ、トラブルが発生しやすいのでしょうか?

その原因は、根本的な部分にあります。
それは、契約を解除したいと主張する際に、その理由が実際に存在しているかどうか把握しにくい場合があるのです。
解除したいなら、その証拠はきちんと把握してあると、私たちは思ってしまいますよね。

ですが、契約内容によっては、その原因がはっきりしていなかったり、そもそも解除できる理由に当てはまっていなかったりすることがあるのです。
ここで、契約の基本的な考えに立ち戻ってみましょう。
契約というのは、1度結ぶと大きな効力を発揮し、高額のお金の移動にも繋がりますよね。
その影響力の大きさから、「やっぱりやめた」と簡単に辞めることはできません。

解除するには、それに見合った理由があることが当然求められますよね。
それが明確でない、当てはまらないで一方的に主張していることも、中にはあるのです。
そのため、解約を視野に入れた段階で問題なく解除できるかどうか、どんな人でも一度確認する時間を設けるべきでしょう。

また、どのような解除方法を選択したとしても、できる限り合意を持って解除できる方が双方にとって好ましいです。
実は、大事になってしまうと、企業や個人の信用に関わる等、ちょっとしたリスクが付きまとい、周囲からの印象が悪くなる可能性がありますよね。
そのようなイメージは、様々なリスクを生み出すきっかけになってしまう恐れがあるでしょう。

それを回避するためには、過程はどうあれ、合意での解決ができること。
これに尽きます。
特に、企業間のトラブルの場合は、譲歩する部分も出てくるかもしれませんが、穏便に済ませられる分に越したことはありません。

まとめ

解除というのは、契約の内容や状況によっては、大きなトラブルに発展してしまうリスクを孕んでいると言っても過言ではありません。
双方にとって一番良いのは、お互い納得した形で解除の手続きができることですから、争うのはあくまで最終手段だと考えて下さい。
また、契約を結ぶ前にきちんと対応を確認しておくことは、リスク回避になります。
何事も慎重に臨みましょう。