直接税と間接税の違い

真実の眼鏡

納税は国民の義務ですが、その中には直接税と間接税があるということは御存じでしょうか?
知っている人は多いと思いますが、その中には詳しい内容を知らないという人もいるかもしれません。
自分でも支払うことがある税金については、理解しておいたほうがいいでしょう。
具体的にどのような違いがあるのか、解説します。

直接税とは?

税金の種類として、直接税というものがあります。
これは、税金を納める人とそれを負担する人が同一であり、直接納税者が国や地方公共団体へと税金を納めることから、直接税と呼ばれています。

税金を納める人は納税者、税金を負担する人は担税者と呼ばれるのですが、それが同一人物であるため累進課税やそれぞれの事情に合わせた控除の適用といった仕組みを取り入れやすく、税金を納税者の所得や負担できる能力などに合わせて徴収することができる、というメリットがあります。

しかし、一方では収入が多ければそれだけ直接税の税額も増えてしまうため、それが嫌で勤労意欲を損なってしまうこともあるでしょう。
累進課税は一定額ごとに税率が高くなってしまうため、こういったデメリットもあるのです。

直接税の、累進課税税率や所得の種類によって設けられている控除の適用などによって、納税者の所得に応じて税金を設定できることを、直接税の「垂直的公平」といいます。
所得額が同じであっても、控除適用が所得の種類で異なることがあります。

直接税には、いくつかの種類があります。
1年間の個人の所得に課される税金は国税の所得税と復興特別所得税があり、法人としての所得であれば同じく国税の法人税が課されます。

法人税と近いものに事業税があり、個人と法人のどちらであっても事業を営んだことで所得を得た場合は、事業税が課されます。
法人税とは違って、事業税は地方税でありその中でも道府県に納付する道府県税です。

亡くなった人から財産を相続した場合は、国税の相続税が課されます。
個人から一定以上の価値がある財産を贈られた場合は、同じく国税の贈与税が課されます。

また、土地や建物などの不動産を取得した場合は都道府県に納税する地方税である不動産取得税が課され、所有している土地や家屋、事業用の機械などに対しては市町村に納税する地方税である固定資産税が課されます。

個人の住所や法人の事務所、事業所などがある地方公共団体には、所得額などに応じて住民税を納付することになります。
住民税は都道府県住民税と市町村住民税を合計して納めることとなり、その割合は地方公共団体によって異なります。

間接税とは?

間接税は、税金を負担する担税者と税金を納める納税者が別になる税金のことを言います。
担税者は企業などに税金を預けて、それを納税者が国や地方公共団体へと税金を間接的に支払うことから、直接税と区別されています。

間接税は、所得の高低に関わらず税率は均一なので、直接税のように収入が増えると納税の割合も増えるという不公平感は生じにくくなっています。
これは「水平的公平」と言われます。

しかし、一方では担税者の個々の事情を考慮するのが難しいため、それぞれに控除の適用や軽減税率を適用するということができず、所得額が低い層ほど税負担率が高くなってしまうというデメリットもあります。

間接税の中でも特に身近なのが、国税である消費税・地方消費税です。
これは、商品を購入する時やサービスの提供を受けた時の代金に加算されて支払う税金であり、それを受け取った企業などはまとめて国へと納付しているのです。

酒税や揮発油税も国税の中の間接税ですが、これは消費税とは異なり購入時ではなく、酒類やガソリンなどが製造場から出荷されるタイミングで課されています。
つまり、途中で何らかの事故により失われたとしても、税金はかかってしまうのです。

少々特殊なのが、たばこに関わる税金です。
たばこに関する税金には国税のたばこ税とたばこ特別税、地方税の道府県たばこ税・市町村たばこ税を合わせた地方たばこ税といった種類があるのですが、税金が課されるタイミングが2回あるのです。

まず課されるのがたばこ税・たばこ特別税で、これは酒税や揮発油税と同じく製造場から出荷されるタイミングで課されるものです。
そのため、それが売れるかどうかに関わらず税金を納める必要があるのです。

道府県たばこ税、並びに市町村たばこ税は、たばこの製造者から販売者へと煙草を売り渡した際に課される税金です。
この時は、その本数に応じて課されることとなります。

これらの税金はすべてたばこの販売価格に上乗せされていくため、たばこに関わる税金は基本的に喫煙者とたばこの小売業者が負担することになります。
そして、製造者がそれを納税するのです。

海外で購入したものを国内に持ち込む輸入品には、国税である関税が課されます。
関税には固定税率と協定税率があり、協定税率はWTO協定で関税を一定以上の割合で課さないことと約束したものです。

経済取引の際に作成する契約書や領収書等には収入印紙を貼付することがあるのですが、これは印紙税という経済取引の文書に課される国税に分類される税金を支払うものです。
収入印紙は購入する必要があるのですが、たとえ不要となった場合でも払い戻しはできません。

ゴルフ場を利用する際は、地方税のゴルフ場利用税が課されます。
また、温泉施設で入浴する際にも、同じく地方税の入湯税が課されているのです。
これらは、ゴルフ場の利用料金や入湯料と一緒に支払っています。

軽油については、地方税の軽油引取税が課されています。
元売り業者などから軽油を引き取る際、その容量に応じて1キロリットルごとに一定金額の税金を納めることとなります。

税金には他にも様々なものがあり、似たようなものでも納付先が異なるケースがあるため、注意しましょう。
例えば、地方税の自動車税は直接税であり道府県税なのですが、軽自動車税は同じ地方税でも市町村税となっているのです。

まとめ

税金には国税や地方税などの種類があるのですが、それ以外にも直接税や間接税などの違いがあり、納税方法が異なります。
間接税は担税者が直接納税の手続きをする必要がなく納税者が行うのですが、直接税は基本的に担納者が手続きをしなくてはならないため、忘れてしまうと延滞税が加算されてしまうので注意しましょう。
税金について理解するためにも、自分が支払う税金の分類などを確認してみましょう。