自家消費型太陽光発電のPPAモデルと自社所有型の違い

経営戦略

太陽光発電は、クリーンエネルギーとして注目されており、導入する企業も増えています。
特に最近は自家消費型の太陽光発電が増えているのですが、それにはPPAモデルと自社所有型があるのはご存じでしょうか?
この2つは、どのような違いがあるのかを解説します。

PPAモデルとは?

自社所有というのは、その名前の通り企業が自分で保有している太陽光発電設備です。
では、PPAモデルというのは何なのでしょうか?
これは、「Power Purchase Agreement」の頭文字をとったものです。

意味としては電力販売契約であり、第三者所有型ともいわれます。
この場合、太陽光発電設備を自社で保有する建物の屋根上に設置するのですが、その所有者は自社ではなく第三者、PPA事業者となります。

設置費用、および設備の管理費用、メンテナンス費用などは、所有者であるPPA事業者が負担します。
そして、企業はPPA事業者から、その太陽光発電設備で発電された電気を購入するという契約を結ぶのです。

この方法であれば、設置費用などの大きな費用を負担せずに再生エネルギーを利用することができ、脱炭素化やSDGsに取り組んでいくことができるのです。
太陽光発電設備を設置するための設備投資が厳しい企業でも、利用しやすいでしょう。

また、契約には期限があり、おおよそ20年となっています。
その期間が経過した後は、設置された太陽光発電設備は撤去せずに無償で譲渡されるのが一般的なので、最終的には費用をかけずにその設備を持つことができます。

ソーラーパネルの寿命は、おおよそ30年ほどといわれています。
そのため、20年が経過した後でも使用できる期間は十分にあるのです。
事業にかかる電気代も、十分に削減できるでしょう。

また、PPAモデルの電気料金は設置条件によって異なります。
その条件次第では、通常の電力会社の電気料金よりも安い単価で購入できるケースもあります。

PPAモデルの設置容量や金額は、設置を希望する企業の現状での電気契約の内容や年間の電気量を考慮して決定されます。
そのため、電気の使用状況や設置する場所によって内容は異なるのです。

ちなみに、PPA事業者が企業に太陽光発電を設置するのは、PPA事業者にとってもメリットがあるからです。
それは、投資目的です。

これまで、太陽光発電を設置する目的としては電力会社に発電した電気を売るという、売電が主でした。
一定の金額で買い取ってもらうことができる固定買取制度、FIT制度があったため、安定した収入となっていたのです。

しかし、この制度は年々厳しいものとなっていて買取価格も下がっているため、売電のために太陽光発電設備を設置するのは投資目的では難しくなったのです。
そこで、自家消費を目的として設置することが増えてきました。

PPA事業者の場合は自家消費とは異なるものの、太陽光発電を設置して電力会社ではなく企業に売る、という形にしています。
電力会社への売電の買取価格よりは高いものの、電力会社と同程度か少し安い金額で提供することで、売電よりも投資効果が高くなるようにしています。

企業にとっても、設備を設置するための費用をかけずに再生可能エネルギーを利用できるというメリットがあります。
PPAモデルは、双方にメリットがある方法なのです。

PPAモデルと自社所有型の違い

PPAモデルを利用している企業もあれば、自社で太陽光発電設備を所有している企業もあります。
PPAモデルと自社所有型では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?

PPAモデルは、太陽光発電設備を企業の建物屋根上に設置して、設備の設置にかかる費用や設備管理費用などを負担し、メンテナンスも行います。
また、故障した際の修理費用もPPA事業者が負担します。
なぜかといえば、設備の持ち主がPPA事業者だからです。

企業は、今まですべての電気を電力会社から購入していましたが、設備を設置してからはその一部をPPA事業者から購入することになります。
その電気料金は電力会社と同等か、少し安く設定されます。
また、電気が余った場合は電力会社に売電することもできますが、その際の利益はPPA事業者のものとなります。

PPAモデルを選択するメリットは、設備費用を負担せずに再生エネルギーを使うことができるようになり、脱酸素化やSDGsに取り組むことができて企業の評判も高まるという点です。
PPAモデルの契約はおよそ20年で、それ以降は自社所有になります。

一方、自社所有の場合は企業が自分で設備費用を支払い、太陽光発電設備を設置します。
その際は、設置工事費やメンテナンス費用、故障した際の修理費などもすべて、企業が負担することになります。

初期費用はかかるものの、発電された電気は自社ですべて使うことができ、その分は電気料金もかかりません。
今まで電力会社に支払っていた分から、発電した分は減額できるでしょう。

自社所有の場合、初期費用は掛かるものの電気料金を大幅に削減できるのがメリットです。
また、使用量を上回る発電量がある場合は、電力会社に売電して自社の利益にすることも可能です。

設置の際は、補助金を活用して少ない負担で設置することも可能です。
税制優遇もあり、太陽光発電設備の取得価額の10%、もしくは7%を法人税から控除するか、もしくは即時償却することなどが可能です。

なお、太陽光発電設備を自社で使用する電力量分に収まる発電量で設置した場合、投資分はおよそ10年で回収できるとされています。
立地条件や使用状況などによっても異なりますが、PPA事業者の20年という契約よりは短いでしょう。

企業が太陽光発電を導入することには、大きなメリットがあります。
SDGsや脱炭素化による環境貢献を行うことで、企業の評価は高まるのです。
また、屋根上に太陽光パネルを設置することで、遮熱効果や屋根の保護効果もあります。

どちらを選ぶのがいいかといえば、初期費用をかけずに導入したい場合はPPAモデルがおすすめでしょう。
しかし、電気代の削減や売電、より大きなコスト面でのメリットを求めるのであれば、自社所有のほうがいいのです。

まとめ

PPAモデルというのは、企業が自社の建屋屋根の使用許可をPPA事業者に出して、PPA事業者はそこに太陽光発電を設置して企業へと電気を供給するというものです。
電力会社とあまり違いがない電気料金を支払うため、コスト面でのメリットはそれほどありませんが、初期費用もなく環境貢献を行うことができて企業の評価が高まるでしょう。
自社所有とどちらがいいのか、検討してみてください。