損益計算書はどこを見れば良い?企業の問題点を探るために

損益計算とは一会計期間内にどのくらい利益を得ることができたのかを計算するという会計用語です。

損益計算書で企業がどのくらい儲けたかを調べることができます。

短期業績は損益計算書で確認を

貸借対照表の繰越利益剰余金は、事業を始めて現在までの累計によりどのくらい儲けたかを見ることができます。

しかし1つの決算期にどのくらい儲けたのかまでは確認できません。1つの期間中にどのくらい儲けたかを調べるためには損益計算書で確認できます。

長期的な企業の業績は貸借対照表、短期的な業績は損益計算書で確認できます。

貸借対照表の確認方法

貸借対照表は現金預金などの流動資産が前期から減少し、買掛金などの流動負債が増えれば業績がこの先悪化してしまうかもという推測ができます。

一方損益計算書は、毎月、半期、四半期、1年など期間ごとに作成することで、その期間の売上の伸びを確認することができます。

利益が出ているか、どの部分を改善するべきなのか、そしてどの部分が悪化したことで赤字になったかということも確認することが可能です。

「当期純利益」を確認すれば良い?

損益計算書を見る際にはつい「当期純利益」や「税引前当期純利益」などに目が行きがちです。

しかし当期純利益などには「固定資産売却益」などの臨時的な損益も含まれていますので、そこだけ確認しても現状何が問題なのかの判断材料にはなりません。

注目すべきは「経常利益」

「経常利益」は毎期の事業活動による利益ですので、儲けと受取・支払利息などの損益を含んだ数字になっています。

企業の健康状態を知るためにはこの経常利益がとても重要になります。

こんなケースは特に注意!

例えば『当期純利益が黒字』なのに『経常利益が赤字』の場合や、『利益がほとんど出ていない』場合は注意が必要です。

これは本来の業務以外の臨時的な収益によって黒字になっている状態なので、臨時的な収益がなくなると経営困難な状況に陥ることになります。

逆に『当期純利益が赤字』なのに『経常利益が黒字』の場合はどうでしょう。

これは経営再建中の企業でよく見られる傾向ですが、稼働率の良くない設備を廃棄処分し経営再建を目指していることが原因の赤字であれば次年度以降に期待が持てます。

本業で得た利益は「営業利益」で確認

営業利益は企業が本業で得た利益ですので、『経常利益は黒字』なのに『営業利益が赤字』の場合は注意してください。

雑収入などの収益により本業の赤字の補てんを行っている場合が考えられますので、なぜ営業不振なのかの原因を追究していく必要があるでしょう。

逆に『経常利益は赤字』で『営業利益が黒字』という場合はどうでしょう。

この場合は金利の負担が大きすぎることが考えられます。しかし本業での利益は出ている状況のため、金融機関と上手く交渉することができるかもしれません。

通称、粗利益と呼ばれる「売上総利益」

よく業界用語で「粗利益」と呼ばれることがあるものが売上総利益です。

売上高から製造・仕入にかかった費用を差し引いた本業の利益の骨格となる部分ですので、伸ばしていく必要のある部分です。

損益計算書は企業の通知票

損益計算書では期間ごとの売上の伸びやどのくらい儲けたかを確認することができます。

ただし当期純利益ばかりに捕らわれると肝心な部分を見失ってしまいますので、全体を通して確認するようにしましょう。