2025年7月20日、連休の中日という前例がない日程での参議院議員選挙の投票が行われ、総議席の半数である125議席を争ったのですが、結果はどうなったでしょうか?
自民党と公明党の連立与党は、非改選議席の75議席と合わせて過半数の125議席を目指しましたが、届かなかったのです。
今後の展望はどうなるのか、解説します。
衆参両院で過半数に届かない与党
参議院は定数が248人であり、2025年7月20日の選挙では半数にあたる124名の議席と、非改選の欠員1名分の計125議席を争ったのです。
連立与党である自公政権は66の改選議席と75の非改選議席を持っていたため、今回の選挙では50議席以上を獲得して過半数を得ることを目標としていました。
しかし、選挙の結果は自民党が39議席、公明党が8議席の計47議席にとどまり、与党以外が78議席を獲得して連立政権は過半数の確保に失敗したのです。
非改選議席と合わせてみた場合、自民党は101議席、公明党は21議席となり、与党の合計は122議席となりました。
一方、野党の議席数は最も多い立件民主党が38議席、国民民主党が22議席、日本維新の会が19議席、そして今回注目されていた参政党が15議席となっているのです。
政党別に見た場合は自民党が圧倒的に多いのですが、与党と野党に分けた場合は与党の合計が122議席、野党の合計が126議席となります。
いうまでもありませんが、過半数を獲得できるかどうかは法案の成立に大きく関わってきて、与党が過半数だと非常にスムーズに進むのです。
しかし、今回のように過半数を下回ってしまうと、野党が一丸となって与党の意見に反対することがあるため、なかなか進まなくなります。
もちろん、野党が必ず与党の意見に反対するとは限らないのですが、反対される可能性が高くなるのは間違いないでしょう。
衆議院では与党が過半数を占め、参議院では野党が過半数を占めている状態をねじれ国会といい、政策の実施に遅れが出やすくなることなどが懸念されます。
以前も問題視されたことがあるのですが、実は今の国会の状態はねじれ国会よりも悪いのかもしれないのです。
なぜ悪いのかというと、衆議院の定数465議席に対して自民党は196議席、公明党は24議席の計220議席しかありません。
つまり、参議院だけではなく衆議院においても過半数に満たないという、ねじれどころではない状態となっているのです。
日本の政治は議院内閣制といって、内閣総理大臣は衆議院議決によって過半数を得なければ認められません。
本来であれば、単一の与党か複数の連立与党が衆議院の過半数を占めていなければ決まらないのです。
しかし、今回参議院でも少数野党となったことで、自民党が結党された1955年以来初めて両院で過半数割れとなりました。
政党別に見た場合、自民党が最も多くの議席を確保できていることは間違いないのですが、政権基盤は間違いなく弱体化してしまうでしょう。
石破茂首相は今回の選挙結果を踏まえて、国政を停滞させないためにも続投する意思を示していますが、自民党内部でも責任を問う声が上がっています。
しかし、辞任した場合は確実に自民党内から次の総理大臣が指名されることになるとは限らず、以前もあったように野党との政権交代となる可能性もあるのです。
今後の展望について
参議院議員選挙後にどうなるのかというと、今後の展開としては3つの道筋が考えられます。
まず、野党が連携して衆院で首相候補として野党から候補を選出し、政権交代に乗り出すというものです。
しかし、与党と野党だけではなく野党同士も対立関係があるため、全ての野党が連携するという可能性はかなり低くなります。
特に、今回大躍進となった参政党は政策がかなり際立っているため、他の政党と連携するのは難しいでしょう。
2つ目の道筋としては、与党が野党の一部を取り込んで連立政権とするか、安定した連携を構築して政権の安定化を図るというものがあります。
ただし、政権の枠組みを変更するような動きも現在は特に見られず、どちらかといえば野党の一部が与党を追い落とそうとする可能性の方が高いでしょう。
石破首相も、比較第一党としての責任を強調しているため、今後も自民党が中心となった連立与党が政権を担うと考えていることが明らかになっています。
3つ目の可能性としては、石破首相が退陣して自民党から新たな首相を選出するという可能性ですが、石破首相は現時点で続投することを明言しているのです。
しかし、党内で辞任を求める意見が増えてしまえば実際に辞任することになるかもしれないため、まだ続投が確実とも言い切れません。
現状では、政策を決定するたびに野党側から協力してもらって成立させる必要があるため、かなり綱渡りとなってしまうでしょう。
しかし、衆議院に続いて参議院でも与党が過半数を確保できなかったことで、野党は今後現政権に対する攻勢が激しくなっていくと予想されます。
直近の注目点となるのは、秋に開会となる臨時国会と補正予算編成で、与党は公約としている給付金の実現を目指すこととなるでしょう。
必要となる財源は3兆円余りで、立憲民主党でも同様の給付金を掲げていたため協力体制が築かれるかもしれません。
一方で、野党はガソリン暫定税率の廃止を政策として掲げていたのですが、与党としては税収減の財源確保が必須としていたのです。
しかし、今回過半数割れとなったことで、財源が確保できなかったとしても暫定税率の廃止を受け入れざるを得なくなるかもしれません。
ほとんどの野党では消費税減税を掲げていて、実現される見通しは高いように思えるかもしれませんが、与党は反対しており立憲民主党も反対の立場のため、難しいでしょう。
今回の選挙では、積極財政と消費税減税に注目が集まったのですが、一時的に景気を浮揚させるものの円安の傾向が高まり、長期国債利回りの上昇を招くことになります。
今後の動きによっては、石破首相の辞任を求める声が高まる可能性もありますが、問題なく続投となる可能性も十分にあるでしょう。
まとめ
参議院議員選挙の結果、連立与党である自民党と公明党の議席の合計は過半数割れとなってしまい、今後の国政が不安視される結果となりました。
衆議院でも同じく与党の議席数は過半数割れとなっているため、自民党の結党以来初めてとなる両院での過半数割れとなったのです。
今後、自民党が発案する政策については野党の反対も多くなる可能性が高く、石破首相の続投も怪しくなってしまうかもしれません。