消費増税に伴うリスクについて考える

2019年10月からは、消費税が増税して10%になる予定です。
しかし、消費増税となると家計への負担が増えることになりますが、実は消費増税にはそれ以外にもリスクが伴っているのです。
消費増税に伴うリスクとは、どのようなものなのでしょうか?

家計に対する影響

まず、消費税が増税されると聞いて真っ先に心配するのは、家計への影響でしょう。
消費税が増税されるということは、それだけ支出が増えるということです。
実際には、どのくらい増えるのでしょうか?

消費税はこれまで、3%から始まって5%、8%と段階的に増えています。
そして今回10%になるのですが、その結果増える支出は具体的にどのくらいなのでしょうか?

まず、全世帯の平均消費支出はおよそ400万円といわれているのですが、400万円にかかる消費税は8%の場合は32万円、対して10%の場合にかかる消費税は40万円です。
つまり、消費税が10%になった場合は、年間の支出がおよそ8万円増えることになるのです。

ただし、支出の中には消費税がかからないものもあります。
また、食料品などは外食を除いて軽減税率が適用されることになり、当面はこれまで通り8%のままとなるため、実際にはそこまで支出が増えるわけではありません。

ただし、それでも半分程度、4万円は支出が増えることは想定しておいた方がいいでしょう。
本来、消費税の増税と物価上昇に伴って給与も増えていくことが想定されているのですが、給与が増えることについてはまだ実現していない人も多いでしょう。

そのため、本来であれば支出が増える前に収入も増えるはずなので、消費税が増税しても問題はなかったはずなのですが、収入が増えていない家庭があるために消費税の増税によって家計が圧迫されてしまうこととなるのです。

結果として、各家庭では消費税が増えた分、家計を引き締めにかかることとなるでしょう。
早々に収入が増えればその心配は必要ないかもしれませんが、すべての労働者の給与が上昇するには時間がかかると考えられます。

消費の落ち込み

消費税が増えたことで、家計を引き締めようと考えた場合、まず起こるのは消費を抑えることです。
特に、多くの家庭ではまず、食費を減らすことを第一に考えます。

食費を減らす方法としては、まず外食を減らすことや少ない食材でやりくりすること、また食材のランクを下げることなどが考えられます。
これまでは総菜や弁当を購入していた人も、自炊するようになるかもしれません。

ところで、消費増税に伴って導入される軽減税率ですが、これは主として食費に関係する分野で消費税が8%に軽減されることとなります。
しかし、食費を減らすことになる場合、軽減税率の恩恵はあまり受けられなくなります。

かといって、例えばサラリーマンのスーツは仕事をするうえで必要なものなので必要な時は買わなくてはいけませんし、私服も買い替える時は買い替えざるを得ません。
子供服などは、成長に合わせて買い替えが必要となります。

通信費などは、通話定額制や通信費定額制などで固定となっていることが多いので、これも節約するのは難しいでしょう。
そのほかの支出も、贅沢品を買っていなければなかなか減らすというのは難しいので、やはり節約となると食費から減らしていくことを考える人が多いでしょう。

ただし、食費をいくら減らすとしても増えた支出をすべて食費から補うというのは無理があります。
やはり、洋服ならこれまでよりも少ない点数で我慢したり、質を落としたりすることになるでしょう。

つまり、消費税として支払う金額を除いた場合、消費される金額自体は減ってしまうことになるのです。
そうすると、お店から見ても収入が減ることになります。

どうしても減らせない部分がある以上、減らせる部分は増税分以上に消費を減らすことになります。
洋服の売り上げなども、これまでと比べて1割くらい減るかもしれません。

それが巡り巡って、同様の消費の落ち込みが各所で起こるようになると、税収が少し増える代わりに世間の消費はかなり落ち込むことが予想されます。
そうすると、どうなるのでしょうか?

消費が落ち込むということは、景気が悪化するということです。
そうなれば、まず小売業の売り上げが落ち込み、そこに仕入れるものを作っている工業も売り上げが落ち込むことになります。

モノを作っても売れないので、原料を作っている業種の売り上げも落ちることになるでしょう。
各企業の売り上げが落ちることで、そこで働く人の給与も減り、ますます消費が落ち込むという悪循環になります。

生活に余裕がなくなることで、旅行などに行く人も減ってしまい、宿泊業の売り上げも落ちるでしょう。
そして、当然外食産業でも売り上げは落ちてしまいます。
間接的な原因を考えると、消費増税にはこういったリスクも考えられます。

雇用問題

また、消費増税は雇用問題にもリスクを生じさせることになります。
雇用問題においては、どのようなリスクが生じることになるのでしょうか?

仕事をすることで給料をもらうのは当然のことですが、企業によってその給与額は異なります。
仕事を選ぶときも、給与額を重視する人は多いでしょう。

消費増税によって生活に必要となる金額が増えることになりますが、給与には消費税が含まれているわけではないので特に増えたりはしません。
しかし、必要とされる収入は増えてしまうので、給与があまりに安いと生活できなくなるかもしれません。

そうなると、仕事を探している人は少なくとも自分が必要とする収入がもらえる仕事を探すことになるので、まず給料が安い仕事には人が集まらなくなります。
ただでさえ人手不足になっている業種も多いので、人が集まらなければ仕事にならないかもしれません。

そして、現在働いている人ももっと高い給与をもらえる仕事を求めて、転職していくことも考えられます。
そうなると、ますます人手不足は進行していくでしょう。

その結果、他の業種にも影響を与えていきます。
特に生産業が滞るということは、その企業の商品が入荷しなくなるということなので、小売業などは直接影響を受けるでしょう。

そして、現在その人手不足の原因ともなっているのが少子化ですが、景気の悪化によって子どもを育てることに不安を抱いた夫婦が子どもを作ることを躊躇して、より少子化が進むことが考えられます。

そうなれば、現在だけではなく将来にわたっても少子化はどんどんと進んでいくことになります。
そして、人手不足はますます深刻になっていくでしょう。

消費増税に伴うリスクとしては、このようなことが考えられます。
実施された場合は、様々なリスクが生じることを踏まえたうえで、そのリスクによる悪影響を最小限に抑えるように気を付けましょう。

まとめ

消費増税が近くなってくると、今のうちにまとめ買いをしようという人も増えてあわただしくなりがちですが、増税が実施された後には様々なリスクが生じる可能性があります。
こうしたリスクが生じた場合は、まずそのリスクによって悪影響を被らないように、気を付けなくてはいけません。
社会的に起こりうる悪影響もあるので、個人での対策は難しい場合もあるでしょうが、なるべく気を付けるようにしましょう。