企業に対する名誉毀損と企業が起こす名誉毀損とは

どのような場合が「名誉毀損」?

「名誉毀損」という言葉は耳にしたことがあるでしょう。実際にどのような状況のことかというと、不特定もしくは多数人が認識可能な状況の中で社会的評価を低下させるような具体的事実を告げることが名誉毀損に該当します。多くの人が目に触れる新聞や雑誌、そして最近多いインターネット上の書き込みなどに具体的な事実が記載されていることで名誉を傷つける場には名誉棄損が成立するでしょう。

刑事事件か民事事件か

名誉棄損は刑事事件として警察署や検察庁に告訴し「名誉毀損罪」を訴えること、そして民事事件として相手に対しての損害賠償請求を裁判所に申し立てることができます。

刑事事件は名誉毀損の証拠となる資料等を警察署へ持参します。事件の捜査や処理については警察署や検察庁が行います。民事事件は弁護士などを雇って自らで裁判を起こすことになります。

刑事事件は罪を問うことが目的ですが民事事件は傷付けられた代償に見合う費用を請求することが目的です。そのため慰謝料や損害についての賠償請求を行います。

名誉毀損にならないケースも

もしも名誉毀損に当たるような表現だったとしても、公益を図る目的で公共の利害に関する事実であり、それが真実であると証明された場合には不法行為とは認められません。そのため損害賠償の対象にはならないことになります。

ネット上の書込と対応方法

近年ではインターネット環境が整備されており、ネット掲示板に企業の信用が損なわれるような書き込みがされることも多くあります。秘密情報が含まれている場合や役員、従業員に対する誹謗中傷、侮辱などが内容に含まれている場合、虚偽や不正確な事実、根拠のない情報などの書き込みなども多く、多くの人に閲覧されれば業務上の信用を落とすことになるでしょう。

そのようなネット上での名誉毀損に該当する書き込みに対しては次のように対応する必要があります。

・静観もしくは放置しておく
・プロバイダやサイト管理者に削除要請を行う
・説明責任により反論をする
・書き込みをした者を特定し損害賠償請求を行う
・内容が名誉誉毀損罪、業務妨害罪、信用毀損罪に該当する場合には刑事告訴をする

名誉毀損と認定された場合の罰則

名誉毀損罪は3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金に処されます。ただし民事裁判で認められても名誉毀損罪が直ちに成立するのではなく、刑事の裁判所で認定されなければ罪に問われません。

企業が第三者に訴えられる場合も

名誉毀損を訴えるのは企業側ばかりではありません。逆に第三者に訴えられるリスクも経営の中には存在します。宣伝活動の中で著作権を侵害する事故や、無銭飲食ではない人を公衆面前の場で拘束してしまった場合など、事業遂行に伴って法律上の損害賠償責任を負うことになれば信用を落とすだけでなく多額の費用を支払うことになってしまいます。そのような事態が起きた時のために、備えとして加入できる保険(事業総合賠償責任保険)もありますので検討することも必要です。