法人を休業にするか廃業するかの判断軸をお持ちですか?

「後継者がいない」「他の業務が忙しくなった」などのやむを得ない理由により事業を辞める場合の選択肢として、廃業と休業があります。
さて、あなたはこれらの違いをしっかりと理解できているでしょうか?
そこで今回は廃業と休業の違いをご紹介させて頂きます。

そのうち再開するなら休業

廃業と休業の大きな違いは、再開する予定があるかどうかです。
廃業してしまった事業は、復活させる場合はゼロから立ちあげるしかありません。一方休業の場合は、休業する前の状態から基本的にスタートさせることができます。
例えば、あなたが複数の会社を経営しており、別の会社の業務に専念する必要があるから一時的に、という場合は休業で問題ありません。
しかし、後継者がいないからという形で休業することは再開する可能性が非常に低いですからあまりオススメしません。
また、休業は廃業と違い手続きが比較的簡単です。
廃業する場合は、法務局や税務署に何度も通い多くの提出書類を用意しなければなりませんが、休業の場合は市区町村と税務署に休業の旨を記載した異動届出書を提出するだけで完了です。

休業にデメリットはあるのか?

ここまでの情報で判断すると、圧倒的に休業が良いように感じられる方が多いと思いますが、デメリットもあります。
例えば、休業の場合は法人自体は存続扱いにありますから、実働をしておらず売り上げがなかったとしても毎年税務申告が必要です。この場合、2年連続で税務申告を行わなかった場合は青色申告が取り消しになってしまいます。
また、自治体によって異なりますが、法人地方税の均等割が課されるケースもあるようです。
さらに、法人が存続扱いのため、会社法で定められているように役員の任期満了に伴う役員変更の登記手続きも必須になります。この手続きを怠ると100万円以下の過料が発生しますのでご注意ください。
他にも、休業の届け出から12年間何の登記もせずにおいておくと、休眠会社という扱いになります。法務局では、数年に一度「休眠会社・休眠一般法人の整理作業の実施」が行われます。法務大臣による官報公告が行われ、対象となった休眠会社には登記所から法務大臣による公告が行われた旨の通知を行い、ここから2ヶ月以内に届け出または登記申請を出さなければ、みなし解散の扱いになり登記官が解放の登記をします。

このように休業と廃業には似ているようで大きな違いがあります。
しかし、廃業届は必要資料が多くコストも発生することから、少しでも再開の意思があるのであれば一旦は休業という形にしておく方がいいでしょう。