日本では横行⁈タックスヘブンとは?

法務リスク

経営者や起業を考えている人にとって、税金面のハードルは大きいですよね。
特に日本は、法人税が高めであることで有名ですから、苦労されている方も多いかと思います。
しかし、世界には税金面でお得な場所というのが存在しているのを知っているでしょうか?
今回は、タックスヘブンと日本の関係について解説します。

そもそもタックスヘブンとは何か?

経営関係の勉強をしているみなさんは、タックスヘブンという言葉を聞いたことはありませんか?
まずは、簡単にですが概要をご説明しましょう。

・どのような意味なのか?

それぞれ「タックス」は税金、「ヘブン」は天国の意味合いになりますが、実はこの訳では間違っているのです。
「ヘイブン」という避難所という単語と組み合わさったことにより、税金の避難所、回避地という意味で、経営者にとっては魅力的な単語ですよね。

どうしても企業等の経営を行っていると、法人税や所得税の納税が必須になります。
しかし、規模が大きくなればなるほど、その納税額は高額になってきますから、その分で利益が失われてしまうと考えてしまうでしょう。
しかし、タックスヘブンを知ると、それに当てはまる地域に興味を持つこと間違いありません。

これは、税金の税率が低めに設定されている地域・国のことを示す言葉になります。
しかし、どのような地域が当てはまるのか、ピンとこない人もいるでしょう。
現在では、例えば、モナコやルクセンブルク、バージン諸島といったカリブ海の島が挙げられ、中には聞いたことのある国もありますよね。
今は一例をご紹介しましたが、この他にもたくさんあります。

ところで、なぜこれらの地域が税率を低くしているのでしょうか?
それには、国や地域の社会的な事情が関わっていますので、戦略的に行っていると言えるでしょう。

・なぜ税率を低くする等の優遇策を取っているのか?

タックスヘブンを行っている地域の多くは、有力産業が地元で中々育たないという悩みを抱えています。
世界には、名立たる企業がたくさんありますが、その企業の本社がどこのあるのか思い出してみて下さい。
本拠地となっている地域・国は、ある程度決まっていますよね。
企業活動が盛んな地域では、経済活動が発達しているだけでなく、大きな資金力を兼ね備えているでしょう。

しかし、企業が育ちにくい地域では、中々代表的な企業を育成する地盤さえ厳しい場合があります。
そうなると、可能な手段としては、有名で資産力のある企業に来てもらい、お金をその地域に落としてもらうことが挙げられますよね。
海外の企業に来てもらうには、やはりメリットが必要になるでしょう。

そのメリットに、税金の優遇を取り入れたと言っても過言ではありません。
ある意味では、地域の活性化のために選んだ手段と言っても、いいかもしれませんね。
みなさんも経営者の立場であるなら、このような地域を利用すると多くのメリットが得られると考えるでしょう。

対抗するための日本の対応

企業の経営者や富裕層にとっては、魅力的な場所になりますが、実は国の税制度から考えると非常に好ましくないことです。
少し前に、パナマ文書で注目を集めましたが、なぜそこまで大きな問題に発展しているのか、イマイチな人もいますよね。
ここでは、日本への影響や対策について解説しましょう。

・不正行為が行われやすい場所としての位置づけ

この行為は日本だけでなく、海外でもあまり好ましいと思われてはいません。
それは、なぜなのでしょうか?
富裕層にとっては、税金に対して優遇措置があるだけでも有難いですが、欲張ってあることを考えてしまいませんか?

例えば、課税対象となる金額を減らすことができれば、納税額を少なくすることができるのでないか…。
これが実現できれば、自分の懐に入るお金が増えますよね。
実は、このような考えを持った人が多く存在し、優遇措置を頻繁に悪用している事実があるのです。

例えば企業の場合、ペーパーカンパニー等を設立してお金を動かすと、本国での納税額を少なくできますよね。
つまり、申告額が少なければ、税率が高くても納税額はそこまで高額にはならないでしょう。
これを利用している人が、多発しているのです。

何より厄介なのは、疑わしいと思ってペーパーカンパニーのお金の動きを調べようとしても、中々調査ができないという点があります。
そのため、お金の動きがはっきり分からず、かといって情報の提供に応じないこともありますので、これでは正確な調査ができませんよね。
一般的な方法で、このような税金の回避方法を取ると、必ずどこかで情報が漏れてしまい、完全に逃げ切ることはできないでしょう。

しかし、タックスヘブンの場合は、情報を掴む手段やきっかけが見つかりにくいですよね。
そう考えると、安心して税金の調整行動を、自らできるのです。
これほど安心できる場所は、他にはないでしょう。

このような状況を、日本は特に問題視しているのです。

・なぜ日本は問題視しているのか?

日本が問題視しているのは、やはり徴収できるはずであった金額の大きさにあります。
富裕層となると、一般人と比べて納税で徴収できる金額は圧倒的に高額になりますよね。
その分が税収として、日本の財政に組み込まれていることは、周知の事実でしょう。

しかし、本来回収できるはずであった分が徴収できないとなると、財政的には苦しくなるのが目に見えていますよね。
5年前に発覚したパナマ文書の件でも、流失していた金額が約60兆円を超えていました。
この金額は、本来日本で徴収していたはずの金額になりますから、大きすぎる損失になってしまいます。

下手をすると、消費税で増税した分をそれだけでカバーできる金額になりますから、私たちの生活にも関わってくる出来事になるでしょう。
この事実を知った時、なぜ騒がれていたのかが理解できますよね。

そして、問題はこれだけではありません。
近年、富裕層を中心に、該当地域へ移住する等という形で租税回避を行おうとしている人も増えているのです。
企業だけでなく富裕層からの徴収も困難になってしまうと、より国家財政に影響が出てしまいますよね。

これ以上の流出を防ぐためにも、日本は法律を制定し、回避行動については厳しく目を光らせているのです。

・日本のタックスヘブン対策

日本では、タックスヘブン対策税制を導入し、お金の動きに目を光らせています。
例えば、税制の優遇措置によって税率が低い地域に、外国企業として設立した場合、昔ならばその地域のお金の動きを追うことは困難でした。
しかし、本税制では、そのような企業の場合は、日本国内に設立されている所得と合わせて計算されるといった形になりますから、抜け道を防いでいるでしょう。

2019年には制度改正も行われていますから、問題意識の高さが伺えますよね。
富裕層の人たちは、あくまでも節税として、あたかも合法的な手段を利用して行っていると述べていますが、みなさんはどうでしょうか?
確かに、税制度関係の難しさや悩みはありますが、このような行為は合法的な行為とは言えませんよね。

確かに、地域の特性を生かすことも大切ですが、この影響で国に対しての損失の大きさも否めません。
もし、該当地域での企業設立を検討している場合は、日本の税制度もよく確認して対応するようにして下さい。

参考URL税理士ドットコム
(https://www.zeiri4.com/c_1076/c_1024/h_324/)

まとめ

タックスヘブンについて、ご理解頂けたでしょうか?
該当地域では、外国企業を誘致するための手段として優遇措置を取っていますが、それを悪用するケースも少なくありません。
日本の場合、税制対策に力を入れていますので、どのような形で税金の計算がなされるのか、個人で判断するのは難しいことが多いです。
内容は複雑ですので、専門である税理士に相談しておくのが経営的にもベストでしょう。