なぜお酒の規制は緩いのか?

法務リスク

数年前に、日本でもお酒の飲酒・販売に対して、規制の動きがあったことを覚えているでしょうか?
しかし、現在の状況を見ると、そこまで厳しく徹底している感じではありませんよね。
日本の場合、お酒に関しては寛容な考えを持っています。
なぜ、規制が海外と比べると緩くなっているのでしょうか?

日本人特有のお酒に対する見方とは?

例えば、日本においては、お酒よりも麻薬等の違法薬物を使用していることの方が重罪だと考えられていますよね。
反対に、海外では大麻等が吸われている国もありますが、お酒に関しては厳しい考え方を持っている国もあります。
そもそも日本が、お酒に対してどのような考え方を持っているでしょうか?

・健康被害の問題~タバコと比較すると~

よく嗜好品として、みなさんの周りにはタバコを吸っている人がいると思います。
しかし、日本人の私たちは、「タバコは良くない」として禁煙を勧めることをしますよね。
お酒も飲み過ぎると健康に影響するのに、なぜタバコばかりに目が向けられるのでしょうか?

それは、タバコと比較した時に、お酒の方がまだ影響が少ないとイメージされることが多いからです。
タバコに関して言うと、喫煙している本人の健康だけでなく、その煙を吸ってしまった周囲の人にも被害が及ぶ可能性がありますよね。
つまり、1人が吸っているだけでも、健康被害が拡大してしまう恐れが確実にあると言えるでしょう。

その一方で、お酒の場合は健康に影響すると言っても、基本的に飲酒をした人のみになります。
一昔前までは、少量のお酒ならば健康にも良いという話題がありましたので、イメージアップの情報があるとなると、一概に悪い物だとは思えませんよね。
身近な嗜好品から考えた時に、健康被害が大きいかどうかを考えると、お酒はそこまででないと考えられているのでしょう。
このような見方は、規制を厳しくしなくても良いと考えるきっかけになりやすいですよね。

・飲酒人口の割合は?

もう一つの考え方としては、飲酒人口の割合が挙げられるでしょう。
近年のタバコと飲酒を好んでいる人の状況を見ると、圧倒的にタバコの人口は少なくなっていますよね。
その背景には、先程述べた健康被害だけでなく、タバコの購入に関して増税がなされていることもあるでしょう。

同じように酒税も高めに設定はされていますが、それがきっかけでお酒を辞めるという人は少なくありませんか?
つまり、一定の割合でお酒は好まれているという事実があるのです。
確かに、ストレス発散の際のお供として、円滑なコミュニケーションを図るツールの1つとして、活用されている人も多く見られるでしょう。
そのため、飲酒人口がある程度いるということは、下手に規制をかけてしまうと、大きな反発に繋がりかねませんよね。

また、酒税の徴収の観点から見ても、規制がかかってしまうと、今までの収入分を確保できない可能性が十分に出てきます。
国の財政的なことを考えると、収入として確保できる面があるならば、少しでも確保できるようにしておきたいですよね。
ですので、飲酒人口の多さと財政収入を考えると、規制をかけて取り組むよりも、現状のままで進めた方がいいと思ってしまうでしょう。

・宗教的に否定される流れがない

海外で規制をかけている国の中には、健康被害という面でなく、宗教的な意味合いで禁止されているといった場合もあります。
例えば、宗教上で禁酒が決められているというようなことは、意外と珍しくありません。
中には、飲酒自体が禁止されていてなくても、酔った姿を見せるのはNGというような内容もありますから、お酒を嗜む態度全般に対応している場合もあるでしょう。

そう考えると、日本の場合はどうでしょうか?
宗教上の理由で禁止されるということは、ありませんよね。
日本の歴史から考えても、お酒を嗜むという行為は昔からありましたから、禁止されるような行為ではないことが分かるでしょう。

もちろん、飲むにあたって程度はありますから、必要以上に飲み過ぎてしまって潰れてしまうのは、日本人であっても好ましく思いませんよね。
酔いつぶれたまま移動する姿を見た時、海外の人の中には印象が悪いと思ってしまう人もいるでしょう。

規制が進められる理由は何か?

このように、日本ではお酒に対する規制が緩いですが、なぜ厳しくしようとしているのでしょうか?
急に始まったということは、物事にはありませんよね。
元々からの問題が積み重なった結果、規制が検討されるようになったと考えるべきでしょう。
それには、大きく2つの理由が関わっています。

・未成年者への飲酒を防ぐ

日本に限らず海外でも、お酒が飲めるようになる年齢は決まっています。
ですが、規制が全くなければ、未成年であっても簡単にお酒を購入できる環境になってしまっているのです。
それは、何も本人が飲酒目的で買う場合だけではありません。

例えば、親が飲むためのお酒を、代わりに買ってきてもらうということもあり得ますよね。
未成年者本人が飲酒するかどうかは、販売する側は分かりませんから、購入後どうなるのかは分からないでしょう。
それを利用して、未成年者がお酒を購入する手掛かりにされてしまう可能性は大いにありますよね。

それを防ぐために、未成年者でないことの確認を購入時にとったり、あえて買えないような環境を整えたりすることが求められたのです。
その一つが、自販機でのお酒の販売の禁止になるでしょう。
自販機ならば、年齢・時間帯に関わらず、誰でも購入できてしまいますよね。
このような状況を回避するためには、規制をかけていくしかないのかもしれません。

・アルハラへの予防策

お酒の規制は、個人で購入する部分に限らず、居酒屋等の飲食店での提供スタイルにも議論を呼びました。
代表的な例を挙げると、「飲み放題」のスタイルです。
これは、手軽に色々な種類のお酒を飲むには、もってこいのプランになりますよね。
お酒を飲む人が集まると、飲み放題のプランを選んだ方がお得だからと、利用している人も多いのでないでしょうか?

実は、楽しく飲めている分には、さほど大きな問題にはなりません。
問題は、アルコールを摂取することで、アルコールハラスメントのような問題に発展してしまう可能性があることになるでしょう。
近年、様々なハラスメントの防止に注目が集まっていますが、アルハラもその1つになりますよね。

些細な発言であったとしても、言われた側にとっては大きな傷となって残ってしまうことがありますよね。
また、意図的に発言しているような悪質な場合もあるでしょう。
そのような状況を回避・防止するためには、その原因となるアルコールを取り除くしかありません。
このような状況の対策だと知ると、少しは規制が必要なのかなと思ってしまう人もいるでしょう。

これら理由から、販売状況の見直しや広告に対しての規制等が、実際に行われているのです。
昔のCMで見ていた表現が、今はあまりされていないと、お気づきになった人もいますよね。
日本ではあまり規制がされていなくても、海外では規制の動きは主流になっています。
日本は緩すぎると言われているくらいですから、今ならその発言の真意がみなさんも理解できるでしょう。

今回の記事を見た時に、みなさんはお酒の環境についてどう考えますか?

参考URL AbemaTIMES
(https://times.abema.tv/posts/2305751)

まとめ

海外では、お酒に関して意外とシビアに扱っています。
最近は、若者の飲酒離れが進んでいると言われていますが、飲酒人口はまだまだ一定数ありますので、嗜んでいる人が多い状況でしょう。
規制を行ってはいますが、日本のように自由に購入ができるような環境は、海外では珍しいと思われています。
海外では規制は縛り付けるものと考えるだけでなく、お酒を楽しく嗜むための方法だと考えているのかもしれませんね。

お酒の規制に関しては様々な立場の方が見解を述べております。
整形外科医の立場からのご意見も参考にどうぞ。
本田ヒルズタワークリニックさんのお酒の規制に関する見解