新型コロナウイルスで日本語学校の危機

その他のリスク

新型コロナウイルスで影響を受けている業界の中には、日本語学校も含まれています。
実はこれが、どの業界よりもダメージを受けていることをご存知でしょうか?
業界事情に馴染みがない私たちにとって、どんな点で苦境なのか、イメージしにくいですよね。
今回は、現在の日本語学校の実態をご説明したいと思います。

日本に来ることができなくなった留学生たち

新型コロナウイルスの感染拡大が発覚してから、日本からの渡航や入国への制限が設けられました。
その結果、仕事やプライベートでの海外への渡航や日本への帰国ができなくなったという人が多かったですよね。
しかし、この出来事は日本語学校にも大きなダメージを与えています。

そもそも日本語学校は、日本人を対象とした学校ではありません。
日本で生活したり、仕事をしたりするためには、最低限日本語で意思疎通できることが求められますよね。
海外の国の中には、複数の言語の扱いが一般的で、何かしらの言語で会話できる国もありますが、日本は違います。
所謂、「留学生」と呼ばれる人たちが安心して生活していくためには、必要不可欠な学び場になるでしょう。

ですが、感染症の影響で、生徒の彼らはそもそも来日することができません。
入学予定だった人たちが、来られなくなってしまったことで、入学者が0人になってしまったり、まだ学費が振り込まれていなかったりするのです。
日本語学校の経営は、留学生から集める学費で成り立っています。
それが入ってこないとなると、学校の維持自体が厳しくなるのは当然のことでしょう。

入国ができていない状況は、今年の春に入学予定だった人たちの8割に上ります。
入国できていない人の割合を知ると、ほとんどの留学生がまだ自分の国で待機している状況が想像できますよね。
ここ最近では、状況を見て入国制限の緩和を行う国も出てきましたが、まだまだ見通しは不透明です。

先行きが見えず、経営難になってしまい、閉校を決めた学校も少なくありません。
現在、何とか経営を維持している日本語学校も、厳しい状態であると思って下さい。

留学生の受け皿が無くなることで発生する問題

ここで、日本語学校が無くなることでどんな問題が発生するのかと、疑問に思う人もいるでしょう。
この出来事は、間違いなく大きな問題に発展してしまうのです。
なぜかと言うと、この場所は留学生が日本語を学ぶ場であるだけでなく、日本での社会生活を学ぶ場でもあることに由来しています。

海外と日本では、生活スタイルや食事のマナーが違うことがありますよね。
例えば、みなさんが海外で生活する必要がある場合、そのような情報はどこで知るでしょうか?
その国の事情が書かれている本や、インターネットで調べることになるでしょう。
そのような役割が、日本語学校にあると思って下さい。

つまり、留学生が生活していくために必要な場所がなくなってしまうと、彼らは日本での生活が困難になってしまいますよね。
それくらい、大きな問題になってしまうのです。
特に、近年の日本では、労働における人材不足を解消するために、外国人労働者を積極的に雇用しようという動きがありますよね。

外国人労働者を雇用するにしても、彼ら全員が日本語や日本文化に達者ではありません。
日本で働ける、生活できるようにするためには、学ぶことが大切になるでしょう。
そのため、日本における雇用の将来を左右してしまうことにもなるのです。
このような事情を知ると、大きな「受け皿」が少なくなっている状況に、危機感を感じざるを得ません。

参考URL西日本新聞
(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/619380/)

まとめ

日本語学校は、単なる日本語を勉強するための学校ではありません。
日本語の他に、日本での社会生活を学ぶことができる唯一の場所ですから、留学生にとっては大切な場所なのです。
日本の将来を真剣に考えるならば、日本語学校へのサポートが少しでもあってもいいのではないかという声も上がっています。
外国人労働者の増加を狙う日本にとって、ここは大事にすべき場所と言えるでしょう。
受け皿を無くすことがあってはいけないのではないかと思われます。