近年では皇室典範を改正する必要があるのではないかという議論が度々なされており、特に女性天皇や女系天皇も認められるべきではないかといわれています。
しかし、耳にする機会が増えていても女性天皇と女系天皇の具体的な違いについてはわからないという人も多いでしょう。
女性天皇と女系天皇の違いについて、解説します。
女性天皇と女系天皇の違いについて
現在、皇室の存続に関わる大きな問題となっているのが、皇位継承問題といわれるものです。
近年は皇族数が著しく減少していて、現在のルールに従って皇位を継承できる皇族もかなり少なくなっています。
現在はまだ後継者がいるのですが、将来的に皇位を安定して継承していけるのかどうかが有識者会議などで議論されているのです。
現在、皇室に関して定められている法律である皇室典範において、皇位を継承できるのは皇統に属している男系の男子と明記されています。
現時点で継承する資格があるのは皇嗣秋篠宮文仁親王殿下と悠仁親王殿下、常陸宮正仁親王殿下の3方のみに限られ、次世代にあたるのは裕仁親王殿下しかいないのです。
女性皇族は結婚に伴って皇族の身分を離れることとなるため、皇族として活動できる人数も減少を続けています。
今のままでは皇位継承に限らず、国際親善や被災地へのお見舞いなどの公的活動を支える皇族さえもいなくなってしまうかもしれないという危機感が高まりつつあるのです。
皇室の現状を鑑みて議論されているのが女性天皇、もしくは女系天皇を認めるかということですが、女性天皇と女系天皇の違いが判らないという人も少なくありません。
天皇に即位する方の性別が男系の皇族であり女性であれば女性天皇であり、過去にも何名か前例となる女性天皇が存在しているのです。
ただし、今まで女性天皇はいたのですが男系で、父が天皇であったか天皇家出身であった方に限られています。
一方で女系天皇は天皇に即位する方の性別は問わないのですが、父親が民間人など後継外の出身で、母親が天皇もしくは天皇家出身である天皇のことです。
現在の皇室でいえば、天皇陛下の長女である内親王の愛子様であれば即位した場合に男系の女性天皇に当てはまります。
しかし、愛子様が民間の男性とご結婚されて生まれた子どもが天皇となった場合は、子どもの性別を問わず女系天皇となるのです。
男系と女系では、男系は父方の血筋のみを初代天皇である神武天皇につながるのに対し、一代でも母方の血筋が神武天皇につながる場合は女系になるという違いがあります。
母方の血筋が神武天皇とつながっていれば女系となるため、一代だけでも母方の血筋を介している場合は女系となり、将来的にも男系となることは起こりえないのです。
しかし、男女平等を叫ばれる現在、女性や女系ではダメだといわれると納得できない人もいるかもしれません。
多くの日本人が同様に感じていると思いますが、今まで女性や女系がダメといわれているのにはいくつかの理由があるのです。
日本の皇室は万世一系という概念で、初代の神武天皇から連綿と続く父系での血統を守り続けてきました。
江戸時代までは側室制度があったため、比較的多くの男子皇族が生まれており男系継承が維持されるのにも問題がなかったのです。
また、生物学的視点でいうと男性が持つY染色体は遺伝する際にほぼ変化しないため、男系継承によって維持されると考えられています。
国体や伝統維持の観点から、世界最古の王家としての権威や過去から連綿と続く文化を簡単に変えてはいけないという強い意識があるのも、理由の1つです。
ルール変更に対しての考え方
皇位継承を安定させて皇室数を確保するための解決策が色々と議論されていて、大きく分けて2つの方向性に分かれています。
1つ目は現状の男系男子を原則として維持したうえで、範囲を拡大して戦後にGHQの政策で離脱した過去の皇族のうち男系の子孫を皇族にするという考えです。
あるいは、後続の子孫の男性を養子にして、皇位継承権を持つ男子を増やそうという考え方もあります。
賛成意見には血統や伝統、歴史を守ることができるというものがあるのですが、反対意見には本人の戸惑いや伝統が時代に合わなくなっているというものがあるのです。
2つ目は男系男子原則を緩和して女性天皇や女系天皇を容認するという案で、女性皇族は結婚後も皇族の身分を維持することも含まれます。
賛成意見には現代の価値観に合致して過去の女性天皇にも実績があるという意見があり、反対意見は伝統が途切れることや慎重な議論が不可欠になるという意見です。
歴史的に見ると、女性天皇が即位しているのは決して前向きなものではなく、あくまで一時的なものと考えられていました。
男子に継承させるためにはまだ幼過ぎたり、あるいはまだ継承者が決まっていなかったりしたときに限り女性天皇が認められていたのです。
また女性天皇が即位した次世代では必ず男系男子が即位してきたということからも、女性天皇は容認できても女系天皇は容認できないというのが歴史的なルールといえます。
近年では愛子様が即位することを望む声が増えているのですが、女性天皇は認められても女系天皇に関してはあまり多くの賛成を得られていないのです。
2005年にも有識者会議で女性・女系天皇の容認案が報告されたものの、悠仁様が誕生したことで棚上げとなりました。
伝統維持を主義としている派閥は男子継承の原理は歴史そのもので、連綿と大切につながれてきた血脈を断絶させるべきではないという考えです。
また、民間男性が皇族になる前例がないことや、男系継承によってむしろ男性が締め出されるため女性差別にはならないとも主張しています。
一方、ルール変更を認める柔軟化派閥の主張としては、現在の多様性や男女平等という考え方を尊重して女性にも継承権を与えるべきとしているのです。
現状では男子誕生を期待する重圧もあり、後続の個人の尊厳を脅かすことにもなるため現実に即していない制度だという指摘もあります。
現状のままでは皇族数が減り続けると天皇や皇族の活動自体が立ち行かなくなるリスクが高まるため、皇族数を維持して公務を安定させるためにも必要となるでしょう。
まとめ
天皇は原則として男系男子が即位することとなっていますが、現在は3人しか継承権のある皇族がいないため、女性天皇や女系天皇も認めるべきという意見が増えています。
女性天皇は男系で性別が女性の皇族が継承することで、女系天皇は母親の血筋が初代天皇へと遡ることのできる男子が継承することです。
有識者会議でも、伝統や歴史を守ることが重要だと考える人と、時代に合わせて認めるべきだと考える人に分かれています。

