経営者が知っておくべき使用者責任と運行供用者責任とは?

務内で自動車を使う場合、従業員は常に事故と隣り合わせともいえます。
では、実際事故を起こしてしまった場合会社にはどんな責任があるのでしょうか?
そこで今回は経営者が知っておくべき使用責任と運行供用者責任について解説させて頂きます。

使用者責任とは?

使用者責任とは交通事故で相手に怪我を追わせてしまった場合に、賠償責任を支払わなければならないことを意味します。
この使用者責任は不法行為責任と呼ばれるものの一つです。
通常、不法行為責任は直接危害をくらえた加害者が責任を負うものですが、
使用者責任は特殊ケースで、直接の加害者だけでなく、加害者を雇用している会社も責任を負うものです。
この場合、会社は加害者の使用者という形になり責任が発生するのです。
使用者責任が認められるケースは次の3つの条件を満たす場合です。
① 被用者の行為に対して不法行為が成立すること
② 使用者と被傭者の間に使用関係が認められること
③ 被用者の行為が使用者の事業執行に伴って行われたもの
これらの条件を満たす場合、被害者は加害者の使用者に対して損害賠償を請求することが可能です。
ここで一点補足しておくと、使用者が損害賠償を支払った場合、加害者の支払い義務がなくなるかと言うとそうではありません。
なぜなら、この場合使用者は全額ではないにしても、加害者に求償することができるからです。

運行供用者責任と使用者責任

従業員が交通事故を起こした場合は、先ほどまで解説させていただいた使用者責任と運行供用者責任の2つの責任が発生します。
運行供用者責任とは、加害者に対して自動車を提供したことに対する責任です。つまり、社用車を運転している際に事故を起こした際に発生します。
これは業務時間外であっても社用車であれば適用されるものです。
一方で、使用者責任は社用車でない場合でも責任が発生する場合があります。
それは、先ほども触れたように使用者責任は自動車が誰の所有かなどは関係なく、事業を失効していたかどうかに関わるものだからです。
つまり、従業員がマイカー通勤していた場合でも、会社がマイカー通勤の禁止を明言し、黙認もしていない状況を除いては使用者責任が発生すると感考えていた方がいいでしょう。

このように従業員の事故は基本的には使用者である会社側にも損害賠償が発生してしまうものです。そのリスクを少しでも減らすために、ルールを明確に定義することや日頃から従業員への安全運転の意識づけなどを徹底する必要があるでしょう。