台湾有事とは⁇

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近年、中国の台湾に対する対抗姿勢が強まり、軍事的な圧力もかけて「一つの中国」を実現しようという動きがあるのです。
台湾有事が発生してしまえば、影響は台湾だけではなく近隣の日本、さらには世界各国に波及してしまうでしょう。
台湾事変とはいったい何のか、解説します。

台湾有事とは?

台湾は台湾島を中心とした周辺諸島を含めた地域の名称で、全域が中国の実行支配下にあるため中国の一部として見られることも多いでしょう。
現時点では事実上独立国家となっていて、民主主義が根付いている点で中国とは異なると考えられます。

日本でも台湾を中国の一部として扱ってきたのですが、2025年からは戸籍上の国籍欄に台湾と記載することが認められ、独立国家として扱うようになったのです。
台湾を完全に中国の支配下に置くため、中国が台湾に軍事侵攻するのではないかという想定は以前からされていました。

中国による台湾への軍事侵攻を想定した一連の有事シナリオのことを台湾有事といい、台湾問題と呼ばれる現状には常に付きまとっているのです。
中国が台湾に対して軍事行動を起こした場合、影響は台湾だけに限らず周辺国も巻き込んだ紛争になる可能性があります。

日本も他人事ではないため、安全保障におけるもっとも重要な課題の一つといわれて注目を集めているのです。
台湾がある位置は地政学上で東アジアの要衝にあたり、日本から見るとシーレーンの要所となっています。

日本では海外から石油や液化天然ガスなどを輸入していますが、運ばれる際は台湾海峡の近くを通ることが多いため、紛争が起こった場合は日本経済が大打撃を受けるのです。
中国では台湾のことを不可分の領土であると主張しており、必要なら武力行使も用いるという態度をとっています。

しかし、台湾の体制は事実上独立した民主主義体制となっているため、認識の違いによって中国との間に緊張状態が作られているのです。
中国による台湾への威嚇行動は常態化しており、台湾周辺で軍事演習を頻繁に行って戦闘機や軍艦によって威圧を続けています。

長い間威嚇行動は続けられてきましたが、特に2020年代に入ってからは頻度や規模があからさまに増加しているのです。
台湾有事において想定されているシナリオとしてまず海上封鎖があり、中国が台湾の周辺の海域を封鎖することで物資の流入を遮断するケースを想定しています。

武力行使を最小限に抑えつつ、台湾に圧力をかけようとした場合に想定されるシナリオといえるでしょう。
軍事行動を限定的に起こすというシナリオも想定されており、台湾島を避けて離島や軍事施設を目標として限定的な攻撃が行われる可能性があります。

全面的に進行するよりもハードルが低いため、国際社会の反応を推し量りながら段階的に限定を緩めてエスカレートさせていく可能性が高いでしょう。
さらに全面侵攻となった場合のシナリオは最も深刻な想定となり、アメリカをはじめ多くの同盟国が軍事介入に踏み切るかもしれません。

台湾有事の他国への影響

台湾有事が起こった場合は世界中に少なくない影響を与えることとなりますが、まずはすぐ近くにある日本が被る影響を想定する必要があるでしょう。
日本ではまず安全保障上の影響があり、日本の与那国島と台湾では110キロメートルとごくわずかにしか離れていないため巻き込まれてしまうリスクが高いでしょう。

アメリカは台湾の友好国なので、日本の在日米軍基地が後方支援の拠点になってしまう可能性が高いことから攻撃対象となるかもしれません。
経済面への影響としてはサプライチェーンが寸断されることが懸念されており、特に台湾は世界の半導体生産の中心地なので、世界経済に深刻な打撃を受けるのです。

台湾海峡は多くの船が海上輸送ルートとして利用して通過しているのですが、台湾有事の際は通過するのが難しくなってしまいます。
使用できなくなれば日本の貿易コストは大幅に上昇してしまうため、エネルギーや食糧を安定的に供給するのも困難となるでしょう。

台湾には日本人も常に在留しているため、紛争が発生したときは二万人余りの日本人の避難計画や保護措置などが重要な課題となります。
また、台湾から避難してくるのは日本人だけとは限らないため、他の避難民が来た時の受け入れをどうするかという問題の想定も必要でしょう。

日本以外ではアメリカの対応も重要となり、アメリカでは「一つの中国」政策を維持しながらも、台湾が独自の防衛能力を維持できるよう支援していました。
バイデン政権においては台湾防衛への関与を示唆していて、有事の際は軍事介入をすることも想定されていたのです。

しかし、トランプ大統領は台湾有事に対して、自分の任期中は何もしないと中国と約束していると明らかにしています。
日本政府では、台湾有事について日本の存立危機事態として位置付ける可能性を示唆しているのです。

国家安全保障戦略が2022年に改訂されたことで、新たに台湾海峡の平和と安定の重要性が明記されました。
欧州諸国やオーストラリアなど多くの国々も台湾海峡の安定に関心を示しており、軍艦を派遣するなど「航行の自由作戦」が実施されているのです。

台湾有事を防ぐには?

台湾有事を防ぐための取り組みとしてはまず外交的努力が必要とされ、話し合いによって解決する道を探ることとなります。
軍事衝突のコストを高めることで経済的に抑止できるよう取り組むことも、台湾有事を阻止するための重要な要素です。

日本では抑止力となるよう防衛力の強化を進めており、防衛に課する予算を増やして反撃が可能な能力も保有しておくことなどが求められます。
アメリカとの同盟関係の深化も抑止力向上の柱となっていて、日米豪印の「Quad」やG7などの枠組みを通じ、自由で開かれた国際秩序を維持するために協力しているのです。

まとめ

台湾有事は、台湾を実効支配している中国が完全に中国の一部とするために動くことを想定したシナリオのことで、台湾への圧力から軍事的制圧までいくつか想定されています。
もし実際に起こった場合、多くの日本人が台湾に住んでいて物理的な距離も近い日本に対する影響は大きく、国際的にも無視できないものとなるでしょう。
台湾有事を防ぐには、外交的努力や経済的抑止などが必要で、日本でも防衛力の強化などを考えています。