生命保険の受取人が死亡した際には、どうすればいいの?

生命保険に加入する際は、誰がその保険金を受け取るかも書類に記載しておくのですが、時にはその人のほうが保険の加入者よりも先に死亡することもあるでしょう。
そんな時には、どのような手続きが必要となるのでしょうか?
また、変更せずにそのままにした場合は、どうなってしまうのでしょうか?
どのようなことがあり得るのかを、解説していきましょう。

受取人がそのままだった!そんな時は?

生命保険には、受取人という項目があります。
これは、保険の対象となっている人が死亡した時にその死亡保険金を誰が受け取るか、ということを示していて、保険に加入している人が夫の場合は妻を、保険の加入者が妻の場合は夫を指名しているケースが一般的です。

しかし、例えば妻が先だった際は、夫の生命保険の受取人を妻から子どもなどに変更するべきなのですが、それを忘れてしまうというケースはよく見られます。
この場合、夫が亡くなった時は誰が保険金を受け取ることになるのでしょうか?

このケースでは、法定相続人にあたる人がそのまま受取人になります。
ただし注意したいのが、それはあくまでも受取人から見たものであり、保険の加入者から見たものではないということです。

夫婦間に子どもがいる場合は、保険の加入者と受取人の財産を相続するのはどちらも子どもになるので問題はないのですが、いないケースでは注意が必要です。
受取人が妻の場合、夫である保険の加入者の死亡保険金は夫の親族ではなく、妻の親族へと渡ることになるからです。

順位としては、子どもが最も高くなりますが、子どもがいない場合に相続人となる第二位は妻の両親です。
それに次いで、妻の兄弟・姉妹ということになります。

しかし、妻が亡くなった時には、本来であれば配偶者である夫の相続の優先順位が最も高くなります。
そして、子どもがいない場合に夫の財産を相続するのは、夫の両親、もしくは兄弟や姉妹となるので、夫の親族にも権利があると解釈することもできます。

この点は保険法46条に基づいて考えられます。
解釈が難しい所ではあるのですが、実際に最高裁で平成5年に行われた裁判では、夫の親族にもその権利を認めるという判決が出されています。
そのため、厳密には妻の親族と夫の親族、それぞれに権利があると考えておきましょう。

また、法定相続人が複数いる場合、遺産については法定相続割合に基づいて相続されることになるのですが、保険金の受け取りに関しては遺産とは別個に扱われ、割合に関わらず人数で頭割りにされます。
この点は間違いやすいので、気を付けましょう。

受取人はどうやって変えたらいい?

受取人が、保険の加入者が亡くなった時にはもう死亡していたというケースでは、死亡保険金の請求手続きもややこしくなってしまい、またトラブルも生じやすくなります。
それを防ぐためには早急に変更しておくべきなのですが、そのためには何をしたらいいのでしょうか?

まず、誰が受け取ることになるかを選びなおす必要があるときは、契約者から保険会社に連絡しなくてはいけません。
保険の加入者と契約者が同一であれば問題ありませんが、異なる場合は加入者ではなく、必ず契約者から連絡してください。
また、その際は加入者が同意している必要があります。

保険会社に連絡すると、必要な書類などが送られてきます。
その書類に必要事項を記入し、保険証券や契約者の本人確認書類などと合わせて提出します。
提出は、郵送でも可能です。

変更が完了したら、変更した内容を記載した明細書が送られてきます。
それを受け取ることで、手続きは完了します。
ただし、変更時に気を付けなくてはいけない点もあります。

まず、誰でも自由になれるというわけではありません。
なることができるのは、加入者からみて配偶者、もしくは子ども、あるいは2親等内の血族でなくてはいけません。

2親等にあたるのは、加入者の祖父母や兄弟・姉妹、あるいは孫です。
それ以上に遠ければ原則として受取人に指定できないので、叔父や叔母、従兄弟などは指定できません。

トラブルになりやすいのが、離婚した際に受取人を変更していない場合です。
受取人を指定した際に配偶者という立場にいた場合、たとえその後で離婚したとしても受取人にはなれるので、元夫が亡くなった時の受取人が元妻であっても問題がないのです。

また、元妻が亡くなった後で元夫が亡くなった場合は、元妻の相続人となる両親や兄弟姉妹に受け取る権利が生じます。
ただし、その際は請求するのを忘れることもあり得ます。

保険金には請求権というものがあり、3年が経過してしまうと時効を迎えます。
それを過ぎると請求する権利を失ってしまうので、離婚した際は受取人について確認するのを忘れないようにしましょう。

相続税はどうなる?

財産を相続する際は、相続税が課されます。
死亡保険金についても同様ですが、これには財産とはまた別に非課税枠が用意されているのです。
ただし、例外もあるのです。

まず、相続税の対象となるのは契約者と保険の加入者が同一であった場合です。
その際に、法定相続人の誰かが死亡保険金の受取人になっているケースでは、死亡保険金に対して一定の金額の非課税枠があります。

ただし、そうでないケースでは、この枠がありません。
そのうえ、相続税額は2割増しとなるのです。
保険金には非課税枠があるから相続税はかからないと思っていると、思わぬ落とし穴にはまってしまうかも知れません。

契約者と加入者が異なるケースでは、さらに複雑になります。
その場合は、受取人が支払わなくてはいけないのは相続税ではなく、贈与税になってしまいます。
贈与税の対象になってしまうと非課税枠が少なくなるので、相続税よりも多額の税金を支払うことになるかも知れません。

契約者が受取人であり、保険の加入者とは異なるケースでは、相続税ではなく所得税が課されることになります。
この場合は、一時所得として扱われるので確定申告が必要です。

加入者の法定相続人の誰かが受取人というケースでは、例えば相続放棄をして財産の相続を放棄したとしても、死亡保険金については受け取ることができます。
これは、保険の加入者から相続する財産とは別のものであり、そもそも加入者のものではないと判断されるからです。

ただし、相続税については支払うことになってしまいます。
相続放棄をした場合、死亡保険金に対する非課税枠は適用されませんが、相続税の基礎控除については適用されるので、死亡保険金が多額であり相続財産そのものが少額の場合は、相続放棄をしたほうがいいケースもあります。

受取人が死亡した状態では、保険の加入者が亡くなった際に保険金の扱いが非常に難しいものとなりかねません。
そうなった時は、なるべく速やかに手続きをしたほうがいいでしょう。

まとめ

保険の受取人となっている人が加入者よりも先に亡くなっていた場合、その法定相続人が受け取る権利を得ることになります。
ただし、分割する際には全員の同意の元で請求する必要があるなど、手続きが複雑になりやすいという問題もあります。
非課税枠が適用されないケースもあるため、変更する必要性がある時には速やかに手続きをしておいた方がいいでしょう。
手続きなどが良くわからない場合は、一度保険会社のファイナンシャルプランナーに相談することも考えてみましょう。

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