予算委員会に置いて、野党は高市政権の目玉の1つである物価高対策についての追及を行いました。
高市総理は、物価高対策の1つとして重点支援地方交付金を取り上げ、拡充することを強調したのですが、そもそもどのようなものでしょうか?
重点支援地方交付金について、解説します。
重点支援地方交付金とは?
予算委員会において、野党が物価高対策について高市総理に追及したところ、高市総理は対策の1つとして重点支援地方交付金の拡充を挙げたのです。
物価高対策は高市政権の政策の目玉の1つであり、内容は特に重要となるのですが、そもそも重点支援地方交付金に聞き覚えがない人もいるかもしれません。
重点支援地方交付金というのは、昨今の物価高騰による生活者や事業者への影響を考慮し、支援するための交付金です。
正式名称は「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」といい、デフレ完全脱却のための総合経済対策への対応として、令和5年11月に創設されました。
高市政権下で新たに創設された制度というわけではないのですが、今までよりさらに自由度の高い使い方ができるようにするという意味で拡充とされたのです。
令和6年11月2日に閣議決定された「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」では、推奨事業メニューに介護施設等が盛り込まれました。
さらに、物価高騰に対する支援を継続することや交付金の更なる追加を行うことなども明記されているのです。
重点支援地方交付金は、物価高から国民生活を守るについての対応の一環として創設されました。
地方公共団体が地域の実情に応じて効果的・効率的で必要な事業を実施できるように、必要となる資金を交付するものです。
具体的には、地方公共団体が作成した「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金実施計画」に基づく事業にかかる費用を国が交付金を交付します。
交付された資金によって、エネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者の支援を通じて地方創生を図ることが、最終的な目的です。
重点支援地方交付金の対象
重点支援地方交付金は、エネルギーや食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者の支援を主たる目的とする事業を対象として交付されます。
交付金による支援の効果が対象となる生活者等に直接的に及ぶ事業を対象とすることが規定されており、推奨事業メニューという形で定義されているのです。
推奨事業メニューは生活者支援と事業者支援に分類され、事業者支援にもいくつかの分類があります。
例えば、令和6年から対象となった介護事業であれば「医療・介護・保育施設、学校施設、公衆浴場等に対する物価高騰対策支援」に記載されているのです。
介護事業の詳しい内容としては、対象施設における食料品価格の高騰分などの支援、エネルギー価格の高騰分などの支援となっています。
介護事業以外の対象としては、まず生活者支援であればエネルギー・食料品価格等の物価高騰にともなう低所得者世帯の支援があるのです。
電力やガス、灯油などのエネルギーや食料品価格が高騰しているため、負担を軽減するために支援することを目的としています。
同じく、物価高騰に悩む子育て世帯も支援対象となり、小中学生の保護者の負担を軽減するため学校給食等の支援を行っているのです。
物価高騰の影響を受けた生活者に対しては、プレミアム商品券や地域限定のマイナポイントの発行などによって消費を下支えする取組などの支援も行っています。
家庭において、省エネ家電等への買い替えを促進するため、省エネ性能を基準として買い替えの支援を行うのも、取組の一環です。
介護事業以外の事業者支援としては、農林水産業が対象となり、配合飼料の使用量低減の取組や飼料高騰の影響を受ける酪農経営の負担軽減の支援も行います。
農林水産物の生産や調製、加工、貯蔵施設や土地改良区の農業水利施設の電気料金高騰も、支援の対象です。
化学飼料から転換するための地域内資源の活用などの取組に対しても、支援を行っています。
エネルギー価格の高騰対策として中小企業への支援も行っており、ビルや工業団地、卸売市場のテナントなども含めた特別高圧での受電などは支援対象です。
また、LPガスの使用や街路樹等の維持なども含めたエネルギー価格の高騰の影響を受ける中小企業や商店街、自治会等の負担を緩和することも目的となっています。
また、省エネの取組を支援したり、中小企業の賃上げ環境を整備したりするなどの取組も支援しているのです。
地方公共交通、物流や地域観光業などに対しても支援を行っており、地域公共交通・物流の事業者や地域観光事業者などのエネルギー高騰も、支援によって緩和します。
省エネ対策や地域に不可欠な交通手段の確保、地域特性を踏まえての生産性向上に向けた取組なども支援しているのです。
介護事業者のうち対象となるサービス種別は大きく4つに分けられ、訪問・相談系には訪問介護や訪問リハビリテーション、福祉用具貸与、居宅介護支援などが含まれます。
通所系のサービスは通所介護や認知症対応型通所介護、通所リハビリテーションなどで、多機能系は小規模多機能型居宅介護などが含まれるのです。
入所・居住系のサービスは介護老人福祉施設、養護老人ホーム、有料老人ホーム、対応型共同生活介護などがあてはまります。
令和6年は介護事業が特に重視されたものの、令和7年の重点支援地方交付金ではお米券など用途を拡充することが重視される見通しです。
また、いくつかの自治体ではデジタルギフトを活用したサービスも提供するなど、支援の幅がさらに広がりつつあります。
まとめ
重点支援地方交付金は、エネルギーや食料品などの物価高騰の影響を受けた生活者、並びに事業者を対象とした交付金で、地方共同団体の施策の実施を助けるものです。
物価高の影響が大きい低所得者世帯、子育て世帯などの経済的負担を軽減し、介護事業者や中小企業などの事業者も助けることにつながります。
昨年は介護事業が新たに対象として選ばれ、令和7年はお米券なども選択肢に入れるなど、さらに幅広くなるでしょう。

