日本には60基の原子力発電所が建設されましたが、2011年の東日本大震災以降は全ての原発の稼働が停止したのです。
原発の中では廃炉となった原発もあれば再稼働している、あるいは今後目指す原発もあるのですが、一度停止してしまうと再稼働は大変なのです。
なぜ原発は一旦停止すると再稼働が大変なのか、解説します。
原発を再稼働するには?
2026年4月現在、日本の原子力発電所は10基が稼働中で23基が停止中とされており、今までよりも厳しい安全対策を行わなければ再稼働ができないのです
再稼働を希望する場合は原子力規制委員会の許可がいるため、まず電力会社が申請して審査を受け、許可を得る必要があります。
原発の状況を見たとき、未申請となっているのはそもそも審査の申請をしていない原発で、審査中は申請していて安全性の審査を受けている途中の原発です。
審査を行っている原子力規制委員会というのは、2012年に起こった福島第一原発の事故を踏まえて新たに設置された独立性の高い機関となっています。
2011年まで、原子力発電所を精力的に進める組織と規制する組織はどちらも経済産業省の下に存在していたのです。
しかし、原発事故が起こったことを教訓として分離することとなり、新たに環境省の外部組織として原子力規制委員会が発足しました。
委員会は専門家で構成されていて、原発が安全に稼働できる基準を満たしているかの審査を行って安全性を判断しているのです。
審査の基準は2013年に原子力規制委員会が策定した規制基準で、事故を踏まえてIAEAや諸外国の規制基準も考慮しており、以前より多くの項目が強化、新設されています。
福島第一原発で事故が起こった大きな要因の1つとして、電源が水没したことで核燃料が冷却できなくなったことがあるといわれているのです。
新規制基準では津波や地震の想定を以前よりもかなり高くして、設備の耐久性や電源の設置場所などを工夫する取り組みが必要となっています。
また、事故に対する備えも要求されるようになり、火山の噴火や竜巻、森林火災、さらにテロなどへの対策も必要となるのです。
委員会の審査で新規制基準をクリアしたと認められれば原発は設置変更許可を受けることができ、現在は4基が許可を得ています。
しかし再稼働は直ぐにできるわけではなく先に地元の理解を得る必要があり、設置変更許可を得た4基は周囲の方々への説明などを行っている段階です。
そもそも再稼働は必要?
事故の後で再稼働を最初に始めたのは九州電力、川内原子力発電所の加圧水型炉で、以降も再稼働は西日本が中心となってきました。
東日本では東北電力の女川原子力発電所の2号機の、沸騰水型炉が2024年11月に再稼働したのです。
しかし、再生可能エネルギーが増えている今原発を再稼働させる必要性があるのかを疑問視する声も上がっています。
日本ではエネルギーに関する資源の自給率が15.3%しかなく、先進国の中でもかなり低い水準です。
海外に依存しすぎると世界情勢の変化の影響を受けやすくなるため、エネルギーを安定供給するのが難しくなります。
特に現在はアメリカとイラクの戦争によってホルムズ海峡の通行が難しくなり、原油の輸入が限られるようになったことでガソリン価格や製造などが影響を受けているでしょう。
日本は原油の9割以上を中東地域に依存しているため、安定した輸入方法は喫緊の話題となっています。
また、世界ではカーボンニュートラルの実現が求められており、日本でもクリーンエネルギーに転換する動きが強まっているのです。
エネルギーを安定供給して経済成長と脱酸素も実現するためには、CO2を排出しない脱炭素電源を確保する必要があります。
現在の状況を踏まえると、必要なのは一つのエネルギー源に依存せず様々なエネルギー源をバランスよく活用することでしょう。
原発も脱炭素電源であり、今後電力の需要はさらに増えていくためコストが低く安定した発電能力のある原発が必要になると予想されます。
特に近年は再エネ賦課金の負担もあって電気代が高くなり家計に大打撃となっていますが、原発を再稼働した関西電力では5%以上電気代が安いのです。
しかし一方で、東京電力の原発が再稼働したとしても固定費や安全対策費が増加したことで値下げ効果には期待できないともいわれています。
少なくとも原発の再稼働の有無は東西での電気代の格差を生み出す原因となっているのは確かなので、安全性が確認できた原発は再稼働が望まれることになるでしょう。
しかし、柏崎刈羽原発は再稼働が認められたものの、電源系の故障を示す警報が出たため2026年1月22日に原子炉を停止しました。
他にも女川原発はタービン起動後に計測器のトラブルがあって原子炉を一時停止して、高浜原発も原子炉の起動から3日で発電機のトラブルにより緊急停止したのです。
慎重な審査を行ったうえで再稼働が決定しているはずですが、なかなかトラブルがなくなることにはつながりません。
原発で事故が起こった際に多くの影響が出たため、原発の安全性を疑う人は事故後さらに増えつつあるのです。
しかし今まで事故が起こっていなかったとしても完全な安全というものはなく、追及してしまえば果てはないということを知っておく必要があります。
安全神話という言葉があり、今まで事故が起こっておらず様々な事態にも対応できるよう準備していれば安全だと錯覚してしまうのです。
しかし、様々な備えをして事故が起こることはないと思ってしまった時点で、安全を追求しようとは考えなくなってしまいます。
安全を確保するにはいつまでも追及を続ける必要があり、常に向上させていかなくてはならないのです。
現地住民が参加する避難訓練も行われており、鹿児島県では2024年に294機関の合計4800人あまりが訓練に参加しました。
原発の安全を追求する取り組みは実際に起こった災害からの治験も取り入れつつ進められており、再稼働を目指して取り組みを続けているのです。
まとめ
東日本大震災が起こったとき、福島第一原発で事故が起こったため日本の60基の原発はすべて停止しており、現在も一部が再稼働しているだけに留まっています。
原発を再稼働させるには環境省の下にある原子力規制委員会の審査を受けて許可を得る必要があり、許可を出すまでには多岐に渡る項目でのチェックを行っているのです。
原発が再稼働すると電気代は下がるといわれていて、二酸化炭素排出量も少ないというメリットがあります。


