損益だけでなく、キャッシュフローを意識した経営がなぜ必要か?

キャッシュフロー経営という言葉をご存知でしょうか?
言葉の通り、キャッシュフローを意識した経営方針のことを意味しますが、実際に実行できている企業は少ないように感じます。
特に、中小企業の場合、キャッシュフロー計算書を作成していない、もしくは有効に活用できていない傾向が多いようです。
しかし、中小企業ほどキャッシュフローを意識した経営が必要だと思います。
今回はその理由について解説させていただきます。

キャッシュフローを正しく理解しましょう

そもそもキャッシュフローは現金の流れを意味しており、一定期間の企業活動の中で実際に発生した収入と支出を計算し、実際に手元に残る資金の流れを指しています。
ここで重要なことは、「実際に手元に残る」ということです。
どの企業も作成している損益計算書や貸借対照表では、手元に残る現金を把握することはできません。
なぜなら、計上では売上になっていても、売掛金などで実際に現金はまだ手元にない状態などが会社経営では多々あるからです。
ニュースなどを見ていて「黒字倒産」という言葉を聞くことがありますが、まさに黒字倒産の大きな要因はキャッシュフロー経営ができていない事が多です。
キャッシュフローを正確に理解する事で、会社で使用しても良い費用なのか、支払い能力はどの程度あるかを把握する事ができます。

キャッシュフロー経営のメリットとは?

このように実際の現金の流れを把握する事で、黒字倒産のリスクを軽減する事ができます。
他にも、使える現金がどれほどあるのかがわかれば、新たな投資を行う際に借り入れをするべきかどうかなど、意識決定の精度が格段に上がります。
また、キャッシュフローの状況を開示する事で、株主や銀行などの信用アップにも繋がり、経営が強化できると言えます。
このようにキャッシュフロー経営を行うことは、多くのメリットが存在します。
手元の現金が増えれば、経営は安定しますし、万が一取引先に何か問題が発生した場合などの不測の事態にも冷静に対処する事ができるのです。
しかし、中小企業キャッシュフロー計算書を作成していない傾向があります。
日本の会社経営においてキャッシュフローが注目され始めてまだ時間がそれほど経っていない事が原因でしょう。
しかし、中小企業ほどキャッシュフローを正確に把握するべきですし、キャッシュフロー計算書を作成するべきです。
なぜなら、会社規模が小さいほど金融機関から融資を受ける際の審査が厳しくなります。この記事を読んでいて抱いている方も、融資審査で苦い思い出がある方も多のではないでしょうか?
この場合、キャッシュフロー計算書があるのとないのとでは大きく違いがあると言えます。
なぜなら、銀行側が融資審査の際に意識するのは、その会社の現金がどれほどあるかです。理由は明確で、キャッシュフローがわかれば返済能力がある程度把握する事ができます。
つまり、キャッシュフロー計算書があれば、通常よりも融資は受けやすくなる傾向にあります。
資金調達の難しい中小企業にとって、これほどのメリットはないように思います。

キャッシュフロー計算書を理解しよう

これまででキャッシュフロー経営の重要性は理解いただいたと思います。
しかし、中には作成はしているけど、活用はできていないという方も多いのではないでしょうか?
実際、中小企業の社長は学校で会計の勉強をしている方がそれほど多くありません。財務3表である、損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書は会計士に任せきりで、イマイチ理解できていないという声も聞きます。
ここでは、キャッシュフロー計算書の見方を説明させていただきます。
キャッシュフロー計算書はその中で大きく3つに分ける事ができます。
一つは、「営業キャッシュフロー」です。
これは非常にわかりやすくて、商品販売やサービス提供などの会社の本業の営業活動から得たキャッシュのことを指します。
営業キャッシュは大きい方が会社は安定していると言えます。
ここで忘れてはならないのが、あくまでも手元にある現金を増やす事が営業キャッシュ増加につながります。
つまり、売掛金での販売が多くなっても、営業キャッシュ増加には繋がらないのです。代金の回収はできるだけ早くし、一方で仕入れの支払いのスピードはできるだけゆっくり、かつ在庫減少させて行く事がポイントです。
また、損益計算書上で言えば、経常利益が最も営業キャッシュに直結しているので、いかに経常利益を増やす経営ができるかが重要です。
先ほど触れた、銀行の融資審査でチェックされるのは、この営業キャッシュフローです。なぜなら、この部分が銀行からの借り入れの返済原資になるからです。
つまり、営業キャッシュフローがマイナスの場合は、銀行からの融資は難しいと言えます。
また、「融資を何年で返済可能なのか=債務償還年数」も融資審査でチェックされます。融資額を営業キャッシュフローで割れば、およその年数が計算できます。
一般的には、この債務償還年数が10年以下であれば、比較的融資は受けやすいと言われており、10年以上の場合は厳しいと言えます。
銀行に相談に行く前に、この辺りを一度チェックしてみるといいかもしれませんね。
二つが、投資キャッシュフローです。
これは営業活動でなく、投資活動においてのキャッシュの増減を表します。
言い換えれば、固定資産の取得・売却で増減したキャッシュとなります。
ちなみに、固定資産とは営業活動に必要な資産で、建物や車両・機械・その他備品などを指します。
つまり、これらを購入する事が「固定資産の取得」になり、投資キャッシュ上はお金が出て行くことになるのでマイナスになります。
逆に、建物の売却等は「固定資産の売却」になるため、投資キャッシュはプラスとなります。
一般的には、投資キャッシュフローはマイナスが良いと言われています。
そもそも、営業活動で機械が必要な場合、その機械は年々古くなって行くわけですから、現状維持をするのにも設備投資は必要です。
投資キャッシュフローで重要なことはバランスです。
いくらマイナスが良いと言っても、限界があります。
営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを足したものをフリーキャッシュフローと言いますが、このフリーキャッシュフローがマイナスにならない範囲で投資する事が重要です。
ただし、将来的に大きく営業キャッシュフローが伸びることを前提に、大型投資を行う事があるかと思います。これはどんな企業でも起こり得る事です。
この場合、一時的にフリーキャッシュフローがマイナスになる場合が多いですが、これは仕方のない事だと思います。
そのため、正しい経営状態を把握するのは単年のキャッシュフローを見るよりは過去5期分を見るようにしましょう。
そして3つ目が財務キャッシュフローです。
これは会社を伸ばして行くために、どれほど資金が調達され、どれほど返済されているかを表しています。
例えば、資金が不足した場合、どのように資金調達行ったかや、逆に資金に余裕があった場合、どのように返済を行ったかを把握する事ができます
財務キャッシュフローで注目するべきは借入金の増減です。
借入が必要なタイミングがあるのは会社経営上ありますが、借入金が少ない方が優良企業であることは言うまでもありません。
借入が増えれば、当然利息も大きくなるためそれの返済に更に借入すると言うような負のスパイラルに入る場合もあります。
自社の返済能力以上の借入は行わないことを意識した会社経営を行いましょう。
今回はキャッシュフロー経営について解説させていただきました。
中小企業経営者ほどキャッシュフローを意識した経営をするべきです。
まずは、キャッシュフロー計算書を作成していただき、手元にある現金を意識する良いクセづけが出来れば、会社の安定につながるでしょう。

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