知らないと痛い目に!景品表示が起こすリスク

法務リスク

企業を経営するには、多くのことに気を付けなくてはいけません。
その中でも特に注意したいのが、景品表示が起こすリスクについてです。
このリスクを知らないと、痛い目にあってしまう可能性が高いのです。
景品表示には、どのようなリスクがあるのかを解説します。

景品表示とは?

景品表示法という法律があるのは、聞いたことがあるでしょうか?
この法律の名前だけ聞くと、検証のように景品があるものに対する法律の様に思えるかもしれません。
しかし、実際にはそれに限らず、広告に掲載する商品などにも関わるものです。

例えば、不動産会社の広告では取り扱っている物件の価格や賃貸物件の家賃、間取りなどを掲載しています。
こういったものも、景品表示に含まれます。

また、スーパーや電器店などでは広告に安売りする商品を掲載しますが、こちらも景品表示に当たります。
つまり、景品表示法の対象となるのです。

とはいえ、単に広告で掲載しているだけなら特に問題はありません。
その商品が欲しいという人が、買い求めに来て購入できる、あるいはその機会があるのであれば、当然のことだからです。

問題は、景品表示法に違反した場合です。
景品表示法では、「不当な顧客誘引の禁止」が定められていて、それには大きく分けて2つあります。
「不当表示の禁止」と、「景品類の制限及び禁止」です。

不当表示の禁止というのは、消費者が誤認する可能性がある不当な内容を広告に掲載することです。
これは、優良誤認と有利誤認、その他の誤認があります。

優良誤認というのは、サービスや商品の内容、品質、規格、それ以外の内容などに関して正しくない表示をすることをいいます。
例えば、6畳用のエアコンを8畳用として販売するようなものです。

このような表示をすることで、提供するサービスや商品について消費者に本来のものよりも優れたものと誤認させてしまう可能性があります。
普段から売られている商品に「数量限定」などとポップを付け、実際には限定無しで販売するケースも優良誤認に当たります。

また、効果や性能を合理的な根拠がないまま表示した場合は、不実証広告規制によって優良誤認表示と判断されてしまいます。
ダイエット食品の痩身効果や施術による小顔効果などを表示するには、合理的な根拠が必要です。

有利誤認は、サービスや商品の価格を含めた取引条件について正しくない表示をすることです。
通常通りの価格なのに「広告の品!」と掲示してあたかも普段よりお得なように見せるのは有利誤認となります。

有利誤認については判断が難しいところもあり、例えば広告に掲載したことで「広告の品!」と掲示した場合でも、それが普段より安いという意味で掲載したわけではない、というケースでは違反にならないのです。

これ以外にも、誤認される可能性がある表示については内閣総理大臣が不当表示として指定しているものがあります。
商品の原産国や消費者信用の融資費用などがあり得ますが、特に注意したいのがおとり広告です。

おとり広告というのは、不動産などでよくあるものです。
実際には扱っていない物件の情報を掲載し、それに対して問い合わせがあるとその物件は既に決まってしまったものの、別の物件を紹介するという話をするものです。

問い合わせをしてもらうのが目的なので、掲載する物件は非常に好条件です。
例えば、家賃相場が8万円なのに6万円で掲載する、といったものです。
本当に紹介するわけではないので、あり得そうな内容なら何でもいいのです。

景品表示の対象となる者は様々で、広告以外にもパンフレットやカタログ、もしくは商品そのもののパッケージ、容器、ラベル、テレビや雑誌などでの発言、ポスターや看板、電話での勧誘などほぼすべてが該当します。

もう1つの、景品類の制限及び禁止については、過大な景品類を提供することを制限・禁止するものです。
これには、くじなどの一般懸賞と福引のような共同懸賞があります。

一般懸賞の場合、取引価格が5,000円未満の場合はその価格の20倍の価格が上限となります。
また、総額ではその検証に関わる売上予定金額の2%までとなっています。

取引価格が5,000円以上の場合、景品の最高額は10万円です。
しかし、総額はやはり取引の売上予定金額の2%まで、となっています。
1回3,000円のくじの場合は景品の最高額が6万円になり、1回8,000円なら10万円まで、ということになります。

共同懸賞は、利用者に対して地域や業界などが共同で景品を提供するものです。
共同懸賞の場合は、最高額が取引価格に関係なく一律30万円で、総額は売上予定金額の3%まで、となります。

また、これとは別に総付景品というものもあります。
これは、商品を購入した際のおまけなどのことをいい、取引価格が1,000円未満なら景品の最高額は200円まで、1,000円以上なら取引価格の2割までとなっています。

景品表示法に違反するリスク

景品表示法に違反した企業に対しては、消費者庁や都道府県が措置命令を出すことができるようになります。
それによって、企業は誤認を排除して再発防止策を講じ、違反行為そのものを中止することなどを命じられます。

また、優良誤認表示や有利誤認表示については課徴金納付命令が出されることもあります。
この命令が出された場合は、原則として該当する商品・サービスの売上額の3%相当を納付するよう命じられてしまうのです。

過去にはマクドナルドがこの命令を出されていて、成形肉を使用している商品をブロック肉使用のように思われる表示をしていたため、優良誤認表示であるとされて課徴金として合計2171万円を納付するよう命じられています。

課徴金に関しては自主返金制度というものがあり、納付命令を受けた事業者がその商品やサービスを購入した消費者に対して購入額の3%以上を返金するという措置を行った場合は、返金した額を課徴金から差し引くようになっています。

景品表示法に違反した場合は、このようなリスクが考えられるのです。
そのため、知らないうちに違反していたせいで痛い目にあったという事業者は少なくありません。
あらかじめ知っておき、違反しないよう気を付けましょう。

まとめ

景品表示に関しては景品表示法で表示する内容が規制されているので、あらかじめその法律を知っておいて違反しないよう気を付けなくてはいけません。
もしも違反してしまった場合は、措置命令や課徴金などの厳しい処分が下されます。
そのようなことにならないよう、表示する前にしっかりとチェックする体制を構築しておきましょう。