4人に1人がパラハラを経験
厚生労働省が行った調査では、過去3年間にパワーハラスメント(パワハラ)を受けたことがあると答えた従業員は4人に1人という結果が出ており、労働者の精神を脅かす事態が起きています。この調査では、職種や年齢によってその回答に大きく差がなかったということで、上司から部下に行われる行為に限られず労働者の誰もが関わる可能性のある問題ということがわかります。
パワハラの概念
職場のパワハラの概念は、同じ職場で働く人へ職務上の地位や人間関係など優位性を利用して適正な業務の範囲を超えた精神的、身体的な苦痛を与える行為です。上司から部下に対しての行為のみに限らず、先輩後輩間、同僚間、部下から上司へという場合もあるなど職務での地位や人間関係における優位性を背景にして行われます。
パワハラに該当する行為
・身体的な攻撃
暴行や傷害といった身体的に攻撃されることで、例えば胸ぐらをつかんだり、足でけられたり、髪をひっぱるなどの行為などが該当します。
・精神的な攻撃
脅迫、侮辱、名誉毀損、暴言などの行為です。例えばわざと大声で叱責したり罵声をあびせるといった言葉の暴力なども該当します。また、人格を否定されるような言葉などもパラハラです。
・人間関係の切り離し
無視したり仲間に入れない、隔離するといったことです。挨拶をしても無視をするなども該当します。
・過大・過小な要求をする
業務上に不要なことを強制され終わらない業務を押しつけられたり、就業間際に過大な仕事を強要されるなどです。自分の仕事を妨害されることも該当します。また、合理性のない仕事などその人の経験や能力とはかけ離れた仕事を命じることなども該当します。例えば営業担当でありながら必要以上に倉庫整理などを強要されるなどです。
・プライバシーの侵害
仕事には関係のない私的な部分に過度に立ち入ることです。交際の有無や、新興宗教についてなどが該当します。
パラハラが起きれば職場全体に影響する
職場のパワハラは従業員の身体や精神の健康を害しますし、職場の雰囲気にも影響します。それにより生産性を悪化させ、良い人材を流出させてしまうなど良いことは1つもありません。それだけでなく、安全配慮義務違反や不法行為責任といった法的責任による訴訟問題にも発展する場合があります。そうなれば信頼性やイメージを低下させ、企業の存続にも影響します。
パワハラ予防のためには
まずはパワハラについて管理職や一般社員を対象に研修会を実施して、就業規則へ盛り込むこと、トップによる宣言を行うことが大切です。中には企業や労働組合が相談しやすい窓口を設置するなど、働きやすい職場を目指した対策を行っている場合もあります。ただし相談できない雰囲気や問題がないと言わざるを得ない雰囲気にしていては意味がありません。もしもパワハラを受けた時に相談する場所、逃げることができる場所として安心して利用できる状況を作っておくことが大切です。職場環境の整備がパワハラの予防に繋がります。