中小企業における失敗しない後継者の育て方とは?

中小企業の多くは経営者の高齢による世代交代の時期を迎えており、まさに今後継者育成を行なっているという経営者も多いのではないでしょうか?
そこで今回は中小企業における失敗しない後継者の育て方について解説させて頂きます。

後継者育成は現場から始めよう

あなたの会社はすでに後継者が決まっていますか?
中小企業ではまだまだ家族経営が多いため、昔と比べ数は減ったものの同族から後継者を指名することが一般的です。
経営者の息子などが後継者になることは、社内や取引先からの納得も得やすく、中小企業の社長交代の方法としては最も望ましい方法でしょう。
しかし、いくら息子と言えど、入社後すぐに経営者になることはおすすめしません。
会社の業績が傾きやすいタイミングの一つとして、社長が交代した時があります。そうならないために、力をつけた上で慎重に引き継ぎを行うべきです。
後継者の育成は段階に分けて順に行う必要があります。
ファーストステップとしては、実務を理解することです。
要するに、従業員が行う業務の全てを把握することから始めましょう。
おそらく現在経営者を務めている方は、子供の頃から会社を手伝っており、当たり前のように元々業務を理解していたはずです。しかし、現代の子供達は時代が違うため子供の頃に会社を手伝っていたとしても、それほど深くは関わっていないケースが多く、わかっているようで実は表面しか理解していないなんて事がよくあります。
もし、このミスマッチが社長交代後に発覚すれば、間違いなく業績は安定しなくなるでしょう。
そうならないためには、まずは実務経験を十分持たせることが重要です。
そして、次のステップとして行うことはマネジメント業務です。
現場の実務というのは、視点で言えば今日や明日を考えて業務を行うものです。しかし、経営者という仕事は数ヶ月・数年先を考えながら意思決定を行わなければなりません。
少しずつ視野を広くしていくためにも、実務の次はそれを管理するポジションで経験を積みます。
また、従業員との関わり方や、仕事の依頼の仕方、数字の管理方法、業務改善方法などもマネージメント業務として一緒に経験をさせます。
また、これらを行うことで、少しずつ社内でも信頼を得ることができ、社長になった時の味方ができるのです。

社長同行で経営者の疑似経験を積ませよう

マネジメント業務の経験を積んだ後は、いよいよ社長の業務に入ってきます。ただし、注意いただきたいのはこの時点で経営者を交代するわけではありません。
まずは、経営者と同行を行うなどして、経営者の仕事を経験させます。
ほとんどの企業にあてはまることですが、経営者は経営者でなければならない仕事を多く抱えているため、他の従業員からすれば何をやっているかよくわからないといった状況であることが多いです。
そのため、社長の業務を一つ一つ見せ、経験を積ませることが必要です。
また、経営者の最も多い仕事として意思決定があります。
意思決定を行う基準の多くは、会社が向かっていくビジョンなどが軸になっているケースが多くあります。そのため、ビジョンやミッションの深い理解が後継者にも必要です。逆に言えば、それができていれば経営者が交代したとしても大きな混乱は招きません。
先ほど、社長交代時に業績が傾きやすいといいましたが、その大きな理由は意思決定の基準が違うことにより現場との乖離が生まれることなのです。
また、少し話は逸れますが、社長交代後、すぐに新しい取り組みを始める後継者の方が多いですが、これもオススメはしません。
まず求められていることは、それまでの社長と同じ事を行う事です。
もちろん大きな問題があれば話は別ですが、最初は現場や取引先を安心させることも重要なのです。
さて、このように順を経て十分に経験を積めばいよいよ社長交代です。
計画的な世代交代であるため、社内や取引先からも理解されている可能性が高いですから、大きな問題なく引き継ぐことが可能です。

後継者問題は先手必勝

これまで後継者育成のスケジュールイメージを解説させていただきましたが、すでにお気付きのように後継者問題は常に先手必勝です。
遅れれば遅れるほど自社の首を絞めてしまう問題なのです。
そのため、まずは「できるだけ早く後継者を決める」ことが重要です。
この場合の「決める」とは、任命される人物も理解している状態です。
後継者問題でよくある事例として、社長はそのつもりだったけど、息子はそのつもりがなかったなんてことがあります。十分注意しましょう。
もう一つ重要なことは、「できるだけ早く後継者を育てる」ことです。
息子を後継者にする場合、最初は別の会社で経験を積ませて、なんてフローを行うこともあるかとは思います。
外を見て視野を広げることも重要ですが、できるだけ早い段階で会社にジョインさせる事をお勧めします。
後継者として若さがデメリットになるケースも確かにありますが、基本的には若い間に後継者として社内で経験を積めば、仲間も作ることができメリットは大きように思います。

もう一度言います。後継者問題は先手必勝です。
もし、あなたが自分の身内から後継者をと考えているなら、恥ずかしがらずに面と向かってコミュニケーションをとるようにしましょう。