介護の現場/介護施設の夜勤

介護施設の労務管理を行う場合に重要なのは労働時間管理で、入所者もいることから24時間稼働で効率良いサービスを提供できる体制を整備することが必要な業種であることを踏まえて考える必要があります。


介護施設では半数以上の人が夜勤を行っている?
そのため介護施設の労働は大変というイメージが先行していますが、日本医療労働組合連合会の調査によると、全国の介護施設の6割が夜勤により16時間以上働くことになる2交代制シフトによる勤務体制であることがわかっています。
今回の調査は2016年に143施設を対象に実施されたものですが、2交代シフトの勤務体制の施設の中で、夜勤が月平均4.5回以上ある人を見ると特別養護老人ホームが40%、老人保健施設42%、グループホーム53%というように、ほぼ半数の人が夜勤を当たり前のようにこなしていると考えられます。
介護施設の現場では連続2日勤務は当たり前?
労働基準法では原則1日8時間、1週40時間が法定労働時間ですが、介護施設の場合には通常勤務にすると時間外労働や休日労働を行うことが増えるので、人件費がかなり高くなるでしょう。
そのため変形労働時間制やシフト時間管理を導入することは欠かせないと言えますが、2交代夜勤になると2日分連続して働くことと同じなので、今回の調査で月10回以上夜勤があると回答した人もいたようですが、かなり過酷な勤務体制にあると言えるでしょう。
宿直勤務で対応は不可能?
例えば夜間勤務というと宿直勤務を思い浮かべる人もいると思いますが、宿直は通常業務より軽度の業務であることや、1回当たりの宿直手当が宿直勤務者1人あたりの賃金の1日平均額の3分の1以上であること、頻度は週1回以下で睡眠設備が設置されているなどの一定条件を満たすことが必要であり、さらに労働基準監督署長の許可も必要になります。
そのため介護施設で宿直勤務が許可されることは難しいと言えるので、対応策として変形労働時間制をして時間外労働を調整する形を取ることになるでしょう。
勤務時間で労使トラブルに発展しないためにも
24時間365日稼働し続けるには交替勤務制を導入することが必要になるでしょうが、1日の勤務時間が8時間を超えてしまうことは当たり前になります。
変形労働時間制を採用すれば法定労働時間を超える勤務が可能にはなりますが、長時間及ぶ夜勤などは法律上の休憩時間の定めにかかわることなく、安全配慮義務から考えても休憩時間を与えることも必要です。
職業上において夜間勤務が必要になる業種は少なくありませんが、介護施設では特に賃金や勤務時間などを巡るトラブルが発生しやすい環境にあることを理解しておく必要があります。