中小企業とB2B (BtoB)マーケティング

経営戦略

マーケティングは、大手企業が行うものと思っている方は少なくありません。
しかし、最近では中小企業でも、マーケティングの重要性が増しています。
その中でも重要なのはB2B(BtoB)マーケティングなのですが、それにはどのような方法があるのでしょうか?
中小企業とB2B(BtoB)マーケティングについて、解説します。

中小企業が行うB2B(BtoB)マーケティングとは

マーケティングには、企業が企業に対して行うB2B(BTOB)マーケティングと、消費者を対象にしてB2Cマーケティングがあります。
同じマーケティングであっても、B2B(BtoB)とB2Cでは多くの点に違いがあります。

対象と社となるのは、B2B(BtoB)の場合は法人であり、決裁権を持っている社長、部長といった管理者です。
それに対して、B2Cの場合は一般的な消費者である個人です。
商品価格にも違いがあり、B2B(BtoB)の方がB2Cよりも単価が高くなる傾向があります。

アプローチ方法は、B2B(BtoB)企業であれば特定の対象に向けて電話やメール、あるいはセミナーや展示会などでアプローチをするか、専門サービスサイトを経由しての問い合わせなどを行います。

B2C企業の場合は、広く知ってもらうためにテレビCMや雑誌の広告、もしくはLINEやInstagramなどのSNSを使用します。
ポスターやチラシを介して、アピールすることもあります。

アプローチに成功して購買へと至る場合のプロセスとしては、B2B(BTOB)であれば合理的な意思決定が必要となります。
具体的には、会議や上層部へと説明できるような合理的な理由が必要です。

しかし、B2Cの場合は必ずしも合理的な理由を必要としません。
個人での購買なので自分さえ納得していればいいため、流行やトレンド、世論などを基としたその場の空気感によって購買することになります。

B2B(BtoB)の場合のコンテンツは主に、新技術を使用していることや製品・サービスの仕様に基づいたもの、あるいは導入事例や導入後の成果となります。
B2Cであれば、話題性やシーズンのトレンド、口コミでの評判やブランド力です。

そのため、B2Cのマーケティング方法はB2B(BtoB)において通用しません。
B2B(BtoB)マーケティングでは、Webマーケティングとデジタルマーケティングの2種類があるのですが、近年のデジタルコンテンツの増加に伴ってデジタルマーケティングの重要性が増しています。

Webマーケティングは、新規顧客獲得を目指すためには向いています。
しかし、既存顧客へのリテンション施策にはあまり向いていないのです。
その点は、デジタルマーケティングによってカバーしていく必要があります。

中小企業のB2B(BtoB)マーケティングの課題

中小企業がB2B(BtoB)マーケティングを行う場合は、いくつかの課題があります。
その課題について知っておき、対策をしてからB2B(BtoB)マーケティングを行うようにしましょう。
課題について、具体的に解説します。

まず解決したいのが、年間マーケティング代です。
中小企業のマーケティング予算は、従業員が500名未満の企業で年間約300万円、30人未満の企業では100万円未満と低いのです。

デジタルマーケティングツールには、高額なものもあります。
しかし、中小企業の予算ではそれを購入するのが難しいでしょう。
特に30人未満の企業の大半は予算が50万円以下なので、その規模では購入できない可能性が高いのです。

2つ目の課題は、活用しているITツールについてです。
中小企業でマーケティングに使用しているツールは、CMSやCRM、SFAなどです。
それぞれ、500人未満の企業では30%あまりが使用していて、30人未満の企業では多いものでも30%未満、少ないものは10%程度しか使用していません。

そして改善したいのが、MA(マーケティングオートメーション)の導入率の低さです。
導入割合は15%程度しかなく、特に30人未満の企業では半数以上が活用ツールを導入しておらず、MAも4%前後しか導入されていないのです。

中小企業のマーケティング施策にも、課題があります。
過半数の企業が、マーケティング施策として自社のホームページを活用しているのですが、それ以外の施策は行っていないところが多いのです。

SNSやメルマガ、DMといったデジタルマーケティング施策の割合が低いため、限られた対象にしかアプローチできていないのです。
どちらかといえば、イベントなどの手段が重視されています。

こういった問題点があることを加味して、デジタルマーケティング施策をどうするべきかを考えてみましょう。
まず中小企業が行うべきは、業務の見える化です。

デジタルマーケティングでは、サイトのアクセス情報や顧客の購買・登録情報等の複数部門で管理されるようなデータを扱うことになります。
部門間での情報共有を効率よく正確に行う必要があり、そのためにも見える化が必要とされるのです。

また、マーケティング部門が単独で集客施策を行った場合、たとえ顧客を見つけることができても実際に販売する営業部とうまく連携できず、失注してしまう可能性があります。
その他にも、自社が保有するITツールの活用がIT部門との連携不足で十分にできなくなることや、事業戦略部門と連携不十分だったせいでターゲットから外れた顧客にアプローチしてしまう可能性などもあります。

業務の見える化を行うためには、まず連携する各部門で業務をそれぞれ棚卸してから、各部門のケイパビリティに合わせた業務の取り組み方を、部門を超えて再構築しなくてはいけません。

中小企業ではリソースも限られているため、新しく部門を作るのは難しいでしょう。
そうではなく、企業において司令塔となっている事業戦略部門が連携する事業をまとめつつ進めていかなくてはいけません。

また、中小企業では予算も限られているので、最初から有料のSEOツールやMAなどのシステムを導入するよりも、現在利用できるITツールをどう活用すれば効率的にデジタルマーケティングができるのかを考えてみましょう。

例えば、SEOツールに関しては自動化されたシステムではなく、Googleアナリティクスのような無料で利用できるツールや、自社内のSEO学習などを活用すればいいでしょう。
また、MAは顧客リストをエクセルでまとめ、RFMなどの簡単な分析を行って手動でのメール配信をするということも出来ます。

工夫次第で、高額なツールを使用しなくてもデジタルマーケティン具を行うことは可能です。
予算が不足しているからと諦めず、今あるものを活用するようにしましょう。

まとめ

中小企業では、B2B(BtoB)によるデジタルマーケティングを行うことは非常に重要なのですが、予算の関係や人員不足、業務の見える化ができていない等の理由があり、なかなか難しいケースもあります。
そういった場合でも、工夫して1つずつ進めていけば、最小限の予算で出来るようになります。
新たな企業にアプローチしていくのであれば、B2B(BtoB)のデジタルマーケティングにとりかかるようにしましょう。