農水省大臣更迭問題とは??

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江藤拓農林水産大臣は、5月21日に辞表を出し石破首相に受理されたのですが、事実上更迭といわれています。
農水省大臣が事実上更迭されるという石破政権において初となる大きな事態は近年の米の高騰に関わるものですが、具体的に何が問題だったのでしょうか?
農水省大臣更迭問題について、解説します。

江藤農水省大臣の失言

近年、米の価格は過去に例をみないほどの記録的な高騰が続いていて、一般家庭の家計に大きなダメージを与えているでしょう。
数年前の米の価格は、5kgあたり2,000円から2,500円ほどだったのですが、現在は5kgあたり4,000円を超えるほどで、約2倍になっています。

2倍にもなる高騰は、市場の一時的な気まぐれというわけではなく、政府の農政に対する長年の失敗と怠慢が原因だといわれているのです。

しかし、現政権の中枢からは過去の農政に関する反省や改善策などではなく、責任転嫁の声ばかりが聞こえています。
国民のヘイトが高まる中で、江藤農水省大臣は米が支援者の方からたくさんもらって売るほどある、という発言をしていたのです。

さらに、発言が広がりネットで炎上すると、今度は米をきちんと買っていて実態と違うことを言ったため遺憾だと異なる発言をしました。
会場が盛り上がっていたため、ウケ狙いで強めに言っただけだという発言は、国民の怒りをさらに増すこととなったのです。

自民党議員であり大臣という非常に強い権力を持つ立場になると、国民の血税から報酬を受け取ったうえでさらに支援者から個人的に食料ももらうというのは納得できません。
元々農家は、生産した農作物を他の家と融通しあうことは珍しくないのですが、権力を持って個人的に受け取るのはまた異なる話でしょう。

もし本当に見返りもなく米を受け取っているのであれば、政治家として正しい行為とはいえません。

農水省は、長年にわたって日本の農家に対して組織的に競争力を奪い続けてきており、農家の敵といえます。
過去の政策には誤りがあったことは確かですが、政府は認めずに国民をだまし続け、ごまかしてきたのです。

今回の発言も、米をもらったこと自体は特に問題がないと思っているものの、政治資金規正法に抵触するかもしれないと嘘をついている可能性もあります。

備蓄米を出しても価格は下がらない?

政府では、米価格の高騰を抑制するために31万トンの備蓄米を市場に出したのですが、価格は下がらず昨年の2倍前後を推移しているのです。
価格の高止まりに責任を感じていると発言した江藤農水大臣は、苦し紛れの言い訳を重ねて何とかごまかそうとしていましたが、結局は本質を見誤っています。

国民にとって、江藤農水大臣が米を受け取っているかどうかというのは問題の本質ではなく、米の価格を下げて欲しいという声にどうこたえるのかという点が問題なのです。

国民の気持ちを逆なでするような発言があっても、米の価格を下げることができるという点につながるようなら問題はありません。

しかし、米の価格を下げることができないのに逆なでする発言だけするから、問題となっているのです。
消費者に対する配慮が足りなかったことは反省しているのですが、何が求められていて、自分の発言にはどのような責任が伴うのか考えなかったことを反省する必要があります。

国民が少しでも安く米を買うために探し回っている現状を知っていれば、到底できない発言だったのではないでしょうか。

価格高騰は流通のせい?

米価格の高騰には、流通において不当に上乗せされているせいで店頭価格も下がらない、という噂も流れています。
卸売業者がスーパーをはじめとした小売業者に販売する際、従来よりも高い金額が上乗せされているといわれているのです。

噂を根拠として、米の高騰が続いているのは流通における上乗せ価格が原因だという印象操作が図られているのですが、あくまでもプロパガンダにすぎません。

価格が高騰した本当の原因は、消費者の需要に対して米の供給が大幅に足りなくなっていることです。
需要と供給のバランスが崩れたことで高騰しているのに、責任を流通に押し付けようとしている政府の方針は、政策の失敗を隠す責任逃れでしかありません。

また、米の価格が高騰して下がらない原因であるといわれているJAでは、備蓄米を利益なしの値段で売却するともいっていますが、ありえないことです。

たとえJAが利益を取らなかったとしても、最終的な販売価格は市場によって定められた価格となるため、意味はありません。
卸売業者に利益が集中しているというのであれば、JAは農家に利益を分配できていないということにもなります。

江藤農水大臣は、卸売業者に対して通常の市場とは異なるため、できるだけ企業努力するよう求めたといいますが、企業努力が必要なのは農水省の方でしょう。

毎年米の生産調整のためとして減反政策を半世紀にもわたって続けていて、補助金を与えることで競争力の低下をまねいています。

結果として日本の農業や国際競争に遅れてしまい、需給のバランスがわずかに狂っただけで価格が大きく変動するようになったのです。
今後、農家はJAに頼らないビジネスモデルが増えてきて、農家も消費者も喜ばしくなると思われています。

江藤農水大臣は生産現場を守りたいといっていますが、結局は補助金と関税で保護するというだけで、既得権益を守ろうという考えです。

日本の農家を立ち行かせるためには、補助金頼りの現状を脱却して市場競争で自立できるようになり、世界中の需要に対応できるようにしなくてはいけません。
国民の信頼を失っている政治家が結果を出すというのは不可能であり、大臣が発言した内容をみれば国民ではなく、支援者や党内の顔色を窺っているのでしょう。

農家と消費者のどちらにとっても、農水省や自民党は迷惑で邪魔な存在でしかなくなっています。

政策に従っていても日本の農業は衰退し、国民の生活は苦しくなるばかりなので、無責任な体制を改善できなければ日本の農業には未来がないでしょう。

まとめ

江藤農林水産大臣は、政治資金パーティーにおいて自分は米を買ったことがなく、もらった米が売るほどあると、現在の米価格の高騰を無視するような話をしていました。
農水省の大臣として不適切極まりない発言だったことから、江藤大臣は辞表を提出し、石破首相が受け取って退任となりましたが、実質は更迭といえるでしょう。
高騰が終わる気配を見せない米の価格を下げるには、根本的な米の流通量の不足を改善する必要があります。