イーロン・マスク氏は、2023年に「xAI社」を立ち上げ、Grok(グロク)という対話型AIをリリースしています。
Xのサブスクリプションで利用できるため、すでに知っていて活用しているという人も少なくないでしょう。
どのような特徴があり、どのように活用されるものなのか、解説します。
Grok(グロク)とは?
Grok(グロク)というのは、X(旧Twitter)上で利用することができるようになった、対話型AIと呼ばれるサービスです。
Xを使用していて、唐突にアイコンが表示されるようになり使い方に戸惑ったという人もいるかもしれませんが、Grokはどのような特徴があるのか解説します。
xAI社によって開発された日本語にも対応している対話型のAIで、あらゆる質問に回答できて自然な対話が可能な生成型AIという分野で注目されています。
同じく対話型AIであるChatGPTと同じように、大規模言語モデルを活用して学習を進めており、現在はGrok3のβ版もリリースされ開発が進んでいるのです。
動作モードには2種類あり、どちらのモードを選択するかによって回答にも大きな違いがあります。
ユーモアモードの場合はユニークな回答が可能となり、センシティブと考えられる質問も対応できるでしょう。
一方、標準モードの場合は他の生成AIと同じような回答と、参考になるような内容のポストの表示を主に行います。
特徴的なのはユーモアモードであり、対話にも冗談やユーモアを織り交ぜて進めていくことができるのです。
日本語にはまだ完全に対応していないものの一般的な内容はスムーズに生成でき、専門的な内容であれば参照したデータによっては英語で出力されるかもしれません。
現在、Grokを使用するにはXのプレミアムに加入するか、サブスクリプションでプレミアム+を契約している場合に限られるのです。
対象プランに加入している場合は、Grokにアクセスしたときに質問すると表示され、画面上部でユーモアモードと標準モードを切り替えることができます。
Grokはどのように活用する?
Grokは、Xの情報を活用してリアルタイムな情報を収集することができ、性能も高いため様々なシーンで活用できるでしょう。
主な活用事例としては、まずトレンドの情報収集が可能であり、Xのトレンドから業界や地域の情報を収集することができます。
発表された最新の情報や地域ごとの人気スポットなど、話題となるネタを集めるのに向いているでしょう。
情報が正確かどうかは改めて調べる必要があるものの、ネタ探しもしやすくなるためマーケティングなどにも活用することができます。
リアルタイムでの情報を追うことができるため、アイデアを出すためのツールとしても活用することができるでしょう。
もし指示内容が多少あいまいだったとしても、質問の意図をある程度組んだうえで回答してくれます。
コーディングについてはChatGPTよりも高い性能があるといわれており、簡単なコードなら数秒で出力することができるのです。
フローチャートを手書きしたものを、素早くPythonコードへと生成してくれた動画も配信され、プログラマーが話題にしていたこともあります。
異なるプログラミング言語のコードの翻訳も可能で、うまく活用できればレガシーシステムの刷新に役立つ可能性もあるでしょう。
対話性能が高く便利な使い方ができるGrokですが、AIである以上は利用するうえでいくつかの点に注意しなくてはいけません。
特に、トレンド情報を集めてコンテンツを制作するという場合は、生成されたデータの質に気をつける必要があるでしょう。
注意点として、まずは情報の正確性は信頼できないという点があり、AIの特性としてどれほど対話性能が高かったとしても、正確な情報だけを集めることはできません。
ハルシネーションという、まるで実際会ったかのようにうその情報を生成することは、どうしても発生してしまうのです。
特に、トレンド情報は誤報や勘違いの情報などが発信されることも珍しくないため、生成された情報も誤ったものになることがあります。
情報の収集や文章の生成をAIに任せるというのは決して間違ったことではありませんが、最終的な判断は人が行うべきなのです。
生成された内容だけではなく、一次情報先やほかの情報ソースをチェックして確認し、正確かどうかを調べる必要があります。
また、ほかの生成AIよりもカジュアルな回答ができるユーモアモードを利用した場合は、倫理観や道徳に欠ける内容が生成される可能性があるでしょう。
法律に違反する内容となってしまう可能性もあるため、事前にしっかりと内容を確認しておく必要があります。
また、自分だけでは判断がつかないという場合は、内容を専門家や機関に見てもらい、意見を聞いた方が良いでしょう。
しかし、従来のAIには難しいユーモアの含まれた回答というのは、うまく活用すれば面白いポストができるかもしれません。
数ある生成AIの中でもかなり人間に近い回答ができるのですが、良い方向にばかり活用されるわけではないでしょう。
AIが高度になったことで、詐欺に利用されたりなりすましなどに悪用されたりした事例もあるため、常にセキュリティ意識を高めておくことも重要といえます。
また、現状では安全対策について公式から詳しい説明もないため、個人情報の扱いに不安を抱いている人もいるでしょう。
Xで流れる情報から学習していくため、ポストした情報が選ばれて生成されてしまうかもしれません。
情報収集に優れていて個人を特定することも容易となっているため、身バレしてしまう内容はポストしないように注意が必要です。
Grok3とは?
Grok 3は、ChatGPTのGPT-4やo1、o3といったモデルを上回るテスト結果を示し、世界最高性能であると発表直後から話題となっています。
Grok 3は、公開されている様々なベンチマークテストにおいて、世界最高レベルの性能を示しています。
しかし、まだβ版であり正式リリースはされていないため、具体的な性能は今後段々と明らかになっていくでしょう。
まとめ
Grokという対話型AIは、X上で使用することができポストの内容から自然な対話ができる文章を生成できる、高性能なAIです。
従来のAIよりもユーモアに富んだ会話ができるモードもあり、トレンドなどに基づいた情報を収集するのにも適しています。
ただし、文章の内容は正しいとは限らず、特に新しい話題には間違った情報も多く集まるため、最終的には人間がチェックする必要があるでしょう。