現在、買い物をしたときには当たり前に支払っている消費税ですが、導入された経緯については覚えているでしょうか?
消費税が導入されたのは今から37年前の1989年のことですが、導入されてから今まで様々な問題も起こってきたのです。
導入の経緯や税率の変化について、解説します。
消費税が導入された経緯は?
2025年7月の参議院選挙における大きな政治的争点となったのが消費税で、野党では消費税の減税や廃止を主張していたのです。
しかし自民党や当時連立政権を維持していた公明党は社会保障を滞りなく行うために必要な財源として重要だと主張して、維持する方向性を示しました。
今でこそ生活するうえで当たり前に支払っている消費税ですが、どのような経緯で導入されたのでしょうか?
日本で最初に消費税の導入が検討されたのは1978年のことで、翌年導入されることが決定されたものの撤回され、総選挙で自民党が大敗したため一度は立ち消えとなりました。
1987年には売上税という名前で法案が提出されたものの、自民党は統一地方選で大敗して法案も廃案となりました。
しかし、翌年には消費税法案が国会に提出されて成立し、1989年4月から導入されることになったのです。
繰り返し議論されることとなった背景には所得に課税するだけでは増大しつつある国家財政需要に対応するのが困難になっていたことがあります。
1978年の大平正芳政権では第2次オイルショックに直面したことで赤字国債の発行額が年間10兆円を超えるなど、財政危機が深刻化していたのです。
大平首相は、安定財源として景気に左右されにくい一般消費税の導入を掲げたのですが、国民から多くの反対意見が出されたため導入には至らず終わりました。
中曽根康弘政権では、財政を再建させるための切り札として1987年に消費税と似た仕組みの売上税を提唱したのです。
しかし、小売業者を中心に国民からの強い反発があり、党内からの反対も根強かったことで断念を余儀なくされました。
2度の失敗を経てとうとう導入に成功したのが竹下登政権で、過去の失敗を教訓に綿密な根回しと強力な政治基盤を背景に消費税構想を推し進めたのです。
1988年に国会で消費税法案は可決成立したのですが、野党の牛歩戦術により本会議は一昼夜をまたぐこととなりました。
消費税構想は導入の過程で大平政権、中曽根政権、竹下政権という3つの政権を終わりに導くことになるほどの困難な政策でした。
導入後は複数回の税率の引き上げによる増税を経て、現在では従来の基幹税であった所得税、法人税を上回る日本の基幹税になっています。
導入された当時、竹下首相は消費税を財政再建だけではなく、高齢化への対応も目的として掲げていたのです。
当時から高齢化が進んで徐々に社会保障費が増加していたことが大きな問題となっており、現代の消費税議論にも通じるテーマが当初から存在したことがうかがえます。
当初は3%でスタートしましたが、社会情勢の変化や財源需要の増加に応じて引き上げが行われており、1997年4月1日からは5%に引き上げられたのです。
5%に引き上げられた際は橋本龍太郎政権で、バブル崩壊後の財政再建と社会保障費の増大を背景に行われました。
また、2014年には民主、自民、公明の3党合意による社会保障と税の一体改革の一環として8%への増税が実施されたのです。
改革の一環として8%に増税されたことで、社会保障の安定した財源として用いられることが明らかにされました。
2019年10月1日には10%に増税されましたが、食品など一部の品目に対しては軽減税率が適用されて現在でも税率8%に据え置かれているのです。
消費税は景気が変動しても安定して税収が得られるため、年々増大して2020年度にはついに所得税を抜いて日本の基幹税となっています。
消費税収は、1990年度の3.3兆円から1997年度には3倍近くに、2014年度には5倍近くになり、2024年度には25.0兆円へと急増したのです。
全税収に占める割合は、導入当初は6.0%とあまり大きくなかったのですが、現在では全体の3分の1にまで増えています。
そもそも消費税とは
消費税というのは商品やサービスの消費者が実質的に負担して事業者が国に納める間接税で、その納税義務者はあくまで消費者ではなく事業者です。
消費税は、商品の生産・流通の各段階で事業者が新たに生み出した付加価値に対して課税されています。
例えば、原材料を仕入れて商品を製造し小売店に販売するメーカーの場合、原材料の仕入れ時に消費税を支払う一方で商品の販売時に小売店から受け取るのです。
メーカーが国に納付する消費税額は、仕入税額控除という仕組みによって販売時に受け取った消費税から仕入れ時に支払った消費税を差し引いた差額となります。
もしも仕入れ時に支払った消費税のほうが多ければ税額は発生せず、消費税が還付されて逆に差額を受け取ることができるのです。
消費税は原則として国内で事業者が事業として行い、対価を得て提供される商品の販売やサービスが課税対象となります。
一方で、社会政策的な配慮や課税になじまない性質の取引は非課税取引として消費税がかからないのです。
消費税がかからない取引の例としては、土地の譲渡や貸付け、有価証券の譲渡、預貯金の利子、社会保険医療、介護保険サービス、学校の授業料、住宅の貸付けなどがあります。
2023年10月にはインボイス制度が導入されたのですが、制度の導入の目的は仕入税額控除を正確に行うことです。
インボイス制度下では、消費税を納税する課税事業者が仕入税額控除を受けるためには、原則として適格請求書発行事業者が発行した適格請求書を保存する必要があります。
的確請求書をインボイスといい、登録番号や適用税率、消費税額などが正確に記載されていて取引の透明性を高め、正確な納税を促す役割があるのです。
まとめ
消費税は1978年から導入について議論されていて、1989年になって実際に導入されるために3つの政権が終わる原因となるほど多くの反対意見がありました。
導入された際は高齢化社会の社会保障費への対応のためという目的もあり、当初は3%でしたが5%、8%、10%(軽減税率は8%)と徐々に増税されてきたのです。
消費税は国内で事業を営む事業者が納税する必要のある税金で、現在はインボイス制度が導入されています。

