小選挙区制の弊害

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2026年2月に行われた衆議院議員選挙では、小選挙区制と比例代表によって議員が選ばれたのですが、小選挙区制には以前から弊害があるといわれているのです。
そもそも小選挙区制とは何か、どのような弊害があるのか詳しくは知らないという人もいるでしょう。
小選挙区制の弊害とはいったいどのようなことなのか、解説します。

そもそも小選挙区制とは?

衆議院議員選挙に行ったことがある人は、投票の際に候補者名と政党名それぞれを記入しているでしょう。
投票の際は候補者とは全く異なる政党名を記入しても特に問題がないのですが、理由としては選挙制度の違いがあります。

候補者名を記入するのは小選挙区制で政党名を記入するのは比例代表制という違いがあるのですが、小選挙区制とはどのような制度なのでしょうか?

そもそも選挙区制というものがあり、選挙エリアをいくつかブロックとして分けてブロック単位で候補者に投票するという制度をいいます。
選挙区制の中でも当選者の人数によって違いがあり、当選者の定数が1名であれば小選挙区制、2名以上であれば大選挙区制、もしくは中選挙区制というのです。

小選挙区制は選挙区として定められた1つのブロックの中で、最も多くの票を得た候補者1名だけが当選する制度のことをいいます。
ちなみに比例代表制というのは政党に対して投票し、政党ごとの得票率で当選人数が決まる制度のことです。

各政党は候補者名簿を作成し、当選人数に応じて名簿の上位から議席を割り振っていくため、上位の人ほど当選する可能性は高くなります。
小選挙区制と比例代表制は重複立候補が可能で、小選挙区制で落選したとしても比例代表制で当選する可能性があるのです。

2026年の衆議院議員選挙では定数465議席のうち、小選挙区制で289議席、比例代表制で176議席を争いました。

小選挙区制の弊害とは?

現在の衆議院議員選挙では小選挙区制を中心としているのですが、小選挙区制には弊害があるということはかなり昔からいわれているのです。
小選挙区制の弊害として特によくいわれているのは死票が多くなってしまうという点で、十分に民意が反映されなくなってしまいます。

死票というのは投票された票のうち、選挙で落選してしまった候補者に対する票のことです。
小選挙区制では選挙区ごとに1名の候補者しか当選することができないため、得票数が2位以下の候補者はどれだけ1位に肉薄していたとしても落選してしまいます。

例えば、1位の候補者の得票数が10万票であれば、2位の候補者に9万9000票投票されていたとしても落選となってしまうのです。
そうなると1位の候補者に投票した多数派の意見は反映されやすくなるのですが、2位以下の候補者に投票した少数派の意見は反映されにくくなってしまいます。

また、選挙区というのは人口や面積を均等に分けてブロックとしているわけではないため、選挙区によって人口が異なっているのです。
人口が多い選挙区よりも少ない選挙区の方が1票ごとの価値は高くなってしまうため、一票の格差が存在して平等ではなくなってしまうという問題もあります。

小選挙区制では、都道府県ごとの人口に応じてブロック分けをしているのですが、どうしても都市部と地方部では一票の格差が生じてしまうのです。
また、小選挙区制では選挙区エリアが小さいため、一定数の地元の有権者の支持を得ることができれば当選する可能性が高くなります。

支持を得るためには政策などを有権者の魅力的なものにすることが大切ですが、地元の自治体や企業に有利な政策を公約とする可能性もあるでしょう。
自治体や企業に対する利益誘導によって、選挙区における支持基盤を強くしようという候補者も出てきてしまう可能性があります。

利益誘導については、一部の選挙区から同じ候補者ばかりが当選を繰り返していることやその子どもが支持基盤を引き継いで当選していることからも明らかでしょう。
確かに、選挙区の中で選ばれている以上地元が潤うように動く候補者は支持されやすいのですが、衆議院議員選挙では国政に携わる議員を選ばなくてはいけません。

地元を有利にすることばかりを考えるのではなく、国全体を豊かにすることを考えなくてはならないのです。
地元のことばかり考えている議員がいる状態は戦前から変わらず、以前は特に鉄道駅の設置に関して熱心な政治工作が行われていました。

人がほとんど住んでいないような地区に鉄道駅が設置されることもあり、国鉄時代は収益性を軽んじて設置されることが多く我田引鉄とも呼ばれていたのです。
確かに当選するためには地元の住民の支持を無視することはできませんが、同時に地元のことばかりを考えるわけにはいきません。

小選挙区制では、地元住民の意向が強すぎるという弊害があるため、中選挙区制にすることが以前から望まれているのです。

また、小選挙区制では党内での争いがなく、選挙区ごとに自民党も1人だけ候補者を出して公認とするだけなので、議員同士の切磋琢磨がなく人が育たないともいわれています。
日本の衆議院では小選挙区制と中選挙区制(大選挙区制)が度々入れ替わっており、近年では1996年から現在まで小選挙区制が続けられているのです。

小選挙区制は政権交代が可能となる二大政党制を模索して導入されたという背景もあり、実際に政権交代も起こったものの2009年から2012年の間に留まりました。
しかし、中選挙区制は金権政治と呼ばれる、今でいう「政治とカネ」問題が多く汚職や腐敗などが蔓延しやすい制度といわれていたのです。

中選挙区制の金権政治を倦厭した結果が現在の小選挙区制の導入なので、再び中選挙区制に戻すのであれば金権政治を防ぐことのできる仕組みが必要となるかもしれません。

まとめ

小選挙区制は選挙区ごとに候補者1人が当選するという制度で、衆議院議員選挙は約6割が小選挙区制で、約4割が比例代表制で選ばれるようになっているのです。
小選挙区制には弊害があるといわれており、例えば2位以下の候補者への投票は反映されないため死票が多くなってしまうという問題があります。
一票の格差や地元への利益誘導などの問題もあり批判されていますが、以前の中選挙区制にも問題があるため簡単に戻せないのです。