国の最低賃金強制アップのデメリット

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最低賃金が引き上げられることで労働者の生活は向上するのですが、企業経営には大きな影響を与えることとなるでしょう。
国によって定められる最低賃金の強制アップによって起こるデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?
国の最低賃金強制アップの主なデメリットについて、解説します。

最低賃金の強制アップによるデメリット

国によって最低賃金が強制アップとなった場合は、企業など労働者を雇用する立場である雇用主は頭を悩ませることになるでしょう。
国の最低賃金強制アップのデメリットとしては、どのような点が考えられるのか解説します。

まず、最低賃金の強制アップは人件費の増加に直接つながってしまうため、人手不足がさらに加速することになりかねないでしょう。

人材確保に成功したとしても、以降は増えてしまった賃金コストにどうやって対峙していくかという問題も生じてしまいます。
増えたコストは商品価格に転嫁して引き上げたり、サービスの質を下げてコスト削減をしたりと、何かしらの犠牲を払うことになりかねないのです。

最低賃金が強制アップになったことで人件費も高くなってしまうようなら、雇用数を縮小して新規採用を控えるしかなくなるかもしれません。

企業の予算は限られているため、かなり必要としている人材でなければ積極的に求人を出すのは躊躇ってしまうでしょう。
雇用数はだんだんと縮小していき、人手不足に陥ってしまうリスクも高くなっていくのですが、人件費が増えないことを優先する企業は多いと思います。

最低賃金が強制アップとなった場合は、組織自体が揺らいでしまうほど混乱する可能性もあるでしょう。
最低賃金が増えたときにうまく管理できなければ、給与体系のバランスが崩れてしまうかもしれません。

仕事において成果を出し昇給を得た人もいれば、法律に従って自動的に昇給したという人もいるでしょう。

しかし、成果によるものも年功序列によるものも同じ昇給だからと一緒くたにして考えてしまえば、公正さは失われてしまいます。
モチベーションの低下やチームワークの乱れにもつながってしまう可能性があり、離職者も増えてしまうことが懸念されるのです。

最低賃金アップで企業に対する影響は?

最低賃金が国によって強制的にアップされてしまった場合は、企業に対して少なからず影響を及ぼしてしまいます。

賃金が引き上げられることで人件費が増え、特に中小企業や多くの労働者が必要となる業界ではコストが大きくなってしまうでしょう。
選択肢としては、利益を削るか商品の値上げか、残業禁止や正社員雇用を減らすなど人件費を削るかなどの選択肢があります。

しかし、マイナスの影響だけではなく従業員の収入が増えて生活が多少なりとも豊かになることで、働くことへのモチベーションが高まるというプラスの影響もあるでしょう。
人件費が増えてしまうということばかりを考えるのではなく、増えることを踏まえたうえでどのようなアクションを取るべきかを考えましょう。

国が最低賃金を強制アップした場合、会社としては単にルールを最低限守るだけではなく、何をするべきかを把握しておく必要があるのです。
まず行うべきはコスト全体の見直しで、人件費が増えることで利益率が圧迫されることへの対策が必要となります。

利益率が下がるとしても、従業員を削減したり賃金を下げたりするなど、給与体系を調整するのは避けるべきでしょう。

安易に人件費を削るだけではモチベーションの低下、ひいては生産性の低下につながる可能性があります。

取り組むべきなのは、支出を見直して無駄な支出を削減し、経費を最適化することであり、業務効率の改善も含まれるのです。

業務フローを見直して適宜変更することでコスト変更ができれば、人件費が増えることになってもカバーすることができます。

働き方にも改善点があるかもしれず、フレックス制や時短勤務、在宅業務などを導入するなど、見直す余地があるでしょう。
働き方の違いに関するニーズは一定数あるため、従業員の希望に合わせながら適切な人員配置ができれば、最低賃金が上がっても人件費の上昇は最小限に抑えられます。

さらにパフォーマンスが向上することも考えられるため、コストパフォーマンスの面でも高水準を維持することが可能となるでしょう。

また、最低賃金を引き上げることをきっかけとして、キャリア育成に力を入れるということも重要となります。
スキルアップできる機会を従業員に提供して、成長できる環境を整えることで長期的に自社の中核を担ってくれる人材となることが期待できるのです。

最低賃金が強制アップとなった場合でも、企業にとってマイナスになるとは限らず企業の成長につながる投資となる可能性があります。
最低賃金の強制アップは単純にコストが増えるだけではなく、従業員のスキル向上や働く環境の改革を進めていくチャンスでもあるのです。

単にマイナスとして考えるよりも、会社全体の基盤を強化するためのものだと考えるようにしましょう。

待遇を壊遇することも含め、従業員が働きやすい環境を整えるためにはベストなタイミングでしょう。
有意義に活用することができれば、企業全体の生産性と従業員のモチベーションが上がることも期待できます。

従業員のスキルアップを支援することなど、従業員の育成に対して本格的に注力していくことも重要でしょう。

最低賃金が強制アップになったことが、退職者が少ない組織を作り上げるきっかけになり得ます。

行動や意識をアップデートして、デメリットを払しょくしプラスにできるよう動いていくべきでしょう。

まとめ

最低賃金は国が決定するものなので、時には強制的にアップされてしまうことがあるのですが、最低賃金の強制アップは企業にとって負担が増えることになります。
しかし、単に負担が増えてしまうだけではなく従業員の生活を豊かにすることにもつながり、企業にとって成長するチャンスにもなるでしょう。
企業は最低賃金の強制アップを単にマイナスのイメージでとらえるだけではなく、どのように活用するかを考えるようにしましょう。