事業承継は以前までは親族内で行われることが当たり前でした。しかし現在は親族内での承継以外に、色々な方法が活用されています。
親族内での事業承継は、上手くいけば経営者が円満にリタイアできるでしょうが、実際には一筋縄ではないことが多くあります。
中小の場合には経営者の質が反映されやすい
親族内での事業承継を目指すなら、後継者が承継するまでに長期間に渡って綿密な計画、さらには忍耐強く計画を実践していくことが必要になります。
事業運営が成功するかどうかは、新たな経営者の能力、価値観、人格などが大きく左右します。特に中小の場合には、事業スタイルが経営者を映し出す鏡と言っても良いくらい大きく影響しますので、人材の質なども問われることになるでしょう。
また、新たに事業を運営していくための後継者の人材だけでなく、その後継者を支える人たちの質も大切になると言えます。
親族に後継者にふさわしいと判断できる人がいない場合には、その他の事業承継方法を検討することになるでしょう。
経営理念も引き継ぐことが必要
創業者の想いは経営理念や企業風土となって根付き、企業の価値観の基本になります。
時代の流れや経営環境などから世の中のニーズも変化していきますので、当初とはまた違った価値観を抱く可能性もありますが全てを変える必要はありません。経営理念と企業風土を受け継いでいくこともやはり大切なことでしょう。
役員や従業員が承継することになった場合には、この企業の経営理念や企業風土は自然と身に付いているので実務に通じていけると考えられます。
役員や従業員が承継する場合でも…
ただし役員や従業員が事業を承継する場合でも、MBOやEBOといった買収によるものの場合には、役員や従業員が買い主となって会社を買収するため多額の資金準備が必要です。
例え規模の小さな会社だとしても、純資産額1億円を超える中小企業は珍しくありませんし、営業権も考えた場合には企業価値として2億円となる場合もあります。
役員や従業員が金融機関からファンドなどを利用することも必要になるでしょうが、その場合には会社自体のキャッシュフロー次第で困難な状況の場合もあります。
そうなると承継によって現経営者が負う保証債務を、役員や従業員までもが債権者から求められることが多くなりますので資金問題だけでなく責任負担も過大になります。
M&Aなら?
M&Aは、法務や会計、ビジネス性の多方面の専門的知識や技術が必要です。一番の問題となるのは、希望する条件などで売却ができることですので、幅広いネットワークが必要となるでしょう。
事業として行う業界の特性も理解した上で、経営者の希望が尊重できるような状況の中で慎重に進めていくことが必要となるでしょう。