経済同友会とは??

その他

サントリーホールディングスの元会長である新浪氏が9月30日、違法サプリメントの購入の疑いを受けて経済同友会の代表幹事を辞任すると発表したのです。
しかし、経済同友会という組織については知らないという人も多いと思いますが、どのような組織なのでしょうか?
経済同友会とは何か、解説します。

経済同友会とは?

9月30日にサントリーホールディングスの元会長である新浪氏が経済同友会の代表理事を辞任することとなったのですが、経済同友会についてはご存じでしょうか?

日本経済団体連合会、略称経団連と混同して考えている人も多いのですが、実は別の組織となっています。
経済同友会というのは、正式名称を公益社団法人経済同友会といい、東京都千代田区丸の内に本部がある経済団体のことです。

企業経営者が集まって運営されている組織で、日本経済団体連合会、日本商工会議所と並んで経済三団体と呼ばれています。
経済同友会には企業の経営者が個人として参加し、国内外の経済社会の諸問題を取り上げて一企業や特定の業界にとらわれず自由に議論し、見解を社会に提言しているのです。

同じ経済三団体の経団連は政府と強調する路線をとることが多いのと比べて、経済同友会は政府に対して物言う姿勢を重視しています。
日本の財界は、第二次世界大戦の敗戦直後に占領軍が粛清、もしくは一掃したという背景があり、結果として多くの企業では旧経営陣が一掃されてしまったのです。

残された部長クラスの役職者が経営の舵取りをすることとなったため、若手経営者同士親交を深めるため1946年に経済同友会が発足しました。
結成の中心人物となったのは、日本製鋼常務、秩父セメントの常務、住友銀行の頭取、国策パルプの常務、日清紡績の社長、日本製鐵の常務などです。

戦後、GHQはポツダム宣言に基づいて経済の民主化を推進しており、同友会でも議論や見解を整理する必要が生じました。
1947年に経済民主化委員会を発足させて調査活動を進め、同年8月には「修正資本主義の構想」をまとめたのです。

試案の中では、企業は経営、資本、労働の三社で構成される共同体とする、企業利潤の分配には経営、資本、労働が対等の権利を有するなどの内容がありました。
非常に画期的だったのですが、ラディカルすぎるということで財界の保守派から資本主義の否定につながるとして批判され、同友会の内部でも保守派の反発が生まれたのです。

同友会では試案を機関決定しないことと定め、全体の合意を得ることはできなかったのですが、修正資本主義は流行語となり同友会を世間に印象付けることができました。

また、以降は労使協調をベースとして問題を解決しようとする姿勢が同友会にみられるようになったため、試案は重要な役割を果たしたといえるでしょう。
ちなみに、経済同友会という名前が付いた組織は神戸経済同友会や関西経済同友会、北海道経済同友会、栃木県経済同友会など44の組織があります。

同じ経済同友会でもそれぞれ独立した組織となっているのですが、相互に連携をして活動しているのです。

経済同友会の主な活動

経済同友会は発足以来様々な活動を行ってきたのですが、主にどのような活動を行ってきたのかを解説します。

まず行っているのが生産性活動で、戦後の西欧諸国では経済が疲弊していたため、米国の生産性の高さに学んで再建を目指すべきという機運が高まったのです。
各国で生産性の向上を目指す運動が展開され、日本でも大争議を経て労使の対決だけではなく経営者が新しい経営理念を提示し、状況を打開するべきという意見が強まりました。

米国の支援も受け、1955年には雇用の維持拡大、労使の協力と協議、成果の公平な分配
の三原則を柱として日本生産性本部が発足したのです。
生産性運動について、労働界では同盟が日本経済の自立と国民生活の向上を目指す総合的施策に貫かれた運動だと好意的な反応を示しました。

しかし、総評では批判的で、統合されて社会経済生産性本部に改組されて現在に至るのです。
また、当時は政争や汚職による政治不信が蔓延しており、倉敷レイヨン社長の大原総一郎氏は労働攻勢に危機感を抱きました。
議会制民主主義を擁護するため経済界も積極的に働きかける必要があると訴えて、財界関係者に同調を呼び掛けていたのです。

声望が高い大原氏の問題意識に触発された経済同好会は、創立10周年を機に企業の社会的な存在意義とあるべき経営理念の在り方を研究することになりました。
8カ月間にも及ぶ研究と議論を経て、「経営者の社会的責任の自覚と実践」として期間認証を受けたのです。

概要としては、経営者は「経済体質の改造」と「企業経営の近代化」が最大任務とされるという内容となっています。
経済体質の改造には、社会平衡力の形成と各経済勢力間をチェックしてバランスを確立し、公正競争ルールを確立することが重要な方策となっているでしょう。

また、企業経営の近代化には技術革新と市場開拓を中心とする企業所得の増大、企業所得の公正な分配、後継経営者の養成が基本的対策であるとしています。

「経営者(企業)の社会的責任」という言葉が広く知られるようになったのも、経営者の社会的責任の自覚と実践が発表された影響が強いでしょう。

また、理念を根幹として後に木川田一隆氏が民間主体の自主調整を経済人の社会的責任として唱えるようになりました。
セミナーなども開かれており、社会保障改革や共助経営の実践、日本への投資の促進、生成AIなど様々なテーマで開催されているのです。

どのテーマの議論でも本質的で深くまで考えた議論が多く、実際に実現できなければ意味がないという気持ちで話し合っています。
社会を構成している様々な立場の人が集まって同じテーブルに着き、ひざを突き合わせて対話をしている経済同友会は、日本経済において非常に重要な組織といえるでしょう。

まとめ

経済同友会は戦後に発足した経済三団体の1つにあたる組織で、会社の経営者たちが集まって国内外の経済社会の諸問題について自由に議論し、見解を社会に提言しています。
生産性活動として新たな経営理念についても話し合っており、議会への呼びかけなど大きな影響力を持つ組織となっているのです。
現在もセミナーなどを開催し、様々なテーマを取り上げて実現を前提とした熱心な議論を行い日本経済に大きな影響を与えています。