食品販売業のリスク:食品の表示について

一般消費者が食品を購入する時に注意する情報として、食品の包装やパッケージの賞味期限、消費期限、原材料、添加物、栄養成分、エネルギーなどがあると思います。
この食品表示に関してもルールが定められており、食品表示に関する規定をまとめた「食品表示法」が平成27年4月1日に施行されました。


食品表示法によって改善されたことは?
従来の表示ルールでは3つの法律から成り立っていましたが、これを一元化して消費者と食品製造や流通に関係する事業者が使いやすい制度になりました。
大きく変わった点は、栄養成分表示の義務化、アレルギー表示の改善、機能性表示食品の新設です。
栄養成分表示とは何をあらわすもの?
栄養成分表示とは含まれている栄養成分を一目で分かるようにしたものです。これまでは3つの法律のうちの1つである健康増進法により、主要栄養成分として、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物(糖質・食物繊維なども可能)、ナトリウムについての量を表示し、その他栄養成分としてビタミン、ミネラル、糖類、飽和脂肪酸、コレステロールなどを次に表示することが定められていました。

・栄養成分表示は任意ではなく義務に
これまでの栄養成分表示については任意表示だったため、事業者が表示するかどうかを決めることができていました。
しかし新たに法律ができたことにより、すべての加工食品と添加物について栄養成分表示が義務付けられています。表示の義務がある栄養成分は、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムです。

・一部の事業者は省略可能
ただし小規模事業者が販売する場合には、栄養成分の表示は省略しても良いことが認められています。小規模事業者とは消費税法第9条に規定されている課税売上高1,000万円以下の事業者です。
アレルギー表示の改善について
そして食品表示制度では、アレルギー表示を分かりやすくするために改善がされています。

・アレルギー表示対象となる品目は?
必ず表示が必要な7品目は、小麦、落花生、そば、卵、乳、えび、かにです。また、表示されることが望ましいとされる20品目として、キウイフルーツ、バナナ、オレンジ、りんご、やまいも、もも、大豆、カシューナッツ、くるみ、いくら、ごま、さば、さけ、いか、あわび、まつたけ、ゼラチン、牛肉、豚肉、鶏肉があります。

・原則として個別表示
アレルゲン原材料の1つ1つについては個別表示が原則になります。複数の食品が詰め合わされているお弁当などでも、アレルギー情報を正確に示すことが必要になります。
・特定加工食品の分類は廃止
これまでは、特定加工食品については必ず表示が必要な7品目が使われている場合でもアレルギー表示は必要ありませんでした。しかし特定加工食品の分類は廃止になりましたので、アレルギー表示が必要です。
機能性表示食品の新設とは?
機能性を表示することが可能な食品は、特定保健用食品と国の規格基準に適合した栄養機能食品だけでした。
新たに新設された機能性表示食品は、事業者の責任で科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。ただし特定保健用食品と違って、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません。
食品表示は正しく記載することが重要
このように食品を販売するに置いて、表示などは事業者の責任として行う必要がありますので理解しておきましょう。
食品表示ミスなどがあれば信用を失い、場合によっては損害賠償を請求される可能性もありますので厳重に管理することが必要です。