介護の現場/サービス残業問題

介護ビジネスは売上に比例してそれに対する費用も高くなる傾向があるため、要介護者が増えて売上が上がってもその分、介護職員を必要とするので人件費がかかります。さらに高齢者がメインのため、利用者が数名亡くなった場合にはすぐ赤字になるなど、経営破綻しやすいという特徴もあります。
国は介護の財源が不足している理由から介護サービスの報酬を減らしており、売上はさらに減らされる方向にある上、介護職員自体が不足していることで待遇改善が必要な状態です。


介護の現場ではサービス残業が蔓延している?
日本は高齢化が進んでおり、要介護者の数は増えつつあります。それに対して介護事業は経営悪化という状態ですので、介護職員の給与も今以上に高くできないと言えるでしょう。
しかし仕事の総量は増えており、サービス残業が蔓延している状況です。実際に介護の現場で月給制の職員のうち、残業した時間を正確に申告している人は半数程度です。
なぜ残業を申告しない?
申告しない理由の4割強は、職場内の申告しづらい雰囲気であることや、申告しても残業を認めてもらえない、自主的に残業しているといった意見もあるようです。
申告しても残業を認めてもらえないのは、介護事業者が認めてしまうと経営が赤字になることが挙げられるでしょう。
介護業界は低賃金で働く業界?
そもそも介護業界の構造自体が低賃金で労働する形になっています。増え続ける要介護者に対して流れるお金の総量は不足している状態で、団塊の世代が75歳を超え国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になる2025年問題にはこの問題はさらに大きくなると考えられます。
高齢化が働き方にも変化を起こしている
2000年から2010年の10年間で、土木作業員や建設技術者は40%、漁師や農家は30%、事務や工業系技術者は14%減少しています。その一方で葬儀関係者は1.5倍、介護職員などは倍以上に増加しています。
高齢者が増えて若者が減ることで、作る仕事に関わる人が減り、葬儀や介護の仕事に関わる人が増えるといった働き方にまで変化を起こしている状態と言えるでしょう。
処遇改善加算は意味があった?
介護職員処遇改善加算が2017年4月より改定され、1万円程度は給与が上昇しているはずですが、処遇改善加算の届け出をしない事業者も1割存在しています。
その理由として4割強の事業者が事務作業の煩雑さを挙げていますが、介護の現場における事務作業の非効率性が確認できると言えるでしょう。
現状ではサービス残業はなくならない?
現在のままでは介護事業所の構造自体は改善されず、介護職員にサービス残業を強いる状況が続いてしまいます。この問題を解決するために、短期的には混合介護を進め介護保険が適用されない介護サービスを増やすといった方法しかありません。
しかしそれではお金がなく通常の介護サービスを受けることができなる人も出てきてしまうでしょうが、そこまでしなければ介護業界のサービス残業はなくならないとも考えられます。