国旗損壊罪とは??

その他

自民党内で、保守派を中心として国旗損壊罪を新たに創設しようという議論が始まっており、通常国会での成立を目指しているのです。
国旗損壊罪は日本の国旗を意図的に破壊することを禁じる法律ですが、なぜ創設する必要があるのでしょうか?
国旗損壊罪について、解説します。

国旗損壊罪とは

世界各国にはそれぞれの国の国旗があり、日本にも白地に赤い丸が描かれた日の丸と呼ばれる国旗があるでしょう。
日本の刑法において、外国の国旗を破壊した場合は外国国章損壊等罪という罪に問われることになるのですが、実は日本の国旗の損壊に関しては特別な罪はありません。

もちろん、他人の所有する国旗を損壊した場合は器物損壊等罪にあたりますが、自分で購入した国旗を損壊したとしても特に罪にはならないのです。
他の国で反日感情が高まった際は日本の国旗を燃やしたり踏みつけたり破いたりする様子が報道されることもありますが、特に罪にはなりません。

しかし、日本で同じように外国の国旗を破壊してしまうと、外国国章損壊罪になってしまうのです。
日本の国旗を尊重して守るために法律を定めようという試みは初めてではなく、1999年に制定された国旗及び国歌に関する法律でも存在していました。

しかし6月29日の衆議院本会議で当時の内閣総理大臣だった小渕氏が国旗に対する尊重規定や侮辱罪の創設を考えていないと答弁し、条文化は見送られたのです。

2012年には自民党の総務会で、日章旗を傷つけることに対する罰則を定めた国旗損壊罪の刑法改正案が承認されました。
国旗損壊罪は日本国を侮辱する目的で国旗を損壊、除去、汚損した者に対して、2年以下の懲役または20万円以下の罰金を科すものでした。

議案提出者は高市早苗氏、長勢甚遠氏、平沢勝栄氏、柴山昌彦氏の4名で、議員立法で第180回国会法務委員会に提出されましたが審査未了で廃案となりました。

2021年に、自民党保守団結の会の城内実氏や高市早苗氏は外国国章損壊罪が存在するのに日本の国旗に対する国旗損壊罪がないのはおかしいと主張したのです。
当時は主張に基づいて、政調会長の下村博文氏に国旗損壊罪を提出するよう要請しました。

また、高市氏は敗戦国だから罪にならないのだと自身のホームページのコラムに記述したのですが、毎日新聞はファクトチェックで否定して記述は削除されたのです。
ちなみにデンマークは日本と同様に自国の国旗損壊は表現の自由の一環としていますが、他国の国旗の損壊は犯罪としています。

自民党内では、岩屋毅氏が過度な規制につながるという意見から国旗損壊等罪には反対の立場をとっているようです。
2025年10月20日には、自由民主党と日本維新の会が2026年の通常国会で国旗損壊罪を制定することを記載した連立政権合意書を締結しました。

党内での議論が十分に行われないうちに合意書の中に入っていたという意見もあるため、強硬な姿勢で進めようとしていることがうかがえるでしょう。
10月27日には第219回国会において、参政党が日本国国章損壊罪の創設を内容とする刑法の改正案を参議院に単独提出したことを発表しています。

内容としては、日本国を侮辱する目的で日本国の国旗や国章を汚したり壊したりした場合は2年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金に処するというものです。
高市政権で法務大臣を務める平口洋氏は、記者会見の中で法改正の要否を含め対処すると述べています。

11月4日の高市早苗氏の所信表明演説では、制定することについて政府が必要とする取り組みを進めると代表質問で答えていたのです。
本年3月には小林鷹之氏が既存の法律の改正ではなく、議員立法による新法の提出を軸に検討すると意見を述べています。

しかし与党内の意見では罰することが困難だとも言われていて、国旗は尊重するべきという規定はしても罰則はない理念法にするべきともいわれているのです。
3月31日、中道改革連合の階猛氏は立法事実を疑問視しており、公明党の竹谷とし子氏は法制化が必要なのかも含めて慎重な議論が必要という意見を出しているのです。

なぜ国旗損壊罪が必要なのか

国旗損壊罪を創設することを強く望んでいるのは、自民党総裁である高市早苗首相を始めとした保守派の面々と考えられます。

高市首相は1月に日本の名誉を守るうえでも必要な法律だとネット番組の中で語っており、小林鷹之政調会長も記者会見で国民の心情を守る方法を考えると述べたのです。
江藤氏はすでにある国旗国歌法で『国旗を尊重しなければいけない』と定められていて、社会規範における当然の前提とされていると指摘しています。

ちなみに、アメリカ合衆国では1989年にテキサス州の州法に定められた国旗の損壊や侮辱を禁じるという方が違憲と判断されたのです。
保守派の最高裁判事も判例を聞き、同じく違憲であるという意見を出して判断を支持していました。

2026年3月31日、国民民主党の玉木雄一郎氏はアメリカの判例を引用して、日本での法案の議論も慎重な議論が必要になるという見方を示したのです。
また、アメリカでは1943年のウェストバージニア州教育委員会対バーネット事件で、公立学校で生徒が国旗に敬礼することを強制していた規則も違憲と判断されています。

一方でイギリスやカナダ、オーストラリア、ベルギー、オランダ、スイスなどには、自国国旗損壊を処罰する法律はないのです。
ノルウェーでは処罰があったのですが、2008年に自国だけではなく他国の国旗に関しても犯罪とする法律が廃止されています。

一方でヨーロッパではドイツやスペイン、フランス、イタリア、アジアでは中華人民共和国や韓国などで自国の国旗を損壊することを犯罪としているのです。
国によって同様の法律がある国とない国に分かれるため、必ずしも日本に必要とはいえないかもしれません。

まとめ

日本では外国の国旗を意図的に損壊すると罪に問われるのですが、日本のものは壊しても罪に問われることがないため、新たに国旗損壊等罪を創設することが考えられています。
主に高市首相をはじめとした自由民主党内の保守派が主張しており、日本維新の会や参政党なども同様の法改正を望んでいるのです。
日本の名誉を守るために必要とされていますが、海外では同様の法律がある国、ない国があり一概に必要とは言えません。