医療誤診により医療者は損害賠償義務を負うことになる?

医療者が患者側に不適切な医療行為を行い、患者に損害が及んだ場合には債務不履行責任、もしくは不法行為責任により損害賠償責任を負うことになる可能性があります。
債務不履行責任(民法415条)を根拠とする場合には、医療者側に診療契約上の注意義務違反があったことが理由となります。
不法行為責任(民法709条、715条1項)を根拠とする場合には、契約の有無に関係なく医療者が注意義務違反を行ったことが理由とされます。
いずれにしても医療者に注意義務違反があった場合には損害賠償請求の対象となると言えるでしょう。


医療者の注意義務違反の基準とは?
誤診により賠償責任を負うケースは、誤診の原因になった診療行為が医療者の注意義務違反による行為であるケースです。
訴訟における診療行為の注意義務の基準は、診療時の「臨床医学の実践における医療水準」だとされています。
さらにこの水準は全国的に一律の基準が設けられているのではなく、医師の専門分野や所属診療機関、所在地域の医療環境など、様々な事情を考慮して決定するべきだともされています。
あくまでも医師が従うべき規範としての水準であり、平均的に医師が行っている医療慣行と必ず一致するわけではないということを認識しておきましょう。
注意義務違反があったかを判断するには?
誤診の際に医療者に注意義務違反があったかを判断するためには次のような調査が必要になります。
・誤診の原因となった診断過程
・診断過程に関する「臨床医学の実践における医療水準」
・この2つを比較し、診断過程が医療の診断過程から外れていなかったか
注意義務違反が認められるケースとは?
重大な結果に至る疾患が疑われる場合、大きな外科的治療を必要とする疾患が疑われている場合など、危険を避けるためには正確な鑑別と分析的な診断推論が必要になるでしょう。
この診断推論の際に誤診が発生し、過程に過誤が認められたという場合には医療者の注意義務違反が認められる可能性があります。例えば次のようなケースです。
・病歴の聴取や身体診察が十分でなく疾患を見落としたケース
・安易に心因性疾患だろうと見込んだことで重大な疾患を見落としたケース
・疾患の確率を低く見積もりすぎてしまい疾患を見落としたケース
・疾患の確率を高く見積もりすぎてしまい確定診断したが実際には疾患に罹患していなかったケース
・行った検査の感度や特異度を理解できていなかったケース
注意義務違反が認められる賠償責任が発生する
分析的な診断推論が必要な場合において、単なる直感などで診断を行い誤診に至ると医療者の注意義務違反が認められる可能性があります。
そうなれば賠償責任を負うことになりますので、十分に注意する必要があると言えるでしょう。
誤診が発生して重大な結果が生じた場合には、患者に誤診の原因となった診断過程を詳しく説明する必要があることを理解しておく必要があります。

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