中小企業の役員退職金準備の実態

中小企業経営者は、昼も夜も仕事とプライベート関係なく仕事をしている傾向が強いようです。
事業を運転するための資金の確保のため、自宅を担保にして銀行など金融機関から融資を受けるなどもしていますが、万一倒産しても経営者は雇用保険に加入できないので失業給付金を受取ることもできません。
そのようなリスクがある経営者でも、4社に1社は退職金を受取る予定が無い状況のようです。


中小企業が役員退職金を準備する方法
役員退職金を準備するためには、ある程度まとまった資金が必要になります。そのため計画的に準備していくことが必要となりますが、方法としては生命保険や共済、積立などで準備する必要があるでしょう。

・生命保険で役員退職金を準備する場合
保険解約時に受取る解約返戻金を退職金原資として活用できます。銀行預金などより解約しにくい特徴があるため、確実に積み立てていけると言えるでしょう。また、保障が備わっていることで死亡退職金の準備も可能です。
保険料の全額または2分の1を損金として計上できますので、利益を繰り延べることもできます。

・小規模企業共済を活用して役員退職金に
国が出資する独立行政法人が運営しているという部分で安心感があり、従業員数が一定数以下であるなど小規模事業主に加入は限定されています。掛け金も全額所得控除となり、払い込んだ掛金の範囲で事業資金など貸付を受けることも可能です。

・定期積立でコツコツと退職金を貯める
任意に退職時期を設定することができ、事業資金としていつでも使えるというメリットはありますが、反対に流用してしまう可能性もあります。一定時期まで続けて貯めて続けるという強い意志が必要だと言えるでしょう。

・その他の退職金準備方法
また、上記の方法以外にも退職金を支給する時に借入を起こすという方法もありますが、後継者が返済していく必要性が出てくること、さらには借入自体できない可能性もあります。利益の範囲内で支給する場合には、退職時の経営状態次第では支給できない可能性にも注意が必要です。
役員退職金の準備は法人にもメリットになる
役員退職金を受取ると、個人所得は退職所得控除が適用となり、2分の1課税や分離課税などの特典もあります。
同額を毎月の役員報酬から受取ると所得税や社会保険料の負担が大きくなってしまいますので、メリットも考慮しながら役員報酬と役員退職金をバランス良く考えていくことが必要です。
税務上一定の条件を満たすことで、例えば社長から会長に変わるなど完全にリタイアしなかったとしても役員退職金を受取ることはできます。
その役員退職金額が適正であれば、法人税法上の損金へと計上できるといったメリットもありますので、役員退職金規程を整備しておくなど早めの準備を行いましょう。