大阪万博で大量の虫が発生する理由

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大阪で開催されている2025年大阪・関西万博の会場において、大量の虫が発生していることが話題となっています。
来場者の視界を妨げ、衛生環境にも問題が発生しているのですが、そもそもなぜ大量の虫が発生しているのでしょうか?
虫が大量発生している理由について、解説します。

大阪・関西万博での虫の大量発生

4月から開催されている2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会場において、虫が大量発生しているという話題が起こっているのです。
大量発生しているのは見た目が蚊によく似ているユスリカという虫で、殺虫剤を散布するなどの対策を行って専門業者にも相談しています。

万博会場内の森では専門家が防虫対策をしていたのですが、なぜ大量の虫が発生する事態になってしまったのでしょうか?

防虫対策に関しても、「いのち」を大切にするというコンセプトを貫いていたものの、会場の立地条件の問題で大量発生もやむを得ないとみられています。
万博会場で大量発生しているユスリカは、蚊柱を形成することがある虫でもともと群れをつくる習性がある虫です。

特に発生している数が多いのはウォータープラザの周辺ですが、会場内の広い範囲を飛び回っています。

殺虫剤だけではなく、幼虫が脱皮しないよう成長阻害剤も散布し、殺虫ライトも設置して増殖を防いでいるのです。
会場内の「静けさの森」で蚊の対策を行っていた専門家によると、発生源となっているのは海に隣接しているウォータープラザとみられています。

また、発生している虫はユスリカの中でも、海水と淡水が混じりあっている汽水域で発生するシオユスリカのようです。

会場内では、大群となって飛び回る姿や大屋根リングの柱に止まっている様子、パビリオン内に入り込んだ姿が写真や動画で撮影され、SNSにも投稿されています。
なぜ大量に発生する事態になったのかというと、やはり会場の立地からやむを得ない事態であるという意見が出ているのです。

池を作製する際は、定期的に殺虫剤を散布したり水辺を塩素消毒したりして人口の池や海にしておけば、虫が湧くことはなく人にとっては快適な環境になります。

しかし、殺虫剤を使用すると水産生物に対して悪影響を及ぼす魚毒性があるため、魚や甲殻類にダメージを与えることになるのです。
万博会場は海に面した場所にあるため、大量の殺虫剤を不用意に散布してしまえば対象の害虫だけではなく、海の生物にもダイレクトに影響を及ぼすこともあります。

今回の万博のテーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」となっていて、8つのテーマ事業もテーマである「いのち」と紐づいたものになっているのです。

万博においては、どのような命も大切にするということをコンセプトにしていて、会場内でもむやみに殺虫しないように防虫対策をして、細心の注意を払っています。

しかし、完全に無視を防ぐのは難しいうえ、海に面していて虫が大量に発生しやすい環境であったことから、ユスリカが大量発生するのは致し方ないとも考えられるでしょう。
ただし、致し方ないということは予想されてしかるべきだったということでもあるので、会場選びなどに問題があった可能性は否めません。

ちなみに、「静かな森」の蚊の対策方法には周期誘因トラップという、特殊な臭いで蚊をおびき寄せ電動ファンで捕獲する装置が使用されているのです。
蚊を誘き寄せるものであり、トンボなど他の生物には影響がない方法ですが、ユスリカにも効果はないため同じ方法での対策はできません。

ユスリカが大量発生することの問題点

ユスリカは蚊に似ているものの、蚊とは違って血を吸うようなことはないため、基本的に無害と思われていますが、大量発生すると何か問題があるのでしょうか?

見た目の問題として、虫自体を嫌う人は多いのですが、さらにユスリカはまとまって飛んでいるため集合体恐怖症の方にも嫌がられます。
また、蚊のように感染症の媒介となるようなことはないのですが、ユスリカアレルギーの原因にはなるため、放置していいわけではないのです。

アレルギー症状があるという方は、ユスリカによってアレルギー症状がでないようマスクをすることをおすすめします。
喘息があるという方や、アレルギー体質という方もユスリカには注意した方が良いでしょう。

ユスリカは死ぬと粉になってしまうため吸い込みやすく、喘息の症状が悪化してしまう原因となるため、緊急用の薬を忘れずに携帯しておきましょう。
万博の虫の大量発生を防ぐためにはどうすればいいのかというと、可能であれば汽水域となっている池の水をすべて海水にすることが抜本的な解決策です。

現在発生しているシオユスリカは、真水と海水が混じりあう汽水域に発生するため、
汽水域をなくしてしまうことで繁殖を防ぐことができます。

また、すぐに実現できる対策としては炭酸ガス製剤を散布するという方法があるでしょう。
炭酸ガス製剤には、水産生物に影響がある魚毒性はありますが、噴射した時に有効成分は空気中に漂い、地上には降りてきません。

様々な殺虫剤があるのですが、炭酸ガス製剤は最も環境に悪影響がない殺虫剤なのですが、効果は一過性なので抜本的解決にはつながらないでしょう。
また、実現はかなり難しいのですが環境に配慮するのであれば、多くの人に虫取り網を持たせ、少しずつでも蚊柱を取り除くという方法もあります。

しかし、来場者で混み合う中で虫取り網を持ち歩くのは邪魔になるため、少なくとも開催中は無理でしょう。

せめて屋内に侵入するのを防ぐのであれば、屋外用の大きな扇風機をパビリオンの出入り口に設置し、外に向かって送風するという方法があります。

山間部の様に虫が多いコンビニでも行われている方法で、飛翔力が強くないユスリカのような虫は風邪で吹き飛ばすことができるのです。

風を当てるだけなら他の生物に影響を与えることはなく安全な方法であり、十分に現実的といえます。

まとめ

2025年日本国際博覧会、通称大阪・関西万博において虫が大量発生しているのですが、発生している虫はユスリカといい、蚊に見た目が似ているものの血は吸わない虫です。
大量発生している原因は立地の問題で、海の近くで真水の池を作製したことで海水と真水が混じった汽水域ができたためシオユスリカが大量に繁殖しています。
いのちがテーマなのでむやみに駆除することはできませんが、風で飛ばすなどの対策は必要でしょう。