会社が従業員の残業代を支払わない場合、会社には大きなペナルティが科せられる事を理解しておきましょう。
そのペナルティとは未払い残業代に対する遅延損害金ですが、そもそも遅延損害金とは遅延利息や延滞利息などと表現される事もあり、お金を借りていて返済が滞った時だけに支払うものだと理解しているかもしれません。
しかし給料や残業手当などの賃金も支払期日を経過する事で遅延損害金を支払う事になります。
遅延損害金を支払う必要がある理由とは?
債務を支払わなかった場合には債務不履行責任を負う事になります。支払いが遅れた事による債務不履行責任には損害賠償責任が含まれますので、損害賠償金として遅延損害金を支払う必要が出てきます。
残業代など賃金請求権を含んだ金銭債権の遅延損害金は、一定期間においての債権(残業代)元本に対して一定割合(%)で遅延損害金が算定されます。そのため遅延損害金を遅延利息と呼ぶケースもあると言えるでしょう。
未払い残業代等の遅延損害金の計算方法は?
給料日を過ぎているのに残業代が支払われなければ履行遅滞という状態になりますので遅延損害金が発生します。
残業代の遅延損害金は、先に述べたように残業代に対する一定割合で計算しますが、残業代等の賃金請求権に適用される利率は状況に応じて異なります。
・民事法定利率
民法に規定されている利率で、年5%です。
・商事法定利率
商法に規定されている商行為に適用される利率ですが、使用者が会社なら商事法定利率が適用されます。利率は年6%です。
・特別な利率
残業手当等の賃金請求権の遅延損害金の場合には、上記以外に「賃金の支払の確保等に関する法律」に規定のある利率が適用されるケースもあります。
労働者が退職した場合、退職日翌日から遅延損害金の利率が年14.6%になることが規定されていますので、この点にも注意が必要です。
遅延損害金だけでなく付加金も負担する事に・・・
この様に残業代でも遅延損害金を支払うという事を、会社はしっかり理解しておく必要があります。
使用者が個人であれば給料日翌日から退職日までは年5%、退職日翌日から残業代の支払いが終わるまでは年14.6%の遅延損害金を支払う必要がありますが、使用者が法人になると給料日翌日から退職日までの遅延損害金が年6%に上がります。
また、裁判になった場合には付加金を支払わなくてはならなくなり、未払い残業代と同額を付加金として請求されるケースもあります。この様な事からも、未払い残業代が生じない様にしておく必要があるでしょう。