長時間労働と労災認定との関係

長時間労働などで労働者への負荷が慢性的になると、強いストレスで精神的疲労を抱え、うつ病など精神疾患を発症させてしまう要因になります。
うつ病等の精神疾患が労災認定されるまで、以前は約8.6か月間必要でした。しかしこの認定期間の短縮のために、新たな基準が定められて労災認定が行われることになっています。


精神疾患の新たな労災認定基準
うつ病等の精神疾患が発症する直前3週間120時間以上もしくは、直前1か月間に160時間以上の時間外労働が認められた場合、その事実があるだけで労災認定されます。
これらの基準に至らない場合でも、1か月間100時間程度時間外労働があったことが確認できれば、精神的な負荷となる2週間以上の連続勤務や転勤・配置転換、セクハラ、パワハラといった等の有無との総合的な評価で労災認定が行われることになっています。
脳や心臓疾患と労災認定の関係
長時間労働が重なり睡眠不足となると、脳血管疾患、虚血性疾患、高血圧等を発症させる要因になることが指摘されています。この脳や心臓疾患と労災認定の関係は、精神疾患の労災認定とは別基準になっています。
脳や心臓疾患と労災認定については、発症する前1か月~6か月間に渡り、月45時間を超える時間外労働が認められない場合、業務と発症の関連性が弱いと判断されます。
脳や心臓疾患と業務の関連性
しかし45時間を超えた時間外労働時間があると、業務と発症の関連性が強くなると判断されます。
発症前1か月間に100時間を超える時間外労働が認められる場合や、発症前2か月~6か月間に渡り、月80時間を超える時間外労働が認められる場合には業務が発症に関連している可能性が高いと判断されるでしょう。
発症前の2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間のうち、どれかの時間外労働時間の月平均が80時間を超えると業務に関連した発症だと言えるということになります。
労災認定される可能性は?
労働者に脳や心臓疾患の症状が出た場合、このような基準と照合し、発症する直前の長時間労働の実態を確認しましょう。
実態が認められた場合には、発症した疾患と長時間労働とは関連性が深く労災認定される可能性が高くなると言えます。
過労死ラインに注意を
労働者への長時間労働は、精神的な負担を強いるだけでなく脳や心臓疾患を発症させるなど心身に大きな負担を与えることになってしまいます。過労死ラインと言われる働き過ぎによる健康障害は、一般的には80時間と考えられます。
あくまでもこれは目安であり、絶対的なものではありません。過労死の危険性を労働者に与えることは違法ですので、残業を行うためにサブロク協定など締結の必要があることなども十分理解しておきましょう。