食料品のみ消費税0%が飲食店に与える影響

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衆議院の解散総選挙が近づいてきましたが、選挙になると毎回のように野党の公約となるのが消費税の減税です。
2025年7月の参議院議員選挙では、立憲民主党が食料品だけ0%とする公約を出したのですが、実現すると飲食店にはどのような影響があるのでしょうか?
飲食店に与える影響について、解説します。

飲食店にはどのような影響があるのか

選挙の際、野党が公約として掲げることの多いものが、消費税の減税、もしくは廃止というもので、参議院議員選挙では立憲民主党が公約としていたのです。
内容としては原則1年間、食料品にかかる消費税を0%として、以降は給付や所得税控除などを行うというもので、国民の生活の助けとなる内容といえます。

しかし、もし食料品の消費税が0%になってしまった場合は飲食店への影響が懸念されるといわれていますが、飲食店にはどのような影響が起こると考えられるでしょうか?
食料品の税率が0%になってしまうと仕入税額控除が適用されなくなるため、飲食店が潰れてしまうといわれています。

仕入税額控除というのは消費税に関するもので、消費税の納付税額に関する控除のことです。
売上に係る消費税額を納付する際、仕入れに係る消費税額分を仕入控除税額として控除して計算するという仕組みを、仕入税額控除といいます。

例えば、料金が1,000円の食事をした場合、消費税10%を加えた1,100円がお客様の支払う代金となるでしょう。
飲食店の経営者は100円分の消費税を受け取ることになるのですが、消費税額100円分をそのまま納付するというわけではありません。

食事の材料を仕入れる際の代金にも消費税が加算されているため、例えば材料費が400円であれば8%の32円の消費税を支払っているのです。
消費税を納付する際は経費に対して支払った消費税分を差し引いて納付すればいいため、100円から32円を引いた68円を納付すればいいということになります。

仕入にかかる税額が控除される仕組みのことを仕入税額控除といい、もし控除がなければ32円の消費税を支払った上に100円を納付するため、納税額は計132円となるのです。
インボイス制度が導入されてからインボイス不適格業者や免税業者からの経費や仕入れに関しては、仕入れ税額控除が適用されなくなっています。

つまり、消費税を二重に支払うことになってしまうため、インボイス不適格業者との取引は避けられてしまうのです。
もし食料品にかかる消費税が0%になった場合、飲食店では仕入に消費税を支払う必要がなくなるため、仕入税額控除がなくなります。

控除がなくなったとしても、帳簿上の金額としては仕入で支払う消費税がなくなった分、確定申告の際に支払う分が増えるというだけなので違いはないように思えるでしょう。
基本的には問題がないのですが、個人経営の飲食店ではあまり厳密に帳簿を記録していないというケースもあります。

仕入の際に小分けで支払っていた消費税が確定申告のときにまとめて支払うことになってしまえば、普段から分けていないと負担が大きくなってしまうのです。
経理がどんぶり勘定になってしまっている飲食店では、消費税が0%になったときに備えて今から準備しておく必要があります。

また、テイクアウトに関しては食料品として扱われるため、テイクアウトにかかる消費税ももちろん0%になるのです。
しかし、イートインであれば食料品にはならないため、従来の通り10%の消費税が課されることになります。

今でもテイクアウトは軽減税率で8%、イートインは10%と異なる税率になっているのですが、差が小さいためあまり気にしない人が多いでしょう。
しかし、10%と0%ではかなりの差が出てしまうため、ほとんどの人がテイクアウトを選ぶようになるかもしれません。

テイクアウトが増えてしまえばイートインが可能な店舗を維持する必要性がなくなってしまい、実店舗を閉鎖するところも増えてしまうでしょう。
特に影響が大きいのはアルコールを提供しているお店で、飲酒のために長時間滞在してもらい利益を得ているお店にとっては大きなダメージとなります。

飲食店は厳しい状況となる可能性がある

個人経営の飲食店はほとんどが1人から数人だけで経営しているため、税務が複雑になってしまうと対応できるリソースが限られてしまうのです。
帳簿処理なども複雑になるため負担が激増してしまうのは避けることができず、薄利多売の個人経営のお店では対応しきれないかもしれません。

また、帳簿上ではタイミングが変わるだけで実質増減がないとしても、実際のキャッシュフローは別問題であり、納税のタイミングで支払う額が増えてしまうのは確かです。
制度の変更によって大きなダメージを受けるのは中小規模の飲食店であり、原材料費や人件費が高騰して苦しんでいます。

値上げに踏み切りたくても、利用者が離れてしまう可能性があるため踏み切れず、利益を削って耐えているところも少なくないのです。
もし本当に消費税が0%になった場合は、現状でギリギリの経営となっている飲食店は一気に閉店へと追い込まれるかもしれません。

多くの国民にとって、生活に直結する食料品の消費税が0%になってしまうというのは非常に耳障りのいいことです。
しかし、個人の飲食店経営者のように消費税が0%になってしまうと苦しくなる人がいることも忘れてはいけません。

また、減った税収を補うため、他の品目に関しては消費税の税率を高くするといった変更がないとも限らないのです。
消費税という税制が導入されてからすでに40年近く経過しており、今では当たり前のものとして受け入れられています。

ただ人気取りのために0%にするといっているわけでなければ、0%になったことで起こる様々な混乱や不備なども含めて検討するべきでしょう。

まとめ

野党が公約として掲げることの多い消費税軽減ですが、立憲民主党では食料品の消費税を1年間限定で0%にするという公約を掲げました。
食料品は国民の生活に深く関わるものですが、飲食店では仕入の食料品の消費税が0%になってしまった場合、仕入税額控除を受けられなくなってしまうのです。
消費税の納付が控除を受けられなくなることで難しくなってしまい、閉店に追い込まれるところもあると不安視されています。