中小企業の事業継続にはがんにかかった社員への支援が不可欠

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がんという病気は現在の日本において珍しいものではなく、毎年100万人前後ががんと診断されています。
現在会社で働く従業員の中にも、がんと診断される人がいても不思議ではないのです。
今後、中小企業ではがんにかかった患者に対しての支援が不可欠となるでしょう。
その理由や、支援の内容について解説します。

なぜ、がんにかかった社員に支援が必要か

いくら健康を意識して過ごしていても、病気になってしまうことはあります。
特にがんは、避けにくい病気です。
そのため、健康だと思っている人でもかかってしまうことがあるのです。

今は元気に働いている社員も、いつがんになるかは分かりません。
そして、がんになった場合は入院して治療するものと考えている人も多いでしょう。
もしそうなった場合、ダメージが大きいのは中小企業と大企業のどちらでしょうか?

大企業では数千人、大きなところでは数万人の人が働いています。
そのうち1人が仕事を休んだり退職したりした場合、それをフォローする人員も多数いるため困ることも少ないでしょう。

しかし、中小企業では事情が異なります。
従業員数が少ない分、抜けた人員のフォローをも負担が大きくなってしまうのです。
中小企業では、大企業よりも従業員それぞれの重要性が高いのです。

そのため、中小企業ではがんにかかった社員に支援をすることで、離職を防ぐことが重要となるのです。
そうしなければ従業員が減っていくことで業績が悪化し、残った従業員の労働条件も悪化する可能性が高いでしょう。

どのような支援が必要か

では、事業を継続するためにもがんにかかった社員にはどのような支援をするべきでしょうか?
支援の内容について、いくつかの例を紹介します。

まず、がんについてどの正確な情報を調べましょう。
インターネットで調べられる基本的な情報を把握して、セミナーを利用しての情報収集、身近にいるがん患者から直接聞き取りをするなどして、どんな支援が必要とされているかを調べてみましょう。

そして、社内の支援制度を点検してみてください。
特に重要なのが、休暇制度と勤務時間規定です。
がん患者は治療や検査で休むことも多くなるため、そういった時に休みやすい制度を整えておくことが大切です。

具体的には、有給休暇制度や病気休職制度、有給休暇の積立制度などを見直してみましょう。
こういった制度が整っていれば、治療のために休みたいと言い出しやすくなるのです。

また、治療を受けながらも勤務を継続したいという人も多いでしょう。
そういった人のために、フレックスタイム制度や時短勤務制度、シフト勤務制度、在宅勤務制度なども整えておくといいでしょう。

こういった制度については、全てが必要というわけではありません。
それぞれの企業で、状況に合わせて対応できるようにしておきましょう。
該当する社員が出た場合にすぐ対応できるよう、あらかじめリストアップしておくことが大切です。

中小企業でそれほど手厚い制度を整えておくのは難しい、と考える経営者もいるでしょう。
しかし、決して長期の休暇制度を用意するというわけではなく、短時間でも休暇を取れるような制度や時間に自由が利く制度を整えるだけでも、治療の助けになるのです。

そして、支援制度は整えておくだけでは意味がありません。
そういった制度があることを、普段から社員に周知徹底しておきましょう。
また、社内だけではなく社外の制度についても周知して、相談窓口の情報も知らせておくといいでしょう。

抵抗なく休むことができる職場を作るには、普段から話しやすい雰囲気を作ることも大切です。
部下や同僚とのコミュニケーションを密にしておくことで、何かあった時に相談しやすい様にしておくのです。

誰かが休んだ時、フォローしやすいような体制にしておくことも重要です。
誰かがいないと業務が回らないということがない様に、日頃から情報共有を行って誰かがいなくても代行できるようにしておくべきです。

実際にがんと診断された社員がいる場合は、相談を受けた際に相手の気持ちに寄り添うことを考えましょう。
ショックを受け、不安が大きい状態なので、ショックなことを言われると傷ついてしまい会社への信用も失われてしまいます。

まずは相手の気持ちを知って、それに寄り添って相談に応えましょう。
そして、こちらの好意で何かをするのではなく、本人の要望を確認してできるだけそれに寄り添い、難しい場合はよく話し合ってください。

時には、本人ががんについて詳しくなく、イメージだけで決めていることがあります。
あらかじめがんについて調べていれば、その情報を基に説明しましょう。
その上で、相手の意向を確認して今後の対応を決めていくべきです。

がんにかかった本人だけではなく、周囲にも気を配ることも大切です。
その人だけが特別扱いされているように思えると、他の社員に不満が溜まってしまうでしょう。
職場復帰した時に周囲との軋轢が起こらないように、周囲へのフォローも徹底しましょう。

支援については、本人が何を望むのかが最も重要です。
病状や治療計画について確認して、産業医とも連携しつつ本人の意向も踏まえて対応を決定していくようにしましょう。

働きながらがんの治療をしていくのであれば、業務を原因として病状の悪化や治療の妨げになるようなことがないように、必要があれば業務の配慮や措置などを行いましょう。
計画的に行うのであれば、両立支援プランの作成も検討してください。

休職して治療するのであれば、本人と定期的に連絡を取って状況を常に把握するように気を配り、本人の悩みや不安についても望まれた場合は対応しましょう。
そして、支援制度の拡充を伝えて安心して治療できるようにしてあげてください。

まとめ

中小企業は人材不足のところが多いため、今いる従業員を大切に育てていかなくてはいけません。
従業員ががんにかかった場合も、滞りなく治療を進めていけるよう支援する必要があります。
それをせずに人が減っていくと、事業継続も厳しくなっていくでしょう。
人材を大切にするために、がん患者となった社員には手厚く支援できる体制を整えていきましょう。