生命保険でお金を借りることができる、「契約者貸付制度」知っていますか?

その他のリスク

いざという時に備えて生命保険に加入していても、それが適用されない病気や怪我で入院することになった場合などには、貯金だけで対応できないこともあるでしょう。
そんな時に、少しでも足しになればと生命保険を解約し、払戻金をあてにすることもあります。
そんな時に便利な制度として、契約者貸付制度というものがあるのをご存知でしょうか?
いざという時に役立つ契約者貸付制度について、解説していきます。

契約者貸付制度とは?

生命保険には、いくつかの種類があります。
その中には保険料が掛け捨てとなるものもあれば、満期を迎えた際に返戻金を受け取ることができる貯蓄性を備えたものもあります。

このうち、返戻金がある契約では、途中解約となった場合でも一定の期間を過ぎていれば、いくらかの返戻金を受け取ることができます。
ただし、契約期間が長ければ長いほど、その返戻金の割合も大きくなっていきます。

そのため、中途解約をするにしてもあまり短い期間だとあまり戻ってこないので、なるべく長い間契約していたほうが損をしにくくなります。
といっても、場合によってはどうしてもまとまった金額が必要となり、やむなく解約する人もいるでしょう。

そんな時に備えて覚えておきたいのが、契約者貸付制度です。
この制度を利用することで、せっかく加入した生命保険をわざわざ解約しなくても、まとまった金額を得ることができるのです。
それでは、どのような制度なのかを解説していきます。

まず、この制度を利用できるのは、解約時に返戻金があるタイプの保険を契約している場合のみです。
例えば、終身保険や個人年金保険学資保険養老保険などがこれにあたります。

対象外となるのは、掛け捨て型の保険です。
ガン保険や医療保険には掛け捨て型のものが多いので、その場合は対象外となります。
自分が契約している保険で利用できるかどうかは、コールセンターなどに問い合わせてみましょう。

この制度を利用することで、解約返戻金を基準としてその一定の範囲の金額を借りることができます。
多くの場合、その上限となる金額は解約返戻金の7割から9割程度となっています。

もちろん上限の範囲内であれば、何度でも借りることが可能です。
そして、解約返戻金が担保となるため保証人も不要で、利用目的についても聞かれることはありません。

ただし、貸付である以上は金利が発生します。
この金利は一定ではありませんが、おおよそ年利で最低2%から、最大で8%ほどの間となります。
これは、同じ保険会社であっても保険の契約内容で異なる場合もあります。

制度を利用する利点は?

こうした制度があったとしても、解約して返戻金を受け取れば返済しなくてもいい資金が手に入ります。
それでも、この制度を利用する利点とは何でしょうか?

まず、この制度を利用することで、せっかく加入している生命保険を解約することなくまとまった金額を得ることができます。
特に、長い間加入している場合には、途中で解約してしまうのはもったいないでしょう。

また、生命保険の多くは、加入時の年齢で保険料がかなり違います。
若い時に加入した保険を解約して、再度加入するとなると保険料の値上がりは避けられないので、できるならそのまま加入を続けておいた方がいいでしょう。

カードローンなどと比較して、金利が安いというのも利点です。
カードローンでお金を借りた場合、金利は最大で年利18%となり、低くても5%程度はかかることが多いのですが、契約者貸付制度なら先ほども言ったように、年利2%から8%で利用できるので、かなり得でしょう。

その性質上、返済についても特に決まりはありません。
特に何日ごとにいくら以上返済しなくてはいけない、という決まりもなく、督促されることもないので、自分の自由なタイミングで返済していくことができるのです。

カードローンなどを利用する際には総量規制というものがあり、また信用情報もチェックされることになるのですが、この制度を利用するにあたっては総量規制の対象とはならず、信用情報などの審査も不要です。
さらに、信用情報にも記録が残らないので、別途カードローンを利用することがあっても影響しません。

ただし、いくつか注意しておきたい点としては、まず保険に加入してからある程度の期間が経過していないと解約返戻金がないので利用することができず、また利用出来たとしても金額はかなり少なくなります。
あくまで基準となるのは、これまで支払った保険料ではなく解約返戻金であることを覚えておきましょう。

借りた後で督促されることがないからと、返済しないまま放置してしまうと金利が積み重なっていきます。
元本と金利を合わせた金額が基準となる金額を超えてしまうと、保険の契約そのものが失効してしまいます。

さすがに、失効する前には保険会社からお知らせが届きますが、それを無視すると失効することになります。
返済の期日などが緩やかな分、自分で管理していかなくてはいけないのです。

この制度を利用している間に、満期を迎えたり節目のお祝い金を受け取ったりすることがあっても、借りている分が残っていればそこから差し引かれることになります。
例えば、10万円のお祝い金を受け取れるタイミングで借入金が20万円残っていれば、そこから10万円を差し引いて借入残高が10万円になる、ということです。

利点と注意点のそれぞれを踏まえたうえで、利用するかどうかを考えてください。

どうすれば利用できる?

この制度を利用するには、いくつかの方法があります。
それぞれの保険会社で利用できる方法が異なるのですが、その中でも対応している会社が多い主な方法について紹介していきます。

まず、最もわかりやすいのが保険会社の店頭で申し込むことです。
利用条件などがよくわからないときなどは、店頭で説明を聞きながら申し込んだ方がトラブルも起きにくく、安全に利用できるでしょう。

店頭で申し込む場合は、身分証明書や印鑑などが必要となることも多いので、持参したほうがいいでしょう。
他にも何か必要か、そもそも利用できる契約内容なのかを確認するために、いきなり店頭に行くのではなく一度電話で問い合わせて、確認してから行くといいでしょう。

コールセンターに問い合わせて利用するという方法は、最も選ぶ人が多い方法でしょう。
ただし、コールセンターで受付が完了するわけではないので、申し込みをして専用書類を送ってもらい、それに記入する必要があります。

担当者がいる場合は、担当者に連絡して申し込みができます。
その場合は、担当者からより詳しい説明をしてもらうこともできるでしょう。
書類については、返送が可能とは限らないので、確実な方法としては担当者に渡すか店頭に持参することになるでしょう。

中には、自動音声で契約者貸付制度の受付が可能な保険会社もあります。
また、ホームページから申込が可能なところもあります。
このような方法の場合は、専用のIDとパスワードが必要になるでしょう。
また、フィッシング詐欺などには十分気を付けましょう。

利用するための主な方法としては、このようなものがあります。
申込が完了してからは、口座振り込みやATMからの引き出しなどが可能になりますが、通常は申し込んでから利用できるまで数日かかるので、その点も気を付けましょう。

まとめ

生命保険をいちいち解約しなくても、契約者貸付制度を利用することでまとまった金額を調達することができます。
ただし、必ず利用できるとは限らないので、最初に問い合わせる必要があるでしょう。
また、金利は一般的なカードローンよりも安いことがほとんどですが、金利と元本を合わせた金額が解約返戻金を超えてしまうと、解約となってしまうので注意してください。